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JKだけど異世界で真の漢に俺はなる  作者: 相川ミサヲ
第2章
30/78

◇不思議なきのこ◇

読んでくださりありがとうございます!


夜にノースリーブで買い物に出たら寒かった!

寒暖の差があります。みなさまもご自愛を!



 ヒュドラに乗っていくと、現場まではあっという間だった。

 着いてみると、インベントリに入りきらず、残していったゴブリン一体が一角熊に化けていた。


 「え?ナニコレ?」

 「ああ、それね。説明すると…」


 あのあとゴブリンの巣をみんなで埋め、川で汚れを落とし、寛いでいると血のにおいで草原狼がやってきた。

 それをやっつけてそばに置いておいたら、死霊蜘蛛がその死体を盗もうとやって来た。

 それをさらにやっつけて置いておいたところ一角熊がやってきた、という訳らしい。留守番組もなかなか大変だったようだ。

 形は違うけど、まるでマトリューシカ。



 えらい人はこの場所をどうするか、長いこと話しあっていたが、何分アジャール草原の中なのである。

 人を常駐させて見張ったりするのにも限度がある。

 場所を秘密にして、採集権を設定し、取りすぎないよう町で管理することに決まったようだ。

 俺達も口止めされた。



 そうこうしている内に夕闇が急速に落ちてきた。

 「今夜はここで泊りだな」

 ウィルが空を見た。

 「幸い天気が崩れる心配もなさそうだ。時期外れの夜営訓練とするか」


 暫くして、馬に乗った騎士さん達が到着した。鞍には夜営準備を整えて荷を括り付けている。


 「ご苦労」

 手をあげてウィルが労う。

 「隊長、言われた準備してきました」

 馬から降りたのは見覚えのある大柄な騎士。

 「あ、嬢ちゃん!」

 「あの時の…」


 魔獣の尾が刺さって死にかけていた騎士の幼馴染で、クリスさんに土下座までして治療を頼んでいたあの人だった。

 あれから治療院へ何度も足を運んでくれていたらしいのだったが、今日まですれ違っていてとうとう会えずじまいだったのだ。


 「ありがとう!ありがとう。デュオの奴も、もう軽い訓練なら出てこれるようになったんだ」

 お礼を言いながらまた涙ぐんでいる。


 涙もろい人なのかな。

 大人の男の人に泣かれてしまうというレア体験をした。なんだか気恥ずかしい。



 



「待ってる間、薬草摘んでおいたわよ」

 「能力開花のきのこ」ですっかり美女顔になったベスが俺に薬草を渡してきた。

 美女の出現に、その場の空気がかわる。

 天幕設営のためピグを打っていた騎士の一人が、見とれて自分の指を叩いて呻いてた。


 涙目になっていたので、ヒールをかけてやる。

 まだ若そうな人だった。同じ位の歳かな。

 「よそ見したら危ないよ」

 笑いながら言うと、照れくさそうに頭を掻いた。


 あの、ぼんきゅっぼんにハイレグアーマーは確かに目がいくけどね~。

 気持ちはわかる。


 「ヒールしてくれてありがとう。君、名前は?」

 あれ?この人レオの誕生日には来なかったのかな?

 「アリサだけど?」

 「ぼ、ぼくはニコール!ウィル隊長の…」


 途中まで自己紹介したところでレオが割って入った。

 「あとは俺がやるよ。隊の人達、あっちで整列してるし。行かなくていいの?」

 指を差す方を見ると、騎士団の人はみなウィルの前で整列をしている。


 「あ、ごめん。頼める?ぼくも行かなくちゃ」

 少年は走って行って列に並んだ。

 どうやら隊のみそっかすみたいだ。ウィルに注意されている。


 ウィル、ちゃんと隊長なんだなぁ。

 変なところに感心する。家でのウィルは俺やレオに甘々だから。


 「あんまり、知らない奴と話しするなよ」

 レオがお小言を言ってくる。

 レオらしいといえばレオらしい。

 ちょっと前のムカムカする言い方が戻ってきたようだ。俺は肩をすくめ、言い返すのを我慢した。こんな所で喧嘩になっても仕方ないしね。


 ピグを打ち終わったレオは俺にくっ付いてくる。なんだよ・・・。


 さて、ラズとレイチェルと話し合って、もう一度インベントリ整理をしないと。 もって帰るものはいっぱいあるし、夕食になるようなものも選別しないとだし。

 …あの草原狼はもったいなかったな。


 「レイチェル!インベントリの整理をして、今日の収穫を整理しなおそうよ」

 俺が声をかけると、レイチェルは大量の魔物をインベントリから出している途中だった。


 「ギルド長がいるから大丈夫!」

 俺はわからず首を傾けた。

 さっきは時間がなくて、ゴブリンやオークなどそのままインベントリに収納してギルドまで運んだが、俺の読んだラノベ知識では、本来は討伐対象の部位だけ持っていけばよかったはず。


 こっちの世界ではゴブリンでも魔石をもっているから、そのまま持たされたのかと思っていたのだが違うのだろうか?


 「お前、錬金術のことも忘れたのかよ…」

 レオが呆れて言った。

 どうやら説明してくれるようだ。


 「魔物を狩るのは討伐のためばかりじゃなくて、利用価値があるからなんだ。魔石もそうだが、錬金術師が魔力を込めた炎で焼くと、『マナを含んだ粉』が抽出できるんだよ。『マナを含んだ粉』の抽出は錬金術師しかできない。ゴブリンからとれる『マナを含んだ粉』はほんのわずかだけれども、その粉を使えば、さまざまな魔道具作りに利用できるんだよ」


 マナってあれか。魔素とか言われてる奴だよな。


 ギルド長は錬金術師の能力もちらしい。

 いまからここで魔法を使って『マナを含んだ粉』の抽出を行うらしい。

 レイチェルがインベントリから出した魔物を「剛腕の盾」のメンバーがそのための前準備として、素材を剥いだり魔石を取り出したりして、種類ごとに山にしていくようだ。


 「おい。お前の剣貸せ」

 レオが言うので貸してやる。

 俺の剣には光の属性の魔石がはめてある。それに魔力を通すとレーザーのように

スパスパと切れる。

 魔法が苦手なレオでもその位はできる。


 お、俺の魔剣が戦闘以外の事で役に…。


 魔石を取り出すためだけに大活躍。

 な、泣いてなんかいないんだからっ。



 処理が終わった魔物が、ある程度の数になると、ギルド長は呪文を唱え、死体を魔法の炎で焼いた。すると魔物の死体から光の粒子がたちのぼる。

 さらに呪文をギルド長が唱えると、その粒子はさまざまな色の粉となって、自ら瓶に向かっていき中へ入った。

 種族ごと、魔物の属性ごとにその色も効果も違うらしい。

 これがいろんな魔道具に使われるんだなぁ。


 あとには何も残らなかった。


 「これは、インベントリにも随分空きが出来るね」

 「この分なら帰りも狩りができるわよ」

 レイチェルがやる気に満ち溢れた発言をした。ラズは苦笑している。


 ちなみに俺は解体作業に参加できなかった。

 死んだゴブリンの目と目があって吐いた。

 豆腐のようなメンタルで申し訳ない…。


 仕方ないのでレイチェルと薬草の仕分けをした。

 これも勉強だ。レイチェルについて、いろいろ教えてもらう。

 その間に何とか魔物処理は仲間がすべてやってくれたようだ。


 ああいった処理も、いつか慣れる事ができるのかな。

 冒険者活動をするなら、相棒をメンタル強い奴にするか、倒した魔物は、まるさらギルドに持っていくようにしよう。

 そう決めた。

 うん。そうしよう。


 「さて例のきのこなんだが…味見させてもらえるのかね?」

 ギルド長が興味津々といった感じで聞いてきたので、きのこ鍋にすることにした。

 女冒険者総出で作って、夕飯の席でみんなに配った。


 どうやらきのこの効果は一度だけのようだ。なので、まだ「能力開花」の洗礼を受けていない騎士達とギルド長が、どんな能力を開花できるのか楽しみだ。。


 焚火を囲み車座になって皆で食事をとる。

 ウィルは俺とレオの間に座った。



 「あ?」

 「え?」

 「なんで?」

 反応から微妙な能力開花があったと思われる。

 ウィルがいるのだ。これは査定してもらわないと。

 俺はウィルに耳打ちしてこっそりと教えてもらった。


 「人の年齢が正しくわかる能力」

 「お面作りの能力」

 「魔力探知の能力」


 「最後の人の、当りだね」

 魔力探知って敵の魔法使いや魔獣の気配を探知できる能力だよね。

すごく役に立ちそう。


 最初の人、だからジャスティンさん見て驚いているのか。エルフだから見た目とギャップあるだろうしね。


 真ん中の人、お面作りって…。乙。騎士団を退団してからの趣味の世界にいかせそう。まだ若そうだけど。


 「お茶を美味しく淹れれる能力」

 「水魔法」

 「3人まで、仲間の能力をUPできる能力」


 こっちの3人は使える能力が開花したようだ。よかったね。


 「兄さん、俺とアリサのは?わかる?」

 レオが俺とウィルの間に割って入った。

 「レオのは魔法防御だな。当りじゃないか」

 「…」

 それは俺にとっては困る。この前みたいにレオが壊れた時には何にも抵抗できなくなってしまう。


 「アリサのは…『変身』?ってなんだ?それ」

 俺は青ざめた、もしやそれは魔法少女的な能力ではなかろうかと。

しないぞ、亜空間に行って全裸で着替えとか!


 「兄さんのは?」

 「ある意味、幸運にあたるような能力だな。気に入った」

 ウィルはちょっとうれしそうに笑った。

 「『良い縁を引き当てる能力』」


 ああ、そうだよね。今までストーカーとかメンヘラとばかり縁があったものね。 今後はいい縁が築けるといいね!





 「…しないぞ。俺は読まないぞ。あえて読んでたまるか!」

 カミルがぶつぶつ言っているが聞こえた。

 ウィルはそっちに顔を向け、気の毒そうな表情を浮かべて言った。

 「異性の本音が読める能力…」


 「…知りたい場面もあるのかもしれないが、」

 「…これからの人生。生きずらそう~」

 「『知らなきゃ幸せって諺』なかったか?」


 俺達はカミルの今後の人生に、黙ってエールを贈った。

 強く生きてくれ、カミル。女性不審にならない事を祈ろう。


 「戦塵の刃」のアレス達もきのこ鍋を食したようだが、ウィルいわくBクラス位になると、ステータスはなかなか読めなくなるらしい。

 「自分の手のうちを晒しているようなものだからな」

 というのがウィルの弁。


 俺もレオも「剛腕の盾」の連中も、まだまだって事らしい。

 ステータスを読める人にとっては、弱点をわざわざ見えるようにしてあるのと一緒だものな。



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