◇ヒュドラにダンデム◇
がり●り君のアイスコーヒー味にはまりました。
これからアイスのシーズンですね♪
夕日が草原を染める頃、俺達は町の入口まで辿りついた。
「いそいでいる。冒険者ギルド所属、ジャスティン押しとおる!」
走るスピードを緩めもせず、俺達は門番の前を通り過ぎる。
知り合いの門番は、あまりの美声にあっけにとられて俺達をノーチェックで通した。
いや、顔見知りだから、チェックしなくても身元たしかなんだけどね?
レオとモスラムは更にそのまま砦まで走る。ウィルに応援と偉い人に取り次いでもらうためだ。
俺とジャスティンは、とりあえずギルドに行って素材受付カウンターに走った。
「『剛腕の盾』です。ゴブリンの巣討伐達成しました。素材の一部を持ち込みましたので鑑定をお願いします。」
「はいはい~」
ギルドのお姉さんは軽く返事をして、引出しからカウンターを出してくる。
「何体くらいあるの?」
「ゴブリンとオークが合わせて70体位、その他に草原狼やホーンラビットとか」
「ちょっと待って!ここでそんなに出されたら困るわ。奥の部屋へ!」
俺達が最初にここに来た時に絡まれ、それから登録のために案内された部屋へ連れていかれる。
インベントリから獲物達をすべて出すと山のようになった。
「まだ現地に半分位残っています。取りに戻るので後のも一緒に計算してください」
それだけ言って飛び出そうとした俺達をギルドのお姉さんが呼び止める。
「待ってください。もうすぐ日が落ちます。夜の草原は危険です!オークの群れが移動しているのを見たという報告もあがっています。明日ではだめですか?」
「その情報いつのですか?オークの群れなら討伐済みです。それに、仲間が現地で待っているんです」
俺が説明するのだが、ギルドのお姉さんも必死だ。
「でも!FランクとEランクの人ばかりじゃないですか!」
「わたしはDランクだが?」
あれ?ジャスティンさん、そうだったの?
あまりのいい声にギルドのお姉さんは、一瞬気圧されるがそれでも俺達を止めようとする。
「無謀な行為を止めるのも職員の義務なんです。言う事を聞いてください!」
「Bランクがいりゃ、文句ないだろ。」
その時、ギルド長と共に俺好みのマッチョ兄さんが顔を見せた。
「Bランクの『戦塵の刃』のアレスだ。その件で砦から依頼がきたと聞いた。俺がいこう」
ん?どっかで見たことのある人だし聞いたことのあるセリフが混じっていたような…。
「ある現象に対して緊急の調査以来が司令部長官から出たからのぅ。砦の騎士達も一緒じゃし無茶ではないだろう。責任は儂が取る」
ギルド長も戦装束をまとっている。手には杖をもっていた。
「子どもらは俺達の騎獣に乗せていく、安全だろ?」
いや、俺は一応ここでは成人の括りに入ってるんですけど…。
トカゲに翼が生えたような魔獣はヒュドラというらしい。
アレスのパーティでは一人一匹を使役しているらしく6匹を獣舎から引き出してきた。
Bランクって…すごいんだなぁ。こんなのにも乗れるようになるんだ。
「ギルドには、こいつを売るための仲介をしてもらおうと思ってきたのだが…タイミングが良かったな。最後にもうひと働き、俺達とするか?」
一匹のヒュドラの首を叩いてアレスは言う。
ヒドラは大人しく頭を垂れていた。黒目が潤んだように濡れていてとても人に慣れているようだ。
「そのヒュドラ、分割でよければ、売ってもらえるか?」
騎士団を従えたウィルが、いつの間にかギルド前に到着していて声をかけてきた。
・・・豹の頭のリアル白馬の王子様がいましたよ!
騎士団の制服にキラキラしい階級章と群青のマント。
ヒロイックファンタジーの扉絵の王子様のようですよ!
見ると息も絶え絶えという感じのモスラムと疲労した表情のレオの姿もあった。
あの短時間で、ウィル達をよく引っ張ってこれたなぁ。
「その分はギルドで立て替えよう。この町から騎獣が減るのは、防衛上問題が出るしのぅ」
ギルド長はウィルの方を見ていった。
「助かります。アレス達がここを離れるとなると空が手薄になってしまう。
いずれは空挺団を組織しなくてはならないとは考えていましたが…」
「わかっておる、どこも予算が潤沢で困っているような場所はないからの。
ギルドとて砦を守っている騎士団がいてこそじゃ。もちつもたれつ、気にせずともよい」
話はまとまったようで、ウィルとアレスは握手をする。
「じゃ、こいつの初騎乗、楽しんでくれ」
アレスはたずなをウィルに渡している。
そ、そんなに簡単に乗れるものなの?
俺が驚いているとウィルに手招きして呼ばれた。
「来いよ。乗ったことないだろ?」
まじですか…
……ヒュドラに乗った事がある、ないってポニーに乗った事がある、ないっていうのと同程度なの?
ウィルの後ろに乗ろうとしたら、前側をパンパンとされた。
そっちに乗れという事らしい。これは・・・恥ずかしすぎる!
抱き抱えられるように支えられ、顔が赤くなる。
これはごまかすために、話かけ続けねば!
「そっかー『戦塵の刃』って、あの時のBランクの冒険者のパーティだったんだ」
魔獣襲撃の時、いち早く砦にかけつけてくれた、すごく頼もしい冒険者のパーティだったのだ。
ウィルは器用に翼あるトカゲ、ヒュドラを操り大空を翔けていく。
「あの時、仲間が亡くなったって聞いたけど…」
「このトカゲの持ち主だったらしいな。空で攻撃を受けて、落下、即死だったらしい」
ウィルはちょっとだけ声を張って言った。
風が耳を切り、会話がしずらい。
「おい!ちっこいの!魔法で風の障壁を作れ!高度があがると息がしずらくなるぞ」
俺達のヒュドラを追い越しながらエルフのジャスティンさんが俺に向かって叫ぶ。
ちなみにアレスとダンデムしている。
「あ、そうなんだ」
「頼むぞ」
俺は魔法で空気の泡みたいなものを作り、俺とウィルの周囲にまとわせた。
「エルフって子ども好きってか…小さい物が好きみたいね?またちっこいのって呼ばれたし」
「ああ、寿命が長いからか子どもが中々生まれないんだ。だから種族的に子どもは大事にする。小さい物が好きというのはそういう事も関係あるかもしれないな。…気に入られたみたいだな?」
「最初、子どもだと思ったらしくてね。ベイリーに『落ち着け、彼女は成人してる』って言われて肩を落としてた!」
その時のことを思い出して俺は笑った。
あの時の肩を落として残念がったジャスティンの姿はなかなか面白かった。
「『成人している』って言ったのは…どんな奴だ?」
「えーと犬系の獣人の人!あの人もエルフくらい背があったよ!彼らから見たら子どもって見えるんだろうなぁ~」
俺は笑ったが、ウィルは黙り込んだ。
そして真面目な声で言った。
「その者の尾を触ったりしていないよな?いいか、獣人の尾はどんなことがあっても触ってはいけない」
「え?」
そんな、あんなもふもふしたものを触れないだなんて…。
「とにかく触ってはいけない。わかったな?」
ちょっと怖かった。なんかそんな文化でもあるんだろうか。
尾を触ることが侮蔑した態度になるとか…。
「わかった・・・。」
「いいな。お前はこっちの世界の常識に疎い。だめなものはだめだからな」
いつもは優しいウィルが厳しい。
見上げた顔の眉間にちょっと皺が寄っている。
というかどこから獣人の尾の話しになった?




