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異世界で相棒の実力を知る

登山好きの主人公が滑落した事で異世界転移!

ファンタジーの世界の魔法や魔物、神に悪魔になんでもござれない異世界でも登山目指して頑張る主人公の珍道中。

自分得を詰め込んだほのぼの冒険ストーリーです。

爆音を轟かせ、まさに唸る様な地響きと空気を震わせて立ち登る水柱。

絶景である。

間欠泉が噴水する瞬間を裏側から見るなんて、通常あり得ない。でもこの異世界では出来ちゃうから凄い。

ゾクゾクと感動の鳥肌が立つが、手放しで感動してるだけじゃいられない。

水柱が途切れた数秒後、穴からは飛び降りてきたノッカー達が降って来た。


「お前等何勝手な事してやがる!!」


あれだけ下手に出ていたのが嘘の様に、鼻息荒く怒鳴りつけて来た。


《どのタイミングで飛び込もうがコッチの勝手だろう。何だ?先に飛び込まれちゃ困るのか?》


ニヤリと人の悪い顔でノッカー達に嫌味たっぷり言い返すザックに、ノッカー達は言葉に詰まる。

そりゃそうだろう。

嘘ついて疾しい気持ちはあるのは彼等だ。


《で、言い合ってる場合じゃない様だが?》


ザックが言い終わると同時に上空が真っ赤になる。

夕焼けの茜空、なんてものではない。

熱風と轟音と共に灼熱の炎が迫ってくる。


「ザザザザ、ザックーーーーーー!!」

「ひえぇぇぇーーー!!」


カッパンと抱き合って身を縮めるが、ザックが瞬時に風のバリアの様な物を張ってくれる。

上空に居る何かをよく見ると、シャボン玉の様な中に紅い蠢く物…


「トカゲ?」

「サ…サラマンダーっスぅーー!!」


トカゲ、もといサラマンダーはシャボン玉の中を這いずり回っている。しかも1匹だけではな。イグアナ位の大きさの物が満員電車状態である。


「気持ち悪っ!!」


シャボン玉の中のトカゲ達は捕まっているのだろうか?どう見ても自然の状態とは思えない。


「ザックこれって…」

《あぁ…これが、というかこの中のどれかが例の声の主だ》

【出してくれぇ〜、出して…うんぐぐぅ】


声の主がどのトカゲか分からない。

出せと要求するくせに、他のトカゲに邪魔をされている様に聞こえる。そうしている間にシャボン玉から水が染み出て天井に水溜りを作り、トカゲ入りのシャボン玉は水中に沈んで行く。

シャボン玉が水に沈んでしまうと炎での攻撃は無くなる様だが、さてどうやって帰ろうか…

周りを見渡すと、ノッカーだったモノの炭化した物体がある。数人は業火から逃げられた様だが、まさにガクブル状態。目が合った途端、脚に縋り付いてきた。


「頼むよ!オレ達を守ってくれ!」

「ええええ!?」

《断る》

「オレとアンタの仲だろ!?」


どんな仲だ。


《追い剥ぎに合いそうになり、返り討ちして更に嘘をつかれたので間違いが無ければ、特に助ける必要がない仲だと思うのだが?》


うん、その通りです。

怒り狂ったノッカー達は手に持つツルハシを振り翳し襲ってくる。しかしザックの風防御で小さいオッサンは壁際まで転がっていく。と、同時に取り切れていなかった玉砂利鉱石も、地面に突っ伏しているノッカー達の目の前を転がる。

それに飛びつき奪い合いになるノッカー達…醜い。


「さて、これからどうしようか?」

「出口探さないといけないっスね」

《出口なんて無ければ作れば良いだけだ。それより先程のサラマンダーが気になるな》


実力行使で穴を開けて出る、と言うことか…

ザックが出来ると言うなら心配する事も無いんだろうが…そんなにトカゲが気になるもんかね?

なんとなく天井を見上げ、薄っすら赤い水面の向こうにいるトカゲを思い出す。


「…ザック…あの満員トカゲのシャボン玉って、自然の物なんだろうか?」

《半分正解といったとこだろう》

「半分?」

《シャボン玉の多すぎるサラマンダーが不自然だ。恐らくその元凶がもうすぐやってくるぞ》

「え?」


タイミングを見計らった様に地面に不思議な模様が浮かび上がり、そこから観音開きの門が地中から浮き上がって来た。ゴテゴテのギラギラ、成金です!!ってイメージの門だ。ライトアップでもされてるのか、輝きがハンパない。


「目が痛いっス」

「サングラス欲しい…」


ゆっくり門が開き、中からとても恰幅の良い…いや良すぎる肉ダルマな男性と、お付きの人らしき男性が数人出てきた。


「一粒残らず回収しろ」

「…旦那様!それが…ありません…」

「なんだと?」

「ダイヤもトパーズも何もありません!!」


旦那様と呼ばれた男が太い指で挟んでいた葉巻を落とし慌てて周囲を見回し、やっとこちらに気が付いた。


「なな、なんだ貴様等!!?どうやって入った?!」

「あ、どうも」

「どうもじゃないわいっ!!儂の石をどうした!」

「石…?ですか?あぁ、コレの事?」


着地した時に拾ったダイヤを差し出すと、突き飛ばして奪い取る。ムッカーー!カッパンが慌てて支えてくれる。全く良いやつだよ、満点だよカッパン。

それに比べてこの男は…減点です。

ザックにもその気持ちが伝わっている様だ。


「これだけじゃないだろう!この盗っ人が!!今すぐ返せば縛り首で許してやる!」

「えええ!?おかしくない!?」

「黙れ!この地は旦那様の私有地!無断で入っただけでも拷問のうえ斬首刑!!そこを縛り首で許して貰えるだけ有り難く思え!」

「でも結果としてはどちらも殺されるんですよね?何も悪い事してないんですけど」


主人がアレならお付きの人も相当だ。

何様か知らないが何もしていないのに殺されるなんて遠慮したい。まぁ、とか言いつつ実はごっそり頂いているんだが…


「そこのノッカーに唆されて、上から来ました」

「何っ!?」


僅かに残っている石を拾い集めているノッカー達をお付きの男達が取り押さえに向かう。しかしノッカー達もやられてたまるかと応戦。

その騒動を岩の上に腰掛けてザックの中からペットボトルと、道中見つけた果物を取り出しカッパンに手渡す。モグモグ食べながら観戦。


「今のうちに逃げる?」

《…少しあのミートボールに確認したい》


ザックが喋るなんてバレたらどうなるか…

って事で自分が代わりに質問する。嫌だなー…


「お取り込み中すみません、上のサラマンダーは貴方のですか?」

「あ?コア石を食さない愚民が直接儂に話しかけて良いと思ってるのか!」

「それはすみません。あまりにも立派なサラマンダー達だったので。じゃぁお付きの人に聞くんで良いです」

「ふん!わかっている様だな。特別に答えてやろう。どうだ!素晴らしかろう!あの数多のサラマンダー!あれだけの数を使役できる儂の神力!」


定番だけど、下品な貴族は太鼓持ちに乗せられるのが世の常の様だ。扱いやすくて助かる。


「でも1体違うのが紛れていた様な?」


男は苦々しい顔をして天井を見上げる。

話を要約すると、元々シャボン玉の中には1体のサラマンダーがいた。そのサラマンダーを手に入れたかったが、所謂レベル的な物が足りず仲魔にできなかった。だから合成してサラマンダーを沢山作り、あのシャボン玉の中に入れたそうだ。


「あのサラマンダーは鉱石を得る為には必要だからな」


またもベラベラ話出す。

この間欠泉のサラマンダーは砂時計の砂の様に、上と下を行き来している。基本的に間欠泉が噴き上がる際に一緒に移動しているようだ。

ダイヤとは、炭素原子が超高温、超高圧環境下で結び付くとダイヤモンド結晶の形成が始まる。 この一定の状況下でないとダイヤモンドは結晶化出来ない。

要するにサラマンダーの熱によりダイヤは生成されているのだ。

上下に移動されると思う様にダイヤを作り出す事が出来ない。その為に自分の物にしてこの場に留めておきたかったが出来なかった。

だから…


「この土地を見つけたご先祖様は自然にダイヤが出来るまで指を咥えて見ているだけだったが儂は違う!儂の使役したサラマンダー1体では熱量が少なく代わりとしては無理だった。なので多量に合成して球体の中に入れてみたら、重くて噴き上がることが出来ん様になったので、まさに湯水の様にダイヤが湧き出る!笑いが止まらぬとはこの事だ。わっははは!」

《なるほど、良くわかった》

「ん?何の声だ?」


ザックお怒りモード発動。

キュインキュインと空気が乾燥して甲高い音が響く。元の世界のアニメで良く聞く、どデカいレーザー光線発射準備の気配に、自分はカッパンを抱えて蹲る。


「何事っスか旦那ー!?」

「良いから目を閉じて耳塞いでしゃがめ!」


カッ!と眩い光が洞窟を白く染める。

目を瞑って身を縮めても感じ取れるくらい光の波が押し寄せる。響く轟音と叫び声。

阿鼻叫喚である。


「だだだだ、だ、旦那ーーーー!」

「踏ん張れカッパンーーー!」


爆風で身を身を持ていかれそうになる。

カッパンと身を寄せ合い支え合う。爆音の後の静寂に耳がキーンとなる。


《ゴミ掃除完了だ》


ザックの1人ご満悦な声に、大きな溜め息をついて身を起こして目を開けると、足元には散らばる数多のサラマンダーと男達、天井には秋空が広がっていた。


「……うわーー…空気美味いなぁ…」

「そうっスね…」


一瞬にして地形を変えてしまったが、大丈夫かコレ…


「…はぁ〜…勘弁してくれ…」


この後の事を考えると頭が痛い。

ともかく、声の主サラマンダーの元に向かうとしますか。



お読み頂きありがとうございます。

のんびりペースで更新していきますので、よろしくお願いします。

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