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JKだけど異世界で真の漢に俺はなる  作者: 相川ミサヲ
第4章
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◇とある商人の事情◇

 商人ダルトンの話


 リスボレイを抜けてから王都を迂回して一路ダークジール国へ。

 わたしは主の命令で、アジャール、リスボレイ襲撃で集めた魔石を運ぶ。

 ダークジールでマネーロンダリングならぬ、魔石ロンダリングしてからジンタン国へ持ち込むためだ。


 今の主に仕えるようになってから10年とちょっと。

 わたしの役割は相変わらず、「運び屋」だ。

 たまに、ちょっとした工作員のような仕事を任せられる事もある。

 今、わたしの作った亜空間には、そんな時に知り合った少年少女を閉じ込めている。


 わたしの主は非情だ。人を人とは思っていない。

 平気で嘘をつき人を騙し、他人から奪う。

 アジャールの襲撃の時もリスボレイ近郊での襲撃の時も、わたしは主に逆らえず、また罪を重ねてしまった。

 わたしにかけられた「隷属の誓い」

 何が誓いなものか。呪いだろ、あれは。


 いつかチャンスがあれば、この境遇から抜け出て、と思っていたがもう10年もたってしまったのだ。

 その間、自ら命をたつこともできず、ただただ罪を重ねる日々が続いている。


 そんな死んだような時間を、ささやかな人助けを心の支えにしていたわたしに、天が使わせてくれたような出会いがあった。


 わたしには「ダルトン」として生まれる前には、違う世界の日本という国に生きていたという記憶がある。

 主の命令で潜入活動をしていた時に、なつかしい顔を見つけたのだ。


 前世の知り合いというわけではない、でもその顔立ちやふとした時に現れる仕草には、この世界の物ではない、懐かしいにおいがした。

 それより、彼女の行った救急救命処置は、日本ではポピュラーなものだった。


 彼女は日本人だ。

 そう確信した時の歓喜の気持ちをわかってもらえるだろうか?


 話しかけたい、わたしの事情についても話したい。

 そう思ってしまっても仕方のないこと。


 けれど、わたしは自制した。

 わたしは奴隷だ。そして主は悪党だ。わたしに関わるということは、わたしが抱えている闇に近づけてしまうことだ。


 涙をのんで、彼女と別れた。


 しかし、縁というものは不思議で、わたしと彼女の縁は切れてしまわなかったらしい。


 リスボレイ近郊での隊商襲撃の際、彼女と再会したのだ。

 魔獣の毒で死にかけていた少年を拾った。どこかで見たことがあるなと思ったが、砦で会った少年だとはなかなか思い出せなかった。

 主の刃からは救いだせたものの、少年の命は風前の灯だった。

 わたしは主にも、その存在を隠しているアイテムを使うことにした。

 一旦その場を離れ、準備をととのえ、少年のところに再び戻ると、彼女が少年に取りすがっているのを見つけた。



 ああ、まだ天はわたしを見捨てて・・・いや彼女を見捨てていなかった。


 わたしの主は恐ろしいことを計画している。


 彼女を逃がさねば、決してわたし絡みでないとわからぬように。

 しかも、今まで保護してくれていた人達と離されて、よりどころのない彼女が

飢えて死んだり、魔獣に殺されたりしないように、気を配って。


 そして何よりも、これからおこるであろうワルシャール国の悲劇と無関係なようにしなければ。


 わたしは非道とも思える申し出を彼女にした。

 少年を人質にとられた格好になった彼女は、覚悟を決めたようだった。



 すまない。わたしを恨むことだろうが、今考えられる最前の手だと思う。


 彼女達を閉じ込めた亜空間へ、食糧をもっていくと、面白いことになっていた。

 何もないはずの亜空間に家が建っていたのだ。


 こんな使い方、わたしには出来ない。

 これは彼女の能力なのだろうか。


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