↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
JKだけど異世界で真の漢に俺はなる  作者: 相川ミサヲ
第3章
45/78

◇強い想い◇


 名もなき森。

 それでもリスボレイの町からは近いはず。方向さえ見失わなければ、大丈夫なはずだ。

 森に一歩入ると、昼なお薄暗く、生き物の気配すら感じられない。

 まるで、ここからは人間の領域ではない、と明確に線引きされているようだ。


 ごくり

 唾を飲み込めば、手の平にびっしり汗をかいていることに気がつく。

 もう戻れない。人を殺めてしまった俺には、元の世界に戻る資格がない。

 何でもない顔をして、平和な羊達の群れにまざっては生活していけない。


 レオ達は無事に追手を振り切れただろうか。

 最後に見たレオは必死な表情を浮かべていた。

 ・・・それでも心配してくれたんだ。


 レオには嫌われている。それでも、俺の事を気にして、手を取ろうとして

手をのばしてきた。


 レオ達が無事ならそれでいい。

 俺はここでは元々存在していない人間なのだ。

 このまま消えてしまったとしても、たいしてこの世界には影響がない。


 ――ウィルは?

 

 哀しんでくれるだろうか、俺がここでいなくなったら。

 すぐに俺のことを忘れて、俺がこっちの世界に来なかったなら、結ばれたかもしれない人と結婚して家庭をもって…。


 IFの世界を考えると足元が急に頼りなく感じる。

 底抜けの奈落に墜ちていくような、そんな不安な気持ち。




 しっかりしろ。まだ死ねないだろ、瀬尾野アリサ。

 自ら死を選んだりできない。しない。

 俺は生きると決めたのだ。俺が生きている限り、あの子は、あの幼馴染は俺の記憶の中で生きている。

 あの透明な微笑みを浮かべて、いつものように…。


 俺が居なくなったら、誰が彼を覚えているというのだ。



 彼の家はぞくに言う「放置家庭」だった。

 保育園、放課後児童クラブ。近所の塾。

 俺達はよく共働き家庭の子どもが預けられる場所で一緒だった。

 違うのは夜は帰ってくる俺の両親と違って、夜だけでなく、土曜日も日曜日も、彼の親はよく彼を一人きりで家に残していた。


 迎かえに来ない彼の親に呆れて、俺の家族は、よく俺と一緒に彼を連れて帰って、そのまま泊めたりした。

 小さい頃は一緒に風呂に入ったり、ゲームしたりした。

 兄弟のように育ったが、俺が中学に入った頃から、彼の方で遠慮しはじめて距離が出来た。

 彼の親が何の仕事をしていたのかは知らない。

 ただ、愛情を満足に与えられず育ったわりには、彼は素直でまともに育ったと思う。

 ただ、独りの時間が長すぎたのだろう。他人の感情の機微を読むのが下手だった。


 でも、それは彼のせいじゃないじゃないか。



 どうしたらあの悲劇を防げたのか、今もわからない。


 俺は生きている間、ずっと繰り返して考える。

 答えを見つけだす、その時まで。



 強くなる。

 誰にも奪わせない。俺のこの思いを。この決意を。


 深呼吸をした。


 さぁ生きていくためのあがきをはじめよう。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。