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女魔王、偵察する

「実はあの国では民族の子供を虐げては奴隷として貴族に売られ、働かされ、さらに王族のいるあの国では横領、賄賂もしたりしているという噂があるらしい。本当かどうかは分からないが。でも、俺は馬車で通りかかった時、実際に民族の子供が虐げられているのを見て実際に助けたこともある。あの街では何故、そうなっているのか? 原因は全く分からないけど。でも、俺はもし、王族の奴らが噂通り、そんな悪いことに関わっているなら俺は絶対に許せない! それが真実なら本当に害があるのは、おばさんより、あいつら王族の方だと俺は思っている!」


「賢人君は、私にどうしろと…」

「おばさんは、民族には危害を加えないだろ!! だから協力して欲しい!」


「…分かった。私も協力する。まぁ、今は疲れたろ。ゆっくり休むことだ」

「おばさん! でも、俺は!?」

「良いから、言うことを聞いて…」


 私は彼の頭を撫でて、寝かせつけ、部屋を出る。そしてあの王族のいるあの国を偵察するために魔王城から出ようとすると…。

「魔王様、いったい何処へ?」

 クルーエルだ。


「ああ…ちょっとな…勇者が言っていたあの国に出かけてくる」


 そう言って私は翼をバサバサと動かし、空を飛ぶ。

 初めて、空を飛んだな。人間時代の時は全く空を飛ぶことがなかったからな。まぁ当たり前だが。でも、私が若い時の社会人時代は、空を飛べたら遅刻することなく、過ごせれるだろうなっと思ったり、ド◯◯◯んのど◯◯◯◯アさえあれば、一瞬にして、会社にいけるのになっていつも考えたりしていた。


 待てよ、そういえば、ステータスの中に高速移動があったな。

 名前 アリクシルエット

 職業 女魔王

 Level 999

 攻撃9999

 防御9999

 精神知性99

 特殊能力 ステータス 料理魔法 カレーライス 掃除魔法 農園魔法 水魔法 火魔法 天候魔法 防御魔法 脱皮 高速移動。

 良し、使うとするか。


 高速移動の能力を使う。一瞬にして、私を追放したあの街に来た。本当に速いな、なんて思っていると。


「オラッ!! 奴隷、働け!!」

「?」


 貴族の格好をしているオッサンと思われる男が、女の子を虐げている感じだ。何故、こんなことを。

 私はステータスで調べてみる。すると、


 ステータス この国の王族が行なっている行為。貴族が下の階層に対して、役に立つ子供は奴隷として働かされ、役に立たない子供は殺される… しかし、特定の女の子は、王族の性接待を受けることにより、特別、階級が上がることもある。さらに王族や貴族達は農民の畑等、所有物を横領し、財産を増やしている。


 なるほど、何とも皮肉な話だ。子供を売れば、職のない下の階層の物は永遠に生きていけるということか。


 貴族が下の階級の子供を買って、奴隷にしている感じだ。

 どうやら、この国は上下関係が厳しそうな気がするな。特に富裕層が本当に支配しているのかも知れない…。


 でも勇者、賢人君に協力するとは言ったが…。魔王である、私が助けにくることに下の階層である、下民達はどう思うか? 疑問ではあるが。だが、そんなこと、気にしている場合ではないな。


「やめて下さい、お願いします。もう、私、動けないし、働けないのです…。もう三日も何も口にしておりません」

「何だと! この奴隷! 貴様、この俺様に逆らうつもりか!?」

         ービシッー

 何とも偉そうな男だな、鞭で女の子を叩くとは。仕方ない、助けてやるか? この場合、見捨てる訳にはいかないからな。


「オラッ、動け、動け!!」

「やめて、やめて、やめて!!」


         ーシュッー

 私は高速移動をして男の前に出た。


「な、何だ、お前!?」

「おっと、失礼、私は魔王だ」

「な、何だと!? 魔王だと!?」


「この子を虐げるのはやめろ! 命が欲しければここを立ち去れ!」

「ちっ、訳が分からねえ。何で魔王がこんなところに…。何故、人助けなんかしやがる! まぁ良い、ついにこの俺様の下僕しもべを召喚する時が来たか!?」


 貴族の男が、紫色のダイヤの欠片を取り出した。

「下僕…だと?」


「そうだ、貴族の前でこの俺様の下僕を召喚してやる! 怖じ気ずくが良い!! ワハハハハハハハッ!! 見るがいい、これが俺様のドラゴン、漆黒のドラゴンだ!!」

 そう言って、顔を上に向け、両手、両足を広げる貴族の男。

 すると、男の下から魔法陣が出てくる。そして、でかい、身長百二十メートルぐらいの、大きな、大きなドラゴンが召喚されたのだ。


 ステータスを確認して見よう。


 名前 漆黒のドラゴンLevel 1

 Level 98

 攻撃 700

 防御 698

 精神知性30

 特殊能力 火球 氷球 闇球 進化


 くだらん。こんな程度のドラゴンを召喚しておいて、自慢してやがる。こんな奴、私の相手にもならんな。


 わぁーっ。ドラゴンだ、みんな逃げろ!! 

 民衆の人々はドラゴンを見て混乱し、周りに逃げ回っている。


「降参するなら、今のうちだぞ!! このドラゴンは進化をし、さらに、パワーアップすることでこの下僕はこの俺様と合体が出来るのだ!!」

「ほう、ならば、その力、見せて貰おうか?」

「魔王、まずは貴様が何処まで強いのか分からんが、まずは小手調べだ!! いけ!! 我が下僕! あの魔王をズタズタにしろ!!」


 ギャオオオオーッ!!

 ドラゴンは咆哮し、素早い動きで、右手を地面に叩きつける。

 私は女の子を両手で抱え、攻撃を素早い動きで躱す。


「ありがとうございます」

「礼には及ばない。気にするな。私の正義感で行なっているだけだ」


 お礼もちゃんと言えるなんて。それにしてもこんな可愛い子供を虐げていたとは、あいつ、許さない! 

 おばさんである私の心があの男に対して怒りの炎を燃やしている。


「ちょっと躱しただけで、調子に乗るな!! 殺れ! ドラゴン!!」

 ギャオオオオーッ!!


 ドラゴンは雄叫びをあげて、口から大きな、大きな火球を放ってきた。

 水魔法で打ち消すか…。それとも、防御魔法で防ぐか…? 


 まぁ、どちらでも構わない…。私は、彼女さえ守れればどちらでも良い。


 水魔法!! 私の選択はこれだった。この魔法のおかげで、火球を打ち消すことはできた。

 しかし、奴はまだ、調子に乗って言う。


「ハハハハハッ! 攻撃を防ぐだけではこの我が下僕を倒すことは出来んぞ! 殺れ!」

 ギャオオオオーッ!!


 咆哮をあげたドラゴンは、口から巨大な氷球を放つ。火魔法!! 火魔法により、相打ちで消滅していく。この攻撃も防ぐと、さらに口から連続攻撃を仕掛けてきた。闇球、闇球、火球、氷球と。


 防御魔法!!

 私の前と、周りを魔法が全体を包み込むようにしていく。奴の攻撃が防御魔法により、消滅していく。


「何だ、魔王のくせに何もしてこんとは! やはり、このドラゴンの恐ろしさに怖じ気ずいているんだろ! ハハハハハッ!!」


「フン、お前はバカな奴だ。私は手加減してやっているだけだと言うのに。本気で来いよ、本気でな…」


「何だと…」


「はっきり言ってやろう。そんな弱々しいドラゴンを召喚しておいて、自慢するとは…。くだらん、実にくだらん。私の相手にもならん」


「面白い、そこまで言うとは…。このドラゴンの最終形態を見せてやろう! そして、後悔するが良い。この俺様を…この我が下僕を馬鹿にしたことを!! 漆黒のドラゴン! お前の最終形態を見せてみよ!!」

 ギャオオオオーーーーーーッ


「我が下僕の第二形態、第三形態、最終形態、さらにはこの俺様との合体!! 行くぞ!! 魔王!!」


 ギャオオオオーーーーーッ!!。

「うわおおおおおおーーーっ!!」

馬鹿な男と、馬鹿なドラゴンが共に咆哮しあっている。この私に勝てる訳がないというのに。


あれが、ドラゴンの最終形態か。さらにはあの男と合体しようとしてやがるか。


「ぐわあああああーーーっ!!」


          ードンッー


「フハハハハハッ。これが、我が下僕の最終形態と、この俺様が合体した姿だ。魔王よ、後悔するが良い!!」

 へー。この姿がオッサンのいうパワーアップバージョンか? 一応、ステータスも確認しておこう。


 名前 漆黒のドラゴン Level10

 Level180

 攻撃15500

 防御15000

 特殊能力 火球 氷球 闇球 

 弱点 貴族の人間の額にある、紫色のダイヤの欠片。

 精神知性50


 何? 私を超えているだと? まぁ面白い。試させて貰おう。そのためには、この男を挑発する必要がある。


「やーい、やーい、弱虫のオッサン、こっちだよ、お尻ペンペン」

「なめるな!!!!」

         ーズドーン!!ー

「うわあああああーっ!!」

「魔王さん!!」

 これが…本気になった奴の力か…。どうやら、侮り過ぎたみたいだ。

 目にも止まらぬスピードで奴の攻撃を受けた私は死んでしまう。


「どうだ、これが本気になった俺様だ!! 貴様の敗北はこの俺様と我が下僕を馬鹿にし、侮辱したことだ!!」


「それは、どうかな?」

「何!? 生きているのか?」

 私は、古くなった皮を破り捨て、立ち上がる。

「フフフッ。教えてやろう。今、お前が攻撃したのは、私の皮膚一枚だ。さらに、今の攻撃で私はお前の攻撃、守備を超えたのだ。もう、お前には勝ち目がない」


 名前 アリクシルエット

 職業 女魔王

 Level 999

 攻撃19999

 防御19999

 精神知性99

 能力 ステータス 料理魔法 カレーライス 掃除魔法 農園魔法 水魔法 火魔法 天候魔法 防御魔法 脱皮 高速移動。

「デタラメ抜かすな!! この俺様が負ける訳ないだろう!!」

 ギャオオオオーッ!!

 ドラゴンの口が開き、火球攻撃を仕掛けてこようとしてくるが…。だが、その前に何としてでも倒してやる。


          ーシュンー

「何!?」

 私は高速移動で身長百二十メートルのドラゴンの頭の上に一体化している、オッサンの額にある、紫色のダイヤの欠片に思いっきり、パンチを繰り出す。


         ーバチーン!!ー


 ぐうわあああああああーーーーっ!!

 ギャオオオオーーーーーッ!!


 ドラゴン、そして紫色のダイヤの欠片は消滅し、残ったのは断末魔をあげた貴族の男だけになった。

 どうやら、私との闘いに負けたことで放心状態になっているみたいだ。


「バ、バカな…。この私が負けるとは…信じられん」

「どうだ、これでもまだやるか?」

「ク、クソ!! 貴様なんぞ、ザラム国王が何とかしてくれるわ!? 覚えておれ!!」

 あの貴族は急いで何処かに逃げて行った。


「あ、ありがとう。魔王さん」

 少女がお礼をいう。

「気にするな。魔王として、当然のことをしたまでだ。じゃあな」

「あ、あの…。魔王さん。わ、私、帰るところがなくて…。両親にも契約上、売られていて、縁も切れているし、どうしたら?」


 そ、そうか。それは困ったな。うーん、そうだな。私が引き取ることにしよう。ならば、一旦、この子を魔王城に連れて帰ろうではないか。


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