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異世界で熱湯地獄へダイブ

登山好きの主人公が滑落した事で異世界転移!

ファンタジーの世界の魔法や魔物、神に悪魔になんでもござれない異世界でも登山目指して頑張る主人公の珍道中。

自分得を詰め込んだほのぼの冒険ストーリーです。

ノッカー達はザックに土下座する。


「あの間欠泉をなんとかしてくれ!!」

「いやいや、無理あるでしょ」


思わずツッコんだ自分にノッカーは唸る様な低い声で説明する。

間欠泉がおかしくなったのは、この20年ほど前からだそうだ。昔から間欠泉はあったが、あそこまで立ち登る水柱ではなかったそうだ。あの特大な水柱が噴き出す度に洞窟は水に沈む。まさに鉄砲水の様に熱湯が採掘作業中のノッカーを襲う。

取られた対応策は、水が外に噴き出す様に天井の岩盤を掘り穴を開けた事だった。


「あの天井の穴、自然に出来たんじゃないのか」

「あぁ、取り敢えず今はこの方法でなんとか凌いでいるんだが、徐々に水柱が太くなってきてる。それに合わせて天井の穴広げてたら、この洞窟無くなっちまうよ!!」

《で、俺にどうしろと?》

「お前等も聞いただろ?間欠泉噴き出した後の唸り声。きっとあの声が原因じゃねぇかと思ってる」

「え?あの中に入れって言ってんの?!」

「鞄のアンタなら出来るんじゃねぇか!?」


いやいやいや、買い被りすぎでしょ。


《良いだろう》

「えええーーーーーー!!」

「恩に着るぞ鞄!!」


いやいやいや、何勝手に決めてんの!!

ザックが行くって事は誰かが背負わないといけないんだよ?ノッカーが背負うの?いや、これ絶対自分じゃん!!!


「反対反対!大反対!!」


周りがドン引きしたって構わない。

元気よく挙手をして猛アピール。だって自分には何も能力ないんだもん!!!


《まぁ聞け相棒。奴等がいう事は半分嘘だ》


声を抑えてザックは言う。


「え?どういう事?」

《恐らく間欠泉の下に何かある》

「何か…って」

《恐らく鉱石の中でも貴重な何かだろう。間欠泉で洞窟が水没するのも本当だろうが、きっと一度は下に降りた事があるはずだ。そこで奴等は声の主を見ているに違いない》

「じゃぁなんでその情報くれない訳?」

《恐らく俺では倒し切らない。でも時間が稼げるだろうから、その間に採掘してトンズラするつもりの様だ》

「えぇ!?何それ!ってかなんで知ってるの!?」

《俺がチート持ちって知らんからだろ。ヒソヒソ話してても俺にはまる聞こえなんだよ。向こうがその気なら、こっちも遠慮なく頂く物はしっかり頂かねぇとな》


鞄のくせにニヤって笑ってるのが分かる。

クーーー!悪代官の顔ーーー!

そうだ、我々には街でゲットしなくてはならない物…そう、酒を手に入れる為のお金が無いのだ。買い取りしてもらえる鉱石など手に入れば、街で買い取って貰い、その金で酒が買える。

場合によっては登山関係の物も手に入るかもしれない。


「お代官様も人が悪い」

《いやいや、越後屋、お主も悪よのう》


ぐふふふふっとニヤつく1人と鞄。

カッパン、そこ!少し離れない!


「でも大丈夫?何か策でもあるの?」

《俺達には強い味方がいるだろ》


ザックが向ける視線の先にはカッパン。


「え…えぇ?お、おいらっスか?」

《カッパン、お前は自分で思ってる以上の能力を秘めている。もっと自信を持て。まぁ俺を信じろ》


あわあわと戸惑いで変な動きのカッパンを引っ張り間欠泉に向かう。間欠泉の噴水によるり地底にまで続いていた穴には、もうグツグツ熱い湯が少し溜まっている。湯量はかなりある様だ。


「次の噴水は恐らく2〜3時間後ってとこだろうな」


ノッカーも穴を覗き込んでそう告げる。

ザックは興味なさそうに返事し、ノッカーから離れて作戦会議に移る。


《カッパン、お前と俺の相棒に水の球体を作れるか?》

「作れるけど、離れると旦那の水球が壊れちまうっス」

《ならカッパン、相棒を担いで水球を作れ》

「えええ!?担ぐんっスか?!」

「米俵式でもおぶっても、横抱きでもなんでも良い。なるべく1つの小さな水球に俺達が収まる様にしたい》

「じゃ、じゃぁおぶった方が良いっスね」

《では作戦内容だが、間欠泉の満水を待たず突入する。その際カッパンが水球で我々を覆う。恐らく間欠泉の熱が水球を熱くするだろう。蒸気で茹だって中の空気が限界になったら新しい水球を貼り直す。これを繰り返してくれ。2人には多少の火傷は覚悟して欲しい》


正直かなり無茶な計画である。

間欠泉が噴水した後に飛び込めば簡単だが、ノッカーを出し抜くにはこれしかない。だが少し腑に落ちない。


「質問!ザックが結界とかバリアとかそんな感じのものすれば良いんじゃないんですか!?」

《下に何がいるか分からんのに無駄なエネルギー使えるわけないだろう》

「チーターのくせに何言ってんだコイツ」

《慎重派と言え》

「と、とりあえずおいら頑張るっス!」


カッパン良い奴だなぁ〜


《何より鉱石を丸っと頂くつもりだからな。チート能力があるなんてバレるわけにいかないからな》


どうやら丸々全て頂く気でいる様だ。


《では、ノッカー達が少なくなったら決行だ》

「ラジャー!」「了解っス」


それから30分程した頃、ノッカー達は寝ぐらに戻っていく。残っているのは2人程。

目配せし、カッパンと穴に向かって走り出す。

飛び降りる際にドッキング(?)し、水球に覆われたのを確認し飛び降りた。ノッカー達の叫び声が聞こえたが、もう止まれない。勢い良くドボンッと熱湯に沈んだが、中々下に着かない。徐々に覆う水がぬるま湯からお風呂の熱さにまで上昇し、水球の中はサウナ状態になったきた。


「ザック!これ本当に沈む!?」

《何の為に俺がいるんだ。気合い入れろよ!》


ザックがそう言った後、一気に背中を押される感覚。

背負っているザックが魔法陣の様なものを浮かび上がらせ、そこから水?お湯?が吹き出している。ジェット噴射の要領で勢いを増して水底に向かうが、正直水球がもう限界に熱い!水蒸気が身体を覆う。

熱いし息苦しさで思わず叫ぶ。


「カ、カッパンーー!!」

「了解っスーーー!!」

ボコボコと湯だち始めた水球の内側に、冷たい水球が出来る。その途端最初の水球が弾けて消える。

カッパンの肌が赤くなっている。恐らく自分も真っ赤だろう。ヒリヒリしているが踏ん張り処である。

数回繰り返して穴を抜けた瞬間に、真っ赤な何かとすれ違う。

あれ、今の…

首だけ振り返ったが、視界に赤い物を捉える前に水球が弾ける飛んだ。

息が!!!

そう思ったが、弾き飛ばされた自分の体は白い玉砂利の上に放り出され、肺一杯に流れてきた冷たい空気に噎せ返った。


「ゲホッゲホッゲホッ!ゴホ…はぁはぁ…」

《着いたな》

「だ、旦那っ!火傷薬っス!!」

「カッパンこそ薬使って!」

「おいらに身体には自動的に水のベールが覆われるので大したことないんっスよ!旦那、早く薬!」


水薬をぶっかけられて痛みが引く。

カッパン様々である。


落ち着いて周りを見渡す。

来た時と同じ様な洞窟。ただ、天井に泉があった。

その泉の中に赤い何かが沈んでいるのが見える。

天井の泉はボコボコと茹だっているのが分かる。ザックが一瞬で身体を乾かしてくれる。


「さて…この後どうするかね…」

《採掘に決まってるだろ》

「ええっ!あの赤いの気にならないの?!」

《そんな物より頂く物が先だ》

「守銭奴!!」


まぁ確かにこんな苦労したのだから、何かしら頂戴したいのは確かである。周りを良く見渡すと、足元の玉砂利が石ではないことに気づく。


「これ…ダイヤだ」

《それだけじゃないぞ。これなんてクリスタルだ。あっちはアクアマリン、そっちは珍しいな…ホワイトトパーズか》


ただの白い玉砂利と思ったら、お宝鉱石の山だった。

成る程、これならノッカー達がなんとかして手に入れたいのも分かる。こっちの世界での価値がどれ位か分からないが、それなりに高いんだろう。

手の平にいっぱいのダイヤモンドを元の世界に持ち帰れたら、一生左団扇で暮らせるな…

ザックがチャックを開くとD●sonの掃除機の様にグングン宝石玉砂利を吸い込んで行く。

間欠泉が噴き出して、ノッカー達が乗り込んできてもスッカラカンになる勢いだ。取り過ぎなのでは…こっちがドン引きする程ザックは遠慮なく飲み込んで行く。

天井の泉がかなりグツグツ煮立っている。

そろそろ噴水間近だろう。

恐らくノッカー達と一悶着は避けられない。準備をした方が良いだろう。


「やれやれ、参ったな…どうするかね…」


そんな呟いた言葉と、見上げた泉が噴き上がるのはほぼ同時だった。




お読み頂きありがとうございます。

のんびりペースで更新していきますので、よろしくお願いします。

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