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あるバイト門番の燻り  作者: 日比乃 翼
第一部 第二章 元警備隊員の来訪
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ある職業案内人の笑い声

 ◇アーチside


「アーリアッ!!」


 目の前に現れたもう一人の友達に、感情が爆発する。

 あたしは気持ちを抑えきれず、仲違いをしていた事も忘れ、警備隊時代の鎧に身を包んだアーリアに割れる様な声で叫んでいた。


 すると、返って来たのは、予想外の反応だった。


「あーっはっはっはっはっ!! 酷い様ね、アーチ!! あーっはっはっはっ!!」


 アーリアは、ボロボロのあたしを見るなり、場違いな程、盛大に笑い出したのだった。


「……あ、あんたね、今がどういう時か分かってんの?」


 謝りたい気持ちは、すっかり鳴りを潜め、馬鹿にしている様な笑い声に怒りを覚える。


 何が目的だろう。

 もしかして、仕返しとばかりに、聞く耳を持たなかったあたしの事を笑いに来たのだろうか。


「……もしかして、忘れたの?」


「はぁ!?」


 あたしの頭は混乱していた。

 先程から、アーリアの言動が掴めないのだ。

 突然、笑い出したと思いきや、今は冷静な顔であたしに何かを聞いて来るが、質問の意味が理解出来ない。


「カーマからの伝言よ! アーチが言い出したんでしょ? ……仲間が笑えない時に笑ってやるのが、本当の仲間だって!!」


「…………そっか、そうだった。……それ、あたしの口癖じゃん」


 何故、そこでカーマの名前が出て来るのかと思えば、確かにその言葉は、あたしが良く冗談で口に出して来た言葉だった。


「そうね。……そして、こっからは、私からの言葉よ。……起きなさい、アーチ! まだ、寝て良い時間じゃないでしょ? 王様に成るんなら、限界まで頑張らないと、私は認めてあげないよ」


 新人時代に良く耳にした、まじないの様なその言葉を聞いて、心から安心する。

 同時に、安堵とアーリアへの罪悪感で、自然と目元からは涙が零れる。


「……アー、リア……本当に、本当に、あたしを助けに来てくれたの?」


「そうよ」


「あんなに酷い事したのに?」


「そうよ。でも、一先ず仲直りは後ね。私がカッタルを抑え込む。その間に、アーチはルートさんの元まで下がって、回復してらっしゃい!」


「アーリア、あたし、絶対、絶っ対、戻って来るから!」


「アーチ、今までの事、夜には二人で笑い飛ばすわよ!」


「うんっ!」


 あたしは、ボロボロの身体を強引に立ち上がらせ、足を引き摺りながら、アーリアに背を向けて走り出した。

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