第35話 二つ目の旗
数日後。四人が、正式な第二救難班として動き始める日が来た。
「話していた件だが」
リントが、四人を見渡した。
「今日から、正式に第二救難班として動いてもらう」
一瞬、誰も言葉を発しなかった。
「本当に、俺たちで、いいんですか」
ノルが、確かめるように聞く。
「駄目なら呼んでない」
ガレオンが、素っ気なく答えた。
「ただし」
シャーロットが、続けた。
「最初からすべての依頼を任せるわけではありません。対応できる範囲の案件から、少しずつです」
「はい」
四人が、揃って頷いた。ミュリエルだけは、少し涙ぐんでいた。
「泣くとこじゃないだろ」
ケインが、からかうように言う。
「……分かってます」
ミュリエルは、袖で目元を拭った。
*
積み立ててきた資金で揃えた装備が、四人に手渡された。真新しいというわけではない。だが、確かに、彼ら自身のために揃えられた装備だった。
「これ、俺のサイズですかね」
フィンから受け取った革の腰当てを、ケインが体に合わせてみる。
「合わなきゃ、後で直す」
フィンが、笑いながら言った。
バロンは、渡された剣帯を、しばらく黙って見つめていた。
「大丈夫ですか」
シャーロットが尋ねると、バロンは、小さく首を振った。
「これまでのとは、違う気がして。それだけです」
*
「今日の依頼、一件だけ、お前らに回す」
リントが、依頼票を差し出した。
「無所属の駆け出しが一人、軽い怪我で動けなくなってる。距離も近い」
「行ってきます」
ノルが、依頼票を受け取った。
四人が拠点を出ていく後ろ姿を、シャーロットたちは、しばらく見送っていた。
「第一班、第二班か」
リントが、ぽつりと言う。
「数ヶ月前は、俺たち四人しかいなかったのにな」
「そうですね」
シャーロットは、短く答えた。それ以上、多くは語らなかった。
拠点の壁には、いつからか、依頼票を留めるための板が増えていた。棚も、以前より一段多い。四人分の椅子だけでは、もう足りなくなっていた。
窓の外を、第二救難班の四人が、並んで歩いていくのが見えた。




