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JKだけど異世界で真の漢に俺はなる  作者: 相川ミサヲ
第3章
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◇敵襲3◇



 俺達目がけて、敵の兵士が突っ込んでくるがエア・シールドにはじかれる。

 俺は必死に目を閉じたまま、精神を集中させ魔法を発動し続ける。


 「エド、だめだ、回りこまれた。」

 馬が止まった。身体が左右に振り回されているように感じるのは、エドが馬をあちこちに向けて退路がないか探しているからだろう。


 俺は目を開いた。

 馬に乗った敵の兵士が前方にいた。左右を確認する。

 右に避けようとしても左に避けようとしても敵兵の姿がある。

 俺達は囲まれたようだ。

 うしろからも敵兵がやってくる。


 俺が馬に乗れないばっかりに、追いつかれたのだ。

 そう思うと歯噛みしたくなる。


 「大丈夫。魔法があるから・・・かまわず行って、助けを呼んできて」

 俺は覚悟を決めた。このままでは俺の魔力が切れた時点で全滅だ。

 情けないことに声が震えた。すごく怖い。


 「ディーンさん。派手なのやりますね」


 俺はこの魔法を教えてくれたディーンさんに心の中で語りかけた。

 「炎の渦!ストーム」


 前方に向かって魔法を打つ。

 同時にエドの身体に回していた腕を離し、うしろ向きに馬から落ちる。

 風でクッションを使って地面に降り立つと、真後ろにいたレオと目が合う。


 「行って」

 それだけ言うと、馬の進路から身を翻して退いた。

 「草の鞭」

 レオ達の馬の尻を優しく撫でてやる。

 鞭うたれた馬達は、炎で開いた前方に向かって全速力で走りはじめた。


 「アリサ!」

 俺の横を通りぬけようとした瞬間レオが俺の方に手をのばしたのが見えた。

 「行って!」

 俺は叫んだ。


 「もういっちょ派手なのいくよ。サンダーレイン!」


 空から幾筋もの落雷があり、周囲の敵兵士が倒れた。

 でもまだ死んではいない。

 威力が足りない。

 殺すのが嫌だとか考えてる暇はなかった。


 (あれはゴブリンあれはゴブリン)

 俺は敵兵を人間ではなくゴブリンだと思い込むようにした。

 鎧甲冑に相手の顔が隠れていて助かる。

 もし顔が見えていたら、やれる気がしない。


 「ヘンシン」

 魔法剣士に早着替えをする。別に声に出さなくても着替えはできるのだが。あわててテンパっているようだ。

 装備されている魔法剣に魔力を通し、感電して動きのにぶった敵兵士を屠っていった。幸い急所が赤くマーカーされる。


 俺のように非力な子どもに剣を向けられても、大して大きな怪我になったりすまい。

 そんな風に考えているのがありありとわかる。

 が、俺の剣はいわばレーザー剣だ。

 ひと撫でしただけで、スパっと鎧を含めて中身まで切れる。


 南無阿弥陀仏。南無阿弥陀仏


 ここは異世界だ、どれほど仏様のご利益があるかわからないが、俺は藁にもすがる気持ちで唱えた。

 無神論者の癖に、法事とかで借りだされた経験がこういうときふっと出るんだな。

 俺を含めた日本人には殺生を忌避する気持ちが強い。だが今は、やむをえず生き残るために命を刈り取っている。


 罪悪感と死者を悼む気持ち。誰かに守って欲しくて天にいるかもしれない何者かに祈る。


(どうか迷わず、成仏してくれっ)

 てか、ここはここは異世界だから、テンプレ通りなら

 (どうかアンテッド化とかしないでくれっ)

 と祈るのが正しいのかもしれないが。




 すぐに魔力の限界がきた。

 「はは…もう、ライターほどの火もつかないや」

 俺の周囲には死体死体死体…。

 俺を狙ってその場に残った敵の数人ほどは倒せたみたいだ。

 残りの兵士はレオ達を追いかけていったようだ。


 「うしろから追いつかれるか、追いかけていったのが戻ってきて捕まる前に隠れないと」

 物理強化の指輪のせいか、魔力枯渇寸前まで使ったのにまだ動ける。

 「ここで毎日の走り込みが役にたたないとか…ないよね。」


 さて、どっちに逃げようか。レオ達が戻ったリスボレイ方面か反対の王都方面か。


 周囲を見回すと街道をそれた草原の向こうに森が見えた。

 あそこに逃げ込むか、何にせよここに居たら敵に丸見えだ。


 おっとこのままじゃ走るのに装備が重すぎる。

 ジャージにするか、スミス夫人がレオとお揃いで用意してくれた「旅人の服」にするか。


 俺はワードロープ内を思い浮かべる。ジャージはだめだ。何かにひっかかって破れたりしそうだ。レオとお揃いの「旅人の服」にしよう。



 街道をそれて身の丈ほどの草丈をかきわけ進む。だがそれは悪い選択だった。

 「通ったあとの草が倒れていて、退路まるわかりじゃん」


 だが、今更街道に戻るわけもいかない。



 ふと上がかげる。

 ヒュドラではないが、空を飛ぶ騎獣のようだ。


 空から探されている…こちらを見つけるのも時間の問題だ。

 むしろもう見つかったのかもしれない。

 俺は焦って前に進んだ。

 さきほど見えたあの森に近づくと、アジャールの魔の地に続く森と感じが似ている。

 地理もしらない俺が足を踏み入れて無事生還できるかどうか。


 迷っている時間はなかった。俺は森に足を踏み入れた。





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