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JKだけど異世界で真の漢に俺はなる  作者: 相川ミサヲ
第4章
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◇死闘・レオ1◇



 ひとりで飛び出して戦っていた俺は、仲間の乗っていた馬車がひっくり返ったのに気が付き、あわてて馬車に戻った。

 矢で射られたバートンも切り付けられたカミルも無事なようだ。アリサがヒールをかけてくれたのだろう。

 助けを呼びに行くというエドと共に俺たちはその場から離脱することにした。

 こちら側にいるカミルやバートンにはわからなかったようだが、敵の増援も近づいている。俺も撤退に賛成だ。



 「エド、だめだ、回りこまれた。」

 逃げる俺達に気が付いた敵兵の一部が進路を阻んだ。

 エドはアリサを乗せている。充分に戦えないだろう。

 俺、バートン、カミルの3人で敵の囲みを斬り開く。カミルが振り返って俺に合図を送る。バートンにいたっては剣を俺に見せただけだ。


 ――こいつら本当にわかってやがる。


 阿吽の呼吸と言うんだろうが、頼もしい限りだ。

 エドは知らないだろうが、俺達は騎士学校では実力者グループに入る。

 学校という狭い世界での頂点と侮る奴もいるだろうが、そんな奴らを跪かせて鼻っ柱を折り、踏みつけてきた自信がある。


 「炎の渦、ストーム」

 アリサの声が聞こえた。

 敵の真ん前に渦をかく炎が現れ、激しくうねりながら敵兵をなぎ倒していく。

 アリサがこんな魔法を使っているのをはじめてみた。

 威力がすごい。ひとかかえもあるような火柱がすべてを燃やし尽くそうと

荒れ狂う。


 敵兵が二つに割れた。


 前方でエドにしがみついていたアリサが、馬から落ちるのが見えた。

 いや、自ら落ちたのか?。

 彼女は反転し、魔法を使って体勢を整えた。


 「行って!」


 彼女は残るつもりなのか?


 「草の鞭」


 ふいに馬が驚いたように駈け出す。


 アリサとすれ違う刹那、彼女と目があった。


 「アリサ!」

 一緒に逃げよう!と手を伸ばしたが、俺の手は空を切った。


 「行って!」

 何かに押されるように馬は、二つに割れた敵兵と敵兵の間を走り抜ける。


 アリサ!


 叫ぶ俺の声は突然現れた稲光と音にかき消される。


 さっきっから命令しているのに馬は言う事を聞かない。


 身体ごと振り返ると俺達のあとを追いかけようと集まりはじめた敵兵の姿に、アリサの小柄な姿は埋もれてしまった。


 馬鹿が。弱い癖に何してるんだよ!

 一人で残ってどうするつもりなんだ。


 女が戦場に残るという意味がわかってんのか。


 「エド!行け!」


 バートンが叫ぶ。


 「レオ!できるだけ敵をこっちにひきつける!」


 ところが、俺達の意図はすぐに敵兵に感づかれ、先に走ったエドを追いかけ一部の敵兵が離脱する。


 チ!

 舌打ちをしてカミルがエドを守るため、敵兵を追いかけスピードをあげる。

 ここに来て、ようやく馬は落ち着いたようで言う事を聞くようになった。


 バートンと俺はお互いの背と背を向けあいその場に残った敵兵と相対する。

 くそ、全身鎧かよ。手間のかかる!


 「ここは俺だけで充分だ。カミルの方を頼む」

 どう見てもエドを追った人数の方が多い。俺はバートンにカミルを追うように言った。


 「何がなんでも助けを呼びにいかせない気か」

 「そのようだ…な!」

 俺に斬りかかってきた兵士の一人を剣を横なぎに振って馬から落として返事をするとバートンも兵士の一人を蹴りおとしていた。


 「俺は行く。死ぬなよ。レオ」

 「こんなんで死ぬかよ」


 俺が軽口を叩くと、バートンは馬のきびすを返させ走りさせはじめた。


 バートンを追いかけていこうとする兵士の前に馬を引いて立ちふさがる。


 「させるかよ」


 鎧と鎧の隙間を狙って剣をつきさす。

 引き抜く。

 もう何人屠ったのかわからない。

 剣は斬った敵の脂と血で持ち手まですべる有様だ。

 もう切れ味などないに等しい。


 「…なめんなよ」


 スっと目を細め威圧すれば、明らかに敵兵は怯んで下がる。

 俺の中のじーさんの血、豹の血が顕在しかかっている。

 姿は人から変わらないが、肉体能力が上昇していくのを感じる。

 他の人はそういう状態を「ブースト」と呼ぶらしいが、似て非なる力だ。


 血濡れた手を服で拭う。ごめん、随分汚しちゃったよスミス夫人。

 剣をかまえ、威圧したまま敵へつっこむ。


 「ウラッ!」

 振り下ろされた剣を下から跳ね上げ、ねじ伏せる。

 敵の兵士はバランスを崩し馬から落ちる。


 その上を味方の兵士の馬が乗り上げ、落ちた兵士はうめき声をあげ地に沈む。

 その間に背中から横なぎに振り払われてくる剣をもう片方の手で抜いた短剣で防ぐ。


 ギン!

 火花が散る。防ぎきれずに篭手にあたる。

 打ち身を負ったのだろう、ジンジンとした痛みが俺を襲う。


 が、こいつを馬から落としたところで、もう馬に乗っている奴はいなくなった。

 俺も馬から飛び降りると今度は地上戦になる。


 馬に乗ろうとした奴を飛びついて引きずり下ろす。

 そのまま馬乗りになって留めをさす。

 俺の動きについてこれる奴はいない。



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