第34話 見極める夜
四人が帰った後、拠点には創設メンバーだけが残った。
「そろそろ、決めないとな」
リントが、椅子に深く座り直しながら言う。
「正式な班として、動かすかどうか」
「まだ早いんじゃないか」
ガレオンが、腕を組んだ。
「バロンは、今日みたいなことがまだ起きる。剣を抜く前に止まれても、抜きたくなる衝動自体は消えてない」
「でも、止まれてる」
フィンが、口を挟んだ。
「止まれるようになったことの方が、大事じゃないっすか」
「甘いんじゃないか、それは」
「甘くはないっすよ。俺たちだって、最初から完璧だったわけじゃないでしょ」
二人の意見が、しばらく噛み合わなかった。シャーロットは、その様子を黙って聞いていた。
「シャーロットは、どう思う」
リントに聞かれ、シャーロットは、少し間を置いた。
「まだ、危なっかしいところは残っています。それは、事実です」
「だよな」
「でも――四人で、互いの穴に気づけるようになってきました。今日、ミュリエルさんがバロンさんを止めたのも、ノルさんが呼ぶ判断をしたのも、その場で私たちが指示したからではありません。彼ら自身で考えて、動きました」
ガレオンが、しばらく黙っていた。
「……それは、そうだな」
*
「金の方は、どうなってる」
リントが、拠点の隅にある小さな木箱に目をやった。
「見てみましょう」
シャーロットが、箱を開ける。中には、これまで積み立ててきた硬貨が、思ったより多く溜まっていた。
「最低限の救難装備なら、四人分、何とかなりそうです」
「思ったより貯まってるな」
フィンが、覗き込みながら言う。
「地道にやってきた分、だと思います」
*
「正式な班にするなら、名前が要るな」
リントが言うと、フィンが少し考え込んだ。
「第二救難班、とか。そのままっすけど」
「そのままでいいだろ」
ガレオンが、あっさり言う。
「格好つけた名前より、分かりやすい方がいい」
シャーロットは、その言葉に、小さく頷いた。
「まだ、少し早いかもしれません。それでも――」
「それでも?」
「彼らが、今日みたいに、互いの弱さを補い合えるなら。私たちも、少しずつ任せていくべきだと思います」
「それでも、最初からすべての依頼を任せるつもりはありません。対応できる範囲からです」
*
「決まりだな」
リントが、椅子から立ち上がった。
「明日、話そう」
「反対はしない」
ガレオンが、短く言う。それでも、その声には、まだ迷いの色が残っていた。
シャーロットは、木箱の蓋を閉じながら、静かに息を吐いた。
窓の外は、すっかり夜が更けていた。




