↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
34/59

第34話 見極める夜

四人が帰った後、拠点には創設メンバーだけが残った。


「そろそろ、決めないとな」


リントが、椅子に深く座り直しながら言う。


「正式な班として、動かすかどうか」


「まだ早いんじゃないか」


ガレオンが、腕を組んだ。


「バロンは、今日みたいなことがまだ起きる。剣を抜く前に止まれても、抜きたくなる衝動自体は消えてない」


「でも、止まれてる」


フィンが、口を挟んだ。


「止まれるようになったことの方が、大事じゃないっすか」


「甘いんじゃないか、それは」


「甘くはないっすよ。俺たちだって、最初から完璧だったわけじゃないでしょ」


二人の意見が、しばらく噛み合わなかった。シャーロットは、その様子を黙って聞いていた。


「シャーロットは、どう思う」


リントに聞かれ、シャーロットは、少し間を置いた。


「まだ、危なっかしいところは残っています。それは、事実です」


「だよな」


「でも――四人で、互いの穴に気づけるようになってきました。今日、ミュリエルさんがバロンさんを止めたのも、ノルさんが呼ぶ判断をしたのも、その場で私たちが指示したからではありません。彼ら自身で考えて、動きました」


ガレオンが、しばらく黙っていた。


「……それは、そうだな」


*


「金の方は、どうなってる」


リントが、拠点の隅にある小さな木箱に目をやった。


「見てみましょう」


シャーロットが、箱を開ける。中には、これまで積み立ててきた硬貨が、思ったより多く溜まっていた。


「最低限の救難装備なら、四人分、何とかなりそうです」


「思ったより貯まってるな」


フィンが、覗き込みながら言う。


「地道にやってきた分、だと思います」


*


「正式な班にするなら、名前が要るな」


リントが言うと、フィンが少し考え込んだ。


「第二救難班、とか。そのままっすけど」


「そのままでいいだろ」


ガレオンが、あっさり言う。


「格好つけた名前より、分かりやすい方がいい」


シャーロットは、その言葉に、小さく頷いた。


「まだ、少し早いかもしれません。それでも――」


「それでも?」


「彼らが、今日みたいに、互いの弱さを補い合えるなら。私たちも、少しずつ任せていくべきだと思います」


「それでも、最初からすべての依頼を任せるつもりはありません。対応できる範囲からです」


*


「決まりだな」


リントが、椅子から立ち上がった。


「明日、話そう」


「反対はしない」


ガレオンが、短く言う。それでも、その声には、まだ迷いの色が残っていた。


シャーロットは、木箱の蓋を閉じながら、静かに息を吐いた。


窓の外は、すっかり夜が更けていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。