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あるバイト門番の燻り  作者: 日比乃 翼
第一部 第二章 元警備隊員の来訪
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あるバイト門番の戦況観察②

 ◇ カーマ視点 ◇


 ルートさんが、正面に向かって、忙しく矢を放ち始めた。


 凄まじい威力と速度で、敵を貫く光の矢は、前線に死骸の山を量産するが、次々と湧き出る様に現れる魔物達は、一向に数を減らす事無く、正門を目指して進軍を続けている。


(警備長は何やってるんだよ? いくら前に出ても、撃ち漏らしが多ければ、ルートさんの負担が増えるだけじゃないか!)


 そんな事を思いながら、目の前に出て来た魔物を一体ずつ、仕留めて行く。


 既に、開戦から二時間は経過しただろうか。


 もう、俺だけでも三十体は倒したぞ。

 前に出て行ったトーマスやゲータさんに至っては、その倍は下らないだろう。


 そんな味方の様子を見て、メリサが回復をしているが、徐々に、皆に疲れが溜まって来ているのは、誰の目から見ても明らかだった。


 そんな、苦しい状況に終わりが見えない中、何とか、踏ん張っていられるのは、前線に飛び出して行った三人の力を、皆が信じているからだ。


 だが、絶妙なバランスで成り立っていた均衡状態に動きが生じる。


 警備長が戦っている筈の、門の正面が魔物で溢れ出したのだ。


 それはつまり、右の戦場で奮闘している冒険者達を回復しながら、迫り来る魔物を迎撃していたルートさんの矢が、追いつか無くなって来た事を意味していた。


 そして、正門前に溢れる魔物達の攻勢に呼応する様に、俺達の戦場にも、より一層、魔物達の圧が強まる。


 そんな中、劣勢とも言えるこの状況に、一早く動き出した人がいた。


「みんなっ! 暫く、ここを頼めるかな?」


「良いですけど、ゲータさんはどうするつもりですか?」


「正面から流れて来る敵がやけに多い! 僕は、前線で孤立しそうなフェイと合流して、此処まで引き上げる。だから、それまで此処を頼むよ!!」


「「「はいっ!!」」」


「じゃあ、最後に一発、でかいの撃っとくね。【具現出力(ぐげんしゅつりょく)――雷の大蛇(サンダースネーク)】!!」


 ゲータさんは、一面に居る魔物達に向かって、地を這いながらうねうねと動く、大蛇の姿を模した雷を縦横無尽に振り回す。


「ゲータさん! 【具現出力(ぐげんしゅつりょく)――祝福の光(ヒールライト)】!!」


「ありがと、言って来るね!」


 ゲータさんは、メリサにお礼を伝ると、自分が作った道を駆けてフェイさんの元に急いだ。

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