あるバイト門番の戦況観察①
◇ カーマ視点 ◇
遂に、戦いが幕を開けた。
正門を楕円形で守る俺達に、襲い掛かる途切れる事の無い魔物達の軍勢。
言うまでも無く、囲まれている俺達には、退路は無い。
只、襲い掛かる奴等を一体ずつ、確実に仕留める。
現状、俺が相対す敵は、フェイさんやゲータさんが撃ち漏らした、中級や下級の魔物で、いつもの警備と同様に、セルドやトーマスと協力し、撃退を続けていた。
しかし、気になるのは、我先にと前線に突っ込んで行った、フェイさんの行方だった。
「トーマス、フェイさんが前に出過ぎだ!! あれじゃあ、孤立しちまうぞ!!」
「大丈夫だろ! フェイさんは何だかんだ、先っちょだけしか、敵陣に入らないって!」
「そういう事言う奴は、絶対奥まで行っちゃうんだよ!! 連れて帰って来い!!」
「無理だ! 奴らは烏合の衆に見えて、結構手ごわい」
「それでも、お前だけなら、入り込めるだろ?」
「見てみろよ、奴等の隙の無いこの配置……まるで、将棋だな」
「どういう意味だよ?」
「深くは聞くな! それより、今はどんな雑魚でも、後ろに通さない事だけ考えろ!」
「ああ、そうだな」
だが、そんな俺達の不安とは裏腹に、フェイさんの勢いが止まる事は無かった。
今も、空から氷の山が降り続ける様に、前線で猛威を振るい続けたのだ。
圧倒的な数的不利で始まり、防戦一方だと思われたこの戦いも、始まってみれば、意外な戦況を迎えていたのである。
数を凌駕する、圧倒的な質だ。
フェイさん同様に、右側はアーチが作り出したゴーレム達が暴れ回り、中央では、ルートさんの弓での援護射撃の元、警備長が規格外のパワーを奥に構える巨人達に見せつけていた。
俺は、こんな非常事態だと言うのに、節々に垣間見える、先輩達の本気が頼もして仕方が無かった。
只一つ、気掛かりなのは、引き上げて行ったドーズと、亜人達の動向が掴めない事だった。
参考までに、簡易的ではありますが、正門前の配置を置いておきます。
警備長
フェイ アーチ
ゲータ トーマス
冒険者・コロシアムの猛者
セルド カーマ
メリサ ルート 警務隊
正門




