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JKだけど異世界で真の漢に俺はなる  作者: 相川ミサヲ
第2章
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◇パーティ「誕生日」◇

ストックがつきてきた。がんばれ!なけなしの脳細胞!

 打ち上げに昼飯を一緒にするというのを断って、俺は家に帰った。

 まぁ今日は特別な日だからな。それにクリスがレオをいかがわしい店に連れていこうとするのを阻止せねばならん。

 そういう事は通過儀礼だったりするのだろうか?

 だとしたら大きなお世話なのかもしれないが、せめて俺の知らないところで行ってほしい。


 それに知り合いの男の子のDT卒業日を知らされるだなんて嫌すぎる。


 レオの事はああいう事があったし、今までみたいに、軽い気持ちでつきあっていくわけにはいかないだろう。

 正直めんどい。なんで男だ女だって考えなくちゃいけないんだろ。

 俺は俺でいいじゃないか。


 もやもやする気持ちをマッシュポテトにぶつけてみた。

 さらに炒めたホーンラビットの粗挽き肉と混ぜて丸めて…

 流れ作業で油であげていた。

 「あれ?」

 コロッケができていた。


 まぁいいかチキン南蛮と一緒にお祝いの席に出してみよう。


 昼から夜のパーティ開始時間ぎりぎりまで俺、がんばった!

 スミス夫人と一緒に台所でフル回転。

 臨時雇いのケータリングサービス的な人も何人か来て、会場セッティング、料理の用意、招待者の確認に余念がない。


 もちろん主役のレオも家の主人のウィルもいろんな手配などに走り回り、がんばる。華やかな催しの陰ではこういう裏方作業があるんだよな。なんか学校の文化祭を思い出して懐かしい気持ちになった。


 準備が終わって、みんな着替えにいったが、俺にはメイド服が渡された。

別に着飾りたいわけではないが、いいじゃんいつもの服で。

 解せぬ。



 レオのお祝いは本番は王都で行われるそうだ。そっちでは、社交界デビューも兼ねているんだってさ。忘れがちだけどウィルん家はそういう事に縁のある家柄って事だね。

 女子のデビューほどじゃないけど、男子もいろいろ大変らしいよ。

 日本じゃそういうの関係なかったからなぁ。よくわからないけど。


 こっちではごく内々のお祝いになったけど、それでも20人は来たかな。

 ウィル関係が一番多くて、ついでレオの友人でこっちに実家のある少年2人、見 覚えのある面子でいえば、冒険者ギルドではダールマさんとゲイルさん、ギルド長のリシャールさん、まぁみんなよく飲むし食べる。


 砦の魔術師さんグループからはライラさんとディーンさんが来ていた。

 ライラさん、早速男性に囲まれる。うーんあいかわらず、恋愛偏差値高そうですな。


 こっちに生活基盤があるわけじゃないので、レオの知己は少ない。

 今日はレオの顔見せというか、ウィルの弟としてのお披露目も兼ねてるから、お誕生日会と言っても、仲良しばかり呼んだわけではないらしい。


 各ギルドのトップじゃなくてもその下クラスの人とか来てた。

 大人が多いのもそういう訳らしいし、俺の顔見知りともけっこうかぶる。

 俺、けっこう短期間でこっちの実力者と結構知り合っていたらしい。なんかのフラグじゃないだろうな?

 ラノベ的な危機探知がビンビンくるぞ。



 認めたくないものだな。

 …若さゆえの眩しさというものを。


 レオの正装はなんというか光ってた。

 同じ歳頃の少年達も似たような装いをしてたんだが、ひとりだけ目立ってた。今日の主役だからってだけじゃなく、オーラが出てた。

 それ見てクリスが「俺の少年期そっくりだ」とか抜かしていたが、おまえの弟じゃないし、ウィルの弟だし。


 それを思えば、ウィルがレオの年頃の頃はすごかったんだろうなぁ。

 今のレオの少なくとも倍は光っていたに違いないし、そりゃストーカーもわらわらと涌きそうだ。刺されたのが一回だけなのって奇跡じゃないか?


 いやいやながらも「レオ、かっこいいじゃん」

と褒めてやると、「今頃気が付いた?」だってさ。もう褒めてやんねぇ。


 やっとレオの友人にも紹介してもらった。黒髪黒目で親近感のわくカミル少年と赤茶の髪と青目でそばかすのあるバートン少年だ。

 二人とも、紹介されているときに、

 「あのアリサさんですか…」

と言ったのが気にかかる。あのって…。


 あのって、ナニ?

 レオ、いったい俺の何の話してくれてんの?

 モヤっとしたが普通に挨拶をして握手をした。


 あと王都にも仲のいい子がいて、大抵5人で行動しているそうだ。

 男友達には恵まれていそうだけど、女友達がいねぇ…。

 これはひと肌脱いだ方がいいのか…でもヤンデレ紹介してクレームついてもなぁ。

 でも顔だけはいいから…。


 その前に俺に、女子の友人があまりいなかった。レイチェル…フリーかな?


 いろいろ考えたけど、最終的にめんどくさくなってやめた。

 まぁ自分の人生だ。自分でくいのないように生きてくれ。


 俺が冒険者をしていることをしていると聞くと是非一緒したいとの事。

 Cランク相当の「沼なまず」を倒したことが噂になっているらしい。

 レオは渋っていたが「剛腕の盾」のラズに紹介してあげよう。

 ラズは男子には厳しい。鍛えてもらえ。


 プックククク。

 意趣返しになると思うと笑いがとまらない。


 熱が下がってから、レオは俺をビクビクさせんのがマイブームらしい。

 今日を境に成人するんだから、ぜひ大人になって大人的な態度をとってもらいたいものだ。

 隙あれば、俺のパーソナルスペースに侵入しようともくろむレオを軽く睨む。


 …いい笑顔を返しやがった。


 思わず悪寒が走った。



 口直しにウィルの姿を探す。


 ああ、癒される。あの尻尾と耳、触らせてくれないかな。


 俺に気が付いてウィンクした。


 照れるな。ふ。




 パーティには俺作のコロッケと鳥南蛮も出た。

 「これはうまい!」

 コロッケの置いてあるテーブルの前を陣取っているのはワルシャール国の南方基 地方面アジャール砦特別司令部の長官のコスナー夫妻とそのご子息だった。

ウィルの上司っていたんだ。

 てかアジャール砦では、ウィルが一番の責任者かと思ってたよ。


 「剛腕の盾」で一緒に狩りをしたレイチェルが、目をキラキラさせて、

 「長官のご子息様、カッコイイのよー」

と、言っていたので、俺もつい注視して見てしまったが。

 ウン。フツーだね。

 フツーにかっこいいし、フツーにイケメン。

 でもただそれだけ。記憶に残りにくい人だ。


 ウィルとレオ、それにクリスとか見慣れてしまったからか、レイチェルが騒ぐのがわからない。

 いいのか悪いのか。俺の目は贅沢に慣れてしまったらしい。


 それより、ゲイルの筋肉があいかわらず凄い。俺が賞賛の視線を送っているとレオが両手で俺の目を隠してきた。

 なんだよ!別にヤラしい目で見てたわけじゃないぞ。


 あと意外だったが、ゲイルもダールマも末端とはいえ貴族様だった。

 びっくり!


 馬子にも衣装ってのか、ゲイルもダールマもそれっぽい人に見えてたな。

 ゲイルの胸まわりと腕まわりは成長しつづける筋肉のためケンシ●ー、一歩前状態だったが。






 せっかくのメイド服である。

 俺はスミス夫人と共に会場を精力的に歩き回り、飲食物の補充や食器の上げ下げにいそしんだ。

 途中から長官ご子息のエド・コスナーが俺にワンツーマンで張り付いてきた。

 記憶に残らないような薄い容姿なのに、アピールが強烈だ。

 「剛腕の盾」のベータといい、こいつといい、こっちの人間の方が積極的なのが多い気がするな。

 俺が迷惑がっていい加減に相手をしているところを意味深な目でライラさんが見ていた。

 こりゃまた砦に行った時になんか言われるな。


 「今日はレオ君の誕生日だけど、アリサにも遅まきながら…」

 ディーンにちょいちょいと手招きされて行ってみると、小さな杖を渡された。

 「僕たち魔術師からお祝い。沼なまずを倒したんだってね?魔術師としての討伐デビューおめでとう。これからも精進するんだよ」

 「ありがとうございます!」

 感激しちゃうなぁ。そんなお祝いを用意していたなんて気がつかなかったよ。



 「へぇ。君、魔術使えるんだ?」

 エド・コスナーが、話に割って入ってきた。

 「アリサはほとんどの属性に適性があるんだ。将来が楽しみだよ」

 ディーンが自分の事のように胸を張って言うのでこそばゆい。

 「…。ますます君に興味がわいてきたよ」

 エドの奴、どっかで聞いたようなテンプレ発言をしましたよ。

 何キャラ目指しているんだよ。この薄い人は。

 うんざりとした空気を醸した俺に、ディーンが労わりの視線を向けてきた。


 ああ、そっか、身近にライラさんがいるから、同類はすぐわかるのね。


 それよりもさっきから背中に視線をビシビシと感じるのだが。





 ――振り向けば奴がいる。


 サバンナで、ライオンがインパラを狙うような目でレオが俺のことを見ていた。


 こええよ!ヤンデレこええ!






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