異世界の温泉でひと騒動
登山好きの主人公が滑落した事で異世界転移!
ファンタジーの世界の魔法や魔物、神に悪魔になんでもござれない異世界でも登山目指して頑張る主人公の珍道中。
自分得を詰め込んだほのぼの冒険ストーリーです。
その後も小さないトラブルがあったが、旅路は順調だった。一緒に旅してみてカッパンの有用性が半端なく、河童の乱獲も頷ける。
その辺の野草もこれは食べれる、これは頭痛に効く、こっちは下痢の薬草になるとか、中には毒の薬草だとか、次々採取しては頭の皿で調合して薬にしてしまう。
背中の甲羅は浄化フィルターの役割で、周りの毒素を通常の空気に変える。要は、毒の霧の中でも河童のそばに居れば無効という訳だ。水中では水の濾過の役割をし、池の状態を保っていた。
あんな汚くて大きな池を土台カッパン1人で正常に戻すなんて無理ではあるが、河童が離れた池が死ぬっというのは過言ではない。
しかも空気清浄機の役割プラス、ナノイオン?プラズマクラスター?はたまた銀イオンでも付いてんのか?めっちゃ快適である。なんなら肌が潤ってる気もするし、風呂に入ってないのに靴脱いでも臭くない!!
更に甲羅は収納機能付き。取った野草を入れたり、調合した薬を入れていて、富山の薬売り状態だ。
「カッパン意外と凄い魔物なんだな」
「な、なんっスかいきなり…」
《プレゼン下手くそだけどな》
「ね、相撲強いとか」
「酷いっスよ旦那方!!」
レヴィさん達の村を出て3日、正直歩き通しで疲れも酷い。こんな時はやっぱり…
「温泉入りたいなぁ〜…」
「オンセン?なんっスかソレ」
「えーー!カッパン知らないのー!?人生の半分損してるぞ」
「半分もっスか!!?」
《そりゃ言い過ぎだ。本気にするなよカッパン》
しかし温泉が無理でも足湯くらいは入りたいな〜
カッパンに温泉の説明をすると、ちょっと心当たりがあると言う。
「熱い水なんっスね?じゃぁ多分この近くにあったはずっス。50年以上前のことなんで、まだあると良いんっスけど…」
合成の為にの乱獲が始まったのは50年ほど前。
その前までは自由に人と交易をしていたそうだ。その時にこの近辺に熱い水を見つけた事があったらしい。
深い雑木林を進むと、岩山の洞窟に辿り着いた。
「…ここ?」
「この奥っス」
中はひんやりしていおり、結構肌寒い。
少し進むと暖かい湿気を含んだ空気層に変わってきた。これは…もしや…
「旦那が言ってるのってコレの事っスか?」
水面から立ち上る蒸気、少し周りが蒸し暑い。
亜熱帯雨林にいる様な感覚。
間違いない!
「温泉だーーーーー!!」
駆け寄る自分の身体が、ガクンと停止する。
えええーー!?
ザックが洞窟の岩に蔦を絡ませ引き留める。
何故ゆえーーーー!?
文句を言ってやろうとした時地響きがし、洞窟内の温度が急速に加速する。
え…嘘、まさか…
「だ、旦那!ここ水が暖かいって言うよりーーー」
カッパンが喋る声に重なって轟々と迫り上がる音と熱。カッパンの後半の言葉を掻き消す爆音と共に灼熱の雨が降り注いだ。
間欠泉じゃねぇかーーーーー!!!!!
ザックに引っ張られる様にその場を飛び退いた。
熱い熱い熱い熱い!!!!
長い年月をかけて熱湯の水柱が掘り進めたのだろう。洞窟の天井は丸く穴が開いており、間欠泉は岩肌で程よく冷まされ外界に出た頃にはスコールの様に周りに降り注ぎ緑を潤わせている。
見事な自然のサイクルだが…こっちは大火傷だよ!!
「痛い〜痛いよぅ〜!」
良い歳して泣いちゃったよ。
カッパンが作った火傷に効く水薬をかけてもらうと、あっという間に痛みが引いた。赤い水膨れも殆どない。
「旦那、念の為塗り薬もしといた方が良いっス」
グッショリ濡れた服を脱ぎ始めるが、これがまた脱ぎ難い!モタモタしていたら、やれやれ、とザックの声がした後、服が一瞬ボッと膨らむ。
「乾いてる…」
《全く相棒は世話が焼けるぜ》
「ザックがチート過ぎなの!!」
この後お恥ずかしくもパンツ一丁の姿でカッパンから貰った塗り薬を全身に塗る。あっという間に治ってしまった。
凄すぎだぞ!河童の薬!!!
温泉、もとい間欠泉があった場所は、かなりの湯量が吹き出した為か先程まで波々とあった湯がスッカラカンで、かなり深く底が見えない真っ暗な穴があった。
「コレどうなってんの?」
《分からん》
「ひえぇーー!落ちたら大変っス!」
そんな真っ暗な穴から何かが聞きこえてきた。
地を這う様な低い暗い声だ。間欠泉が迫り上がってくる地響きとは違う、明らかな人的な…まさしく声がした。
【…ぃ…おお”…ぃ…だ…せ、ぇ…】
猛ダッシュで洞窟を抜け出出した。
洞窟を抜け出し、そこで崩れる様に倒れ込み一息つく。
さっきのはどういうことーーーー!?
間欠泉の下に何か生き物が居るって事!?
絶対ヤバい物に違いない。
「はぁはぁ…カッパン、さっきの何!?」
「し、知らないっス!あんなの初めてっス!以前はせいぜい2m位の高さしか噴き上がってなかったんっスけど…」
《…殺るか…?》
「物騒な事言わない!!」
穏便に平穏に!そう[いのちだいじに]!
あんな熱湯の中で平気な生き物って何!?一瞬地獄の業火の中でこちらを睨む閻魔大王の様な姿を思い浮かべた。怖い怖い!!
早急に立ち去らなくては!!
温泉に入れるとぬか喜びしたせいで、旅の疲れがドッと出た。山を登る時は前もって体調管理してトライするが、今回は装備も体調も万全では無い上の3日歩き通しである。治ったとはいえ全身火傷を体験した自分は勢い良く立ち上がった瞬間意識を手放した。
**
ザワザワざわざわと、周りがうるさい。
もう少し寝かせてくれ〜っと瞼をぎゅっと強く閉じてアピールするが、グイッッと無理やり瞼をこじ開けられる。目薬を入れてもらう時みたいだ。
怒鳴って抵抗しようとした瞬間、本当に何か液体を差された。駆け抜ける強烈なメントール感。
寝耳に水ならぬ、寝眼球に水である。
「うぎゃーーーーー!!」
《おう、おはようさん》
「目がーーーー!!!」
まさに漫画の様にのたうち回る。
「殺す気かーーーーー!!」
《カッパン特製眠気覚ましの効き目はバッチリだな》
「眼球潰れたかと思ったわっ!!」
「か、鞄の旦那がもっと改良しろって言うんっス!おいらのせいじゃないっス!!痛い痛い!さ、皿が割れちまうーー!」
アイアンクローに踠きながらカッパンが泣き叫ぶ。
仕方なく手を離し、周りを見渡した。
間欠泉があった洞窟の中だろうか?ただ、随分明るい。そんな時小さな足音がして振り返るが誰もいない。視界の下の方に何かが見え、視線を下げる。
「目ぇ覚めたかい、にいちゃん」
随分小さい…小学生、いや幼稚園くらいの背丈のお爺さんがいた。ド、ドワーフってやつか!?もっとがっしりしてると思ってたのでちょっと面食らう。
「あ〜言っとくけど俺はドワーフじゃねぇよ」
「違うの!?」
「小さいおっさんを見ると、何故かいつもそう言われる。全く嫌になるぜ。良いか!俺達はノッカーだ」
「ノッカー…」
いたわーー!確かに!!
小柄でガタイの良いおじさん=ドワーフ。
ドワーフといえば、武器作るのが上手くて大酒飲みで…ってのは結構有名で、ゲームや小説、漫画によく登場するんだけど、鉱山にいる小さいおじさん妖精のノッカーは、同じおじさんなのに何故か日の目を見ない。まぁ鉱山で此処に鉱石があるぞっと教えてくれたり、逆にコツコツ岩肌を叩いて崩落を促したりと、ちょっと行動が地味っと言うか何というか…
某ゲームでは逆にドワーフは出ない。ゲームクリエイターがかなりマニアックだったのか?
「微妙なツラしやがって…コッチはお前らなんて今すぐ追い出しても良いんだぞ!?」
謝ろうとした時ザックの冷たい声が割って入る。
《相棒が倒れた時、鞄を剥ぎ取って俺を持ち去ろうとしたのはどこのどいつだ》
「えええっ!?」
「ググゥ…」
「だ、旦那が倒れたのを見計らった様にコイツらやって来て、鞄の旦那を剥ぎ取ろうとしたんっスけど…」
なるほど、逆にザックにフルボッコされたのか。
その詫びとして、ここに連れて来てくれたって訳か。
「ザック………もう一度やっときな」
《了解》
「え、や、すまん!え、ちょっと…グハッ!!…す、すみませんでしたーーー!!」
腕組みをして岩に腰掛けた自分の前に顔を腫らしたノッカーが正座して項垂れている。
「で?ここはどこ?」
「さっきアンタが倒れた洞窟の中だよ。間欠泉とは逆方向だけど」
「旦那にはちょいと安静が必要って判断したんっス。だから横になれる場所借りたんっス」
「そっか、ありがとうねカッパン」
《で、お前等の頼みとは?》
頼み?負けたからお詫びで寝場所を貸してくれたんじゃ無い訳?
カッパン曰く、ノッカー達はザックの強さに縋り、頼みたい事があると交渉を始めたが、まずは寝床を貸せ、とザックが言い放ち今に至るそうだ。
ゴリゴリと道中採取した薬草で、元気が出る薬を制作中のカッパンと共に傍観を決め込む。
だって自分チート無しですから!
HAHAHA!
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のんびりペースで更新していきますので、よろしくお願いします。




