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あるバイト門番の燻り  作者: 日比乃 翼
第二部 第一章 あるバイト門番の誤魔化し
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あるバイト門番の王都観光

「始めまして、カーマ君と同期のメリサです!」


 寮の前でアーチと共に俺達を出迎えたメリサは、子供相手には人見知りをしないのか、二人に天使の様な笑顔を向けながら自己紹介を済ませる。


 すると、初対面でも物怖じしないラーマは、メリサに擦り寄りながら挨拶を返していく。


「妹のラーマです! 宜しくお願いします!」


「……お、俺はダーマ。……よ、宜しく」


 一方、ダーマも同じ様に名乗って見せるが、その顔は耳まで紅く染まり、視線は地面に向けたまま挨拶を済ませても上げる事は無かった。

 恐らく、思春期入りたてのダーマには、メリサの笑顔は少々刺激が強かったらしい。


「何よアンタ。メリサに緊張してんの?」


「ち、ちげぇよ! バイトの癖に偉そうな事言うな!」


「何ですって!!」


「まぁまぁ、二人共落ち着けって。それでさ、メリサとアーチに頼みがあるんだけどさ、この一週間、ラーマを女子寮の方で預かってくれないか?」


「ラーマちゃんの事なら良いけど、どうかしたの? 寝る所狭いとか?」


「いやー、それもあるんだけどさ、トーマスが居るから色々心配で……」


「それはかなり不味いね。任せて、私が面倒見るから!」


「あぁ、悪いけど頼むわ」


 こうして、ラーマの下宿先を決めた俺は、皆と共に【時計下通り】へと繰り出し、初めての王都を堪能する二人と共に、出店で腹を満たしながら時計塔の前までやって来た。


「「でっけぇー!!」」


 二人は、真下から時計塔を見上げながら、【ブレー村】には無い高層の建物に目を輝かせていた。


「すげぇだろ? 兄ちゃんも、初めて見た時は感動したんだよ」


「兄ちゃん! 村の役場の何倍あるんだろこれ?」


「兄ちゃん、私、上まで登ってみたい!!」


 二人は、俺の袖を引っ張りながら、間近で見る時計塔に興奮を隠せない中、メリサが時計塔の説明を始める。


「ラーマちゃん、この塔はね、一日に二回だけ、頂上に付いている鐘が鳴るんだよ!」


「そうなの!? メリサお姉ちゃん、次はいつ?」


「次はねー、夜の八時だよ!」


「じゃあ、夜になったらまた来ようよ!」


「良いよ!」


 一瞬で打ち解けたラーマとメリサは、手を繋いで先に歩いて行ってしまうが、そんな二人を後ろで見つめる一頭の白馬が居た。


「ゲホゲホ、何寂しそうな顔してんだよ?」


「きゅうー」


「大丈夫だって、ラーマがお前に飽きた訳じゃ無いから」


「きゅうーん?」


「ホントだって、ほら行くぞ。次は、ダーマお待ちかねの闘技場(コロシアム)だ!」


「やったー! 兄ちゃん、早く行こー!」


 俺達は、時計塔を横目に闘技場の前に向かうと、そこには、異常な程の人だかりが出来ていた。


「今日って、闘技場(コロシアム)でイベントでもやってんのか?」


「さぁーね、どうせ入ったらフェイ居そうだし、聞いてみたら?」


 俺は、アーチの何気ない言葉で、嫌な記憶を思い出す。


 そうだ、この先には、コロカス共の巣窟が広がってるんだ。

 そして、間違いなく、フェイさんは最前列で大穴狙いをしているに違いない。

 そんな人間と遭遇してしまうと、子供に悪い影響を与えるのは考えるまでも無かった。


「いやー、極力二人には、コロカス共の叫びは聞かせたくない」


「でも、あのチビがこのままで満足すると思うの?」


 アーチが危惧する通り、ダーマは、その人だかりに向かう様に俺の手を引っ張り出す。


「兄ちゃん、早く行こうよ! 試合始まっちゃうよ!」


「なぁ、ダーマ。闘技場見れたんだし、満足したろ? 実は闘技場は怖い所なんだ」


「えぇー!? 俺、中に入って試合みたいよ!! アーチ、兄ちゃんを説得してよ!」


「説得なんて必要無いわよ。ほら、付いてきなさい、チビカーマ」


「あっ、待ってよ!」


 俺の抵抗も空しく、アーチに続く様に皆が闘技場(コロシアム)の中へと足を踏み入れる中、会場をダーマと手を繋ぎながら歩いていると、その先で桃色髪の見知った女性が、厄介な男から難癖を付けられていた。


「おいおい、どーしてくれんだよ!! お前が金落とした所為で、さっきの試合に賭けられなかったじゃねーか!!」


「た、た、大変、申し訳ございません。つ、次の試合からは、問題無く——」


「当たり前だろ! 俺を誰だと思っていやがる!!」


「す、すみません!」


 平謝りを続ける彼女は、怯える様に何度も頭を下げるが、厄介な男は態度を変える事は無かった。

 そんな光景を目の当たりにしてか、俺の左手を握るダーマの力が次第に強くなっていくの感じた俺は、ダーマをアーチに任せると、二人の間に入って仲裁する事にした。


「お兄さん、落ち着いて下さい! 何があったんですか?」


「か、カーマさん!」


「久しぶりウーカ。その様子じゃ、ここの受付に入ったのか?」


「は、はい!」


 無事、就職を成功させていたウーカを安心させる様に言葉を交わした俺は、厄介な男の肩を掴んで動きを止め、その顔を覗き込んだ。

 だが、その男の顔を見て、俺は後悔する事になる。


「えっ? そんなぁ……」


「お前かよ、カーマ。俺は今、この子と大事な話をしているんだ」


「フェイさん、ここまで落ちぶれるなんて……一体、どうしてですか?」


「軍資金を支払った時によ、この子が全部床に落とす所為で、試合前に賭けれ無かったんだよ!」


 子供の様な理由で揉めているフェイさんを、どうやって収めようかと思考を巡らしていると、こういう時には頼りになるアーチが、自らの兄に向けて口を開く。


「良いでしょ、次に賭ければ! 良い年して何やってんのよ!!」


「何だと? お前如きが指図をするな!!」


「フェイ。カーマの弟と妹の前なんだから、少しは大人になれよ!」


「……フッ……そういう事なら、お前が久し振りに試合に出ろ。それで許してやる」


「はぁ? 何であたしなんだよ!」


「お前が試合に出れば会場は盛り上がり、そして、普段賭けない連中も財布の紐を緩める。つまり、そういう事だ」


「どういう事だよ!!」


 落ち着きを取り戻したフェイさんは、何故か交換条件として、アーチに試合へと出場する様に提案を始めた。


「アーチ、お前って闘技場(コロシアム)界隈でも有名なのか?」


「まぁ、学生の頃からバイト感覚で稼いでたからね」


「そっか、試合に出る側も結構儲かるんだな! それで、出るのか?」


「うーん……でもなぁ……」


 アーチが渋っていると、ダーマがアーチの背中を押す。


「アーチ出てよ! 俺、どうせなら知ってる人が戦ってるところ見たい!!」


「どうせならって何よ。けど、いっか。チビ達も見てる事だし、久々に出てやろうじゃないの!」


 何故か、乗り気になったアーチは、ウーカに出場する旨を伝えると、特別に本日のメインイベントに出場する事となった。


 メインイベントまで、会場で賭け続けるフェイさんを一人残して、【時計下通り】で観光を続けると、空が暮れ始めた頃にもう一度闘技場(コロシアム)へと戻った。

色々と練り直していた結果、だいぶ更新が遅れてしまいました。


暇潰しで買ったドラクエ5が面白過ぎて……。


すみませんでした。

ですが、練り直していたのは本当なんです。

信じて下さい。


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