◇ゴブリン討伐2◇
読んでくれてありがとうございます。
作者もノッて書いてます。
このペースが続くと良いなぁ…なんて。
「彼らからすれば軽くホラーだろうなぁ」
カミル少年がのびをして立った。
今回、彼の出番はなかったのである。
小高い丘の上で、パーティーメンバーの活躍をただ眺めていたのだ。
「なるほど『漁夫の利』とはこういう事ですか」
バートンもカミル少年の隣に立つ。
「なんか、闘った気がしねぇし」
そこへ魔物の血で若干汚れたベータがレオと共に戻ってきた。
ユウリとベイリーも一緒だ。レオは一旦はずした金属製の防具をまた装備した。
音をたてないように外していたのであるが、さすがというか傷ひとつ受けていない。
「うぅ。もういっぱい、もうはいんない」
レイチェルも半泣きで戻ってくる。
まぁ種あかしをすれば、戦いで夢中になってる隙に倒れた魔物に留めをさし、 こっそり後方で待機している俺達の方へ運んでいって、インベントリに収納していっただけなんだけどね。
「両方で80は行ったと思う」
ジャスティンは数を数えていたようだ。
「巣の方はどうする?」
何故か一斉に俺の方を見る。
「インベントリ?まだいけるけど?」
「それじゃ、ちゃっちゃとやっちゃいましょうか」
ベスとマチルダが調子よく言う。
彼女達にいたっては花冠を作って遊んでいたくらいなのである。なんかすでに終わったかのような空気になっている。
ラズもなんだか拍子抜けしたような顔をしていたが自分の頬を自分の両手でパ ンッと叩いて活をいれると皆に向かって言った。
「さぁ討伐をはじめようか」
モスラムが再び斥候で巣穴を探ってくる。
「情報はあてになんなかったな」
結果的にはまだゴブリンが30匹ばかり残っていたのだ。
「当初の予定では50匹程度の予定だったからな。あのままオークとの一件がなきゃ70匹ちょっとを相手にしていたと言う訳か。苦戦しただろうなぁ」
何が幸いになるかわからないものである。70匹越えのコロニーだなんてEから Fの混合チームじゃキツイなんてもんじゃない。悪くすれば全滅だ。
それにしてもラズとエドのコンビは素晴らしい。頭脳派のエドと経験と実績のあるラズ、この二人が組めば無敵じゃないか?
「一人、二匹だぞ?」
ラズが笑顔で言った。
「楽勝だろ?みんな」
一人で相対するには3匹目から格段に難易度があがる。2匹がノルマならそんなに気負わなくてもいい。
そう知っているので、皆の笑顔も明るい。
「よし、数は減ったが当初の作戦でいこう」
弓部隊の俺達は小高い丘の上に陣取った。
眼下にはVの字に陣を取った仲間。前方の丘の中腹には獲物であるゴブリンの巣。
俺達3人ベイリー俺、ベータの3人は弓に矢をつがえた。
狙いは歩哨に立っているゴブリンだ。
まずは命令系統を切り刻む。
ヒュン!ヒュン!ヒュヒュン!
3本の矢がそれぞれ歩哨に立っていたゴブリンを狙って飛んでいく。
ベイリーとベータは矢筒から次々と矢を取りだし射っていく。
俺は2~3本射ったら、風の魔法で障壁を張る。
こちらから矢は突き抜けるが向こうからの投てき物は防げるご都合魔法だ。
なんたって、ゴブリン達から見たら丘の上の俺達は丸見えなのだ。
キイッ!キイッ!!
怒りで歯をむき出して俺達に突進してくるゴブリン達。
その先頭がVの字に広がったパーティの先端と接触する。
長い腕に長い槍といったとんでもなく長いリーチの攻撃がジャスティンから繰り出される。
ジャスティンの攻撃を避けて左側に回り込めば、そちらにはラズが待ち構えている。
オークをも殴り飛ばす剛腕がうなりをあげる。
混戦に入ったと見るや、矢を投げ捨てて剣を抜き、丘から飛び降りるベイリーとベータ。俺は風の魔法で少しだけ押し上げてやり、足など痛めないように配慮してやる。
それに気がついて俺に投げキッスをしてくるベータ。
いらんいらん。
俺の身体能力的に、飛び降りるというのは無理なため丘の上から補助魔法で仲間を援護する。
上から下の様子を見ると、レオの強さが半端ない。迷いのないキレキレの動きで斬っては捨て、斬っては捨て…見てるうちに5匹以上切り倒していた
まぁウィルとの鍛錬を見てても強いって思ったもんなぁ。
レオの強さがこの世界の標準じゃなくてよかった。
絶対おいつけんだろう、あれは。
エドの予想通り、残ったゴブリンが川とは反対方向へ敗走をはじめて、そこで待ち伏せしていたエドとカミルに切り倒されていた。
おそろしいまでの圧勝。
完膚泣きまでの勝利。
すべて終わっても、誰も息も乱していなかった。
凄すぎるだろ。このパーティ。
しかし俺の魔法剣の出番がない。
――なんて思ったのが後に起こることのフラグになるなんて、この時の俺はちっとも知らなかった。




