目覚まし時計は壊される
桜の大樹があるサンクチュアリ
そこに埋まっていた棺から現れた謎の少女。
果たしてそれはリアの味方か敵か―――
「……あ、う……」
白銀の少女は焦点の合わない瞳で
ぼんやりと周囲を見回した。
その可憐な姿にリアは一瞬だけ見惚れてしまう。
しかし、背後の機械音が現実を引き戻した。
ガシャリ、と冷たい金属音が響く。
エラーをねじ伏せた三体のパスファインダーが
サンクチュアリの境界を「力」で踏み越えたのだ。
「ターゲット、無力化フェーズへ移行」
「パルスライフル、チャージ開始」
「ちょ、ちょっと待って! タイムタイム!!」
リアが悲鳴を上げる。
チャージされるプラズマの光が少女の白い肌を青白く照らす。
絶体絶命。
だが白銀の少女は恐怖を感じるよりも先に
ただ「不快そうに」眉を寄せた。
「……うるさい……です……」
少女の唇が小さく動いた。
その瞬間。
彼女の背後の空間が歪んだ。
『——近接防衛プロトコル:起動。脅威を排除します』
虚空から出現したのは
掌サイズの菱形をした六つの鏡面体——
『ビット』
それらは物理法則を無視した速度でパスファインダーの周囲に展開すると
一切の容赦なく純白のレーザーを放った。
「ガ、ア……ッ!?」
鋼鉄の巨体が紙細工のように容易く焼き切られていく。
一閃。
ただの一撃で、二体のパスファインダーは
一瞬にして物言わぬ鉄クズへと変わり
アイリスの花畑の上に崩れ落ちた。
「は……? え、マ? 嘘でしょ……?」
リアの口が塞がらない。
残った最後の一体は、右腕のヒートブレードを振り上げて少女へ襲いかかろうとしたが
ビットが放った衝撃波によって
頭部ユニットと腕を無残に吹き飛ばされ沈黙した。
そして静寂が戻る。
残されたのは
焦げた鉄の臭いと、呆然と座り込むリア。
そして——
「……私は……なんでしょう……」
「思い出せない……」
「大事な……大事なことを……忘れているきがします」
少女は力なく地面に降り立つと
足元に咲く青紫色の花を一輪、細い指で摘み取った。
記憶の海は真っ白で、何も思い出せない。
ただ、この花の形と色が
どうしようもなく「大切」なものに思えた。
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