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異世界でとうとう襲われました

登山好きの主人公が滑落した事で異世界転移!

ファンタジーの世界の魔法や魔物、神に悪魔になんでもござれない異世界でも登山目指して頑張る主人公の珍道中。

自分得を詰め込んだほのぼの冒険ストーリーです。

国の中枢機関に巣食う闇を解決するのは、勇者の仕事と相場は決まっているので早々に辞退させて欲しい。

しかしオーコンさんからの期待の眼差しがめちゃ刺さる。


「…取り敢えずこの件は、まだ意図的か偶然かハッキリさせてから対策を考えていく方が良いと思います。ね?ザック」

《王宮ブッ飛ばすだけなら今からでもできるぞ》


おいいいいいーーーー!

要らんこと言っちゃダメでしょーーー!

流石にオーコンさんも、これには首を縦に振る事が出来ないようだ。


でしょうねっ!!


「文官の信頼できる者達と調べてみましょう」

《ちなみに文官長より偉い奴って誰だ?》

「…その中の者が怪しいと言いたいのは分かります。ただ、これが真実なら由々しき問題です。ただの予測としてでも名前を口にする事は憚られます…」


常識ある大人の対応っ!!

しかし組織って面倒くさいよなー

1つの歯車に徹する事が重要な事もある。

1つの歯車だからこそ何も出来ない歯痒もある。


縦なり横なりが面倒だ。


そんな時ノックがし、まさに執事っという出立ちの初老の男性が入室。オーコンさんに軽く耳打ちし去って行く。あの人足音しないんだけど…怖ッ


「少し頭を切り替えましょう。お待ち兼ねの物が届きましたよ」


やったー!酒だー!

早く購入してさっさとずらかろう!!

この後、ネコババした宝石の幾つかをオーコンさんが買い取ってくれて、それを元手に酒屋が持参した殆どを購入。買い過ぎでは?と思ったが、ザック曰く、必ず使い道があるとの事。

言い出しっぺがザックなので、今回は自らお酒をザックが収納してくれる。


ザックの基準が難しい!!


食料もオーコンさんの調理番から少し分けて貰き、これでこの街には用がない。さっさと脱出だ!


「ターナさんは神力が無いので、使えるかわかりませんが、こちらをお渡ししておきます」


紅い石が嵌め込まれた指輪だ。

フェニックスの火の力が込められているそうで、持つ者同士神力を通じて通信が出来るそうだ。

自分には神力が全く無いんだけど使えるかな?

指に嵌めてみるが反応無し。

見兼ねたザックが自分の背中に装着すると石が光り、脳内にオーコンさんの声が聞こえた。


「聞こえた!!どうして!?」

《簡単に言えば俺がWi-Fiの役目してるんだ。だから登山中でも問題ない》

「ええー!?なら携帯も使える!?」

《そりゃ無理だ》


残念…


そんな時ザックの中から携帯が鳴る。

繋がってますけど!?

慌てて電話に出ると間の抜けた何度か聞いた声。


【いやぁ〜おはよう、おはようねぇ】


ボケ神様だ!!


【えっとねぇ、今回の事には儂は仲介に入るのはどうかと思うんだけどねぇ〜。そちらの火之迦具土神が、なんやら言ってたんだけど…何だったかな?ええーーーと………何かが、あのぉ…】


沈黙、沈黙、沈黙


【…まぁ、嘉言善行じゃよ。頑張るんじゃよ】


プツ、通話終了。

おいいいいーー!コダマさーーーーーん!!

何でコダマさんが電話してこなの!?

お爺ちゃん途中でフリーズしちゃったよ!?

フリーズした所が重要な所じゃ無いの!?

結局今のが定期連絡なの!?

お爺ちゃんのボケ具合進行してませんか!?


《…コダマが次の連絡して来るの待つしか無いな》

「マジかよ…ちゃんと介護して!コダマさんっ!!」


現状自分に出来る事は何も無い。

しかし確実にトラブルに巻き込まれる事が確定している中、無事に登山が出来るのか心配である。


「…とりあえず村に戻ろうか」


どっと疲れた。

オーコンさんの馬車で街を出て森の入り口まで送ってくれる事になった。このまま屋敷を歩いて出たら、自分勝手貴族のカマキリ男に絡まれるに決まっているからとの事。

本当良い人!!


「食べ歩きしたかったな…」

《屋敷で食っただろう》


馬車に揺られながら街を出る。

カーテンの様な物で目隠しされていても、お肉の焼ける匂いやスパイスの香りは遠慮なく馬車に侵入してくる。


《また来ることになるさ》

「絶対嫌な意味でしか無さそうで凹むわ…」

「魚ならおいら獲って来れるっス」

「ありがとうね、カッパン」


程なくして森の側の街道で下車し、御者さんにお礼を言って別れた。森の中を暫く歩いているとザックが寝るっと言って何も話さなくなった。


「鞄の旦那でも寝るんっスね」

「初めて知った」

「ええ!?」


こんな時に襲われたら一貫の終わりである。

が、イベントってこういう時に起きるもんである。

絶賛森の中を全力疾走中!!!


「起きろよザックーーーー!!」

「鞄の旦那ーーーー!!」


返事なし!!

馬鹿馬鹿馬鹿ーーー!

後ろから追ってくる足音は複数。絶対にカマキリ男の手下に違いない。攻撃系の能力が無いうえに、隠蔽や創作の能力とか隠し球的な物も自分には無い。

無いったら無いのだ!

森の中で足場も悪く、案の定転ける。

カッパン先に行けー!!

っと格好良く言えたらいいが、正直半ベソの自分に手を差し伸ばしてくれるカッパン。メチャメチャ良いヤツ過ぎだろ!!惚れる!!


「手間取らせんじゃねぇよ!」


1人の男が投げたナイフが伸ばされた手の先に刺さり、慌てて下がるカッパン。くそー!どう見てもモブ顔のくせに!

ってか自分もモブ顔だし、実質モブでしか無い。

ヤバすぎる!!


あっという間にカッパンと引き離され、ボコボコに殴られる。痛いから!マジで鼻血も涙出る!

親父にも殴られた事ないのに!という名台詞が頭を過ぎる自分に自らビンタしてやりたい。


コッチが何したっていうんだ!


カッパンは以前同様よく分からない鎖で動けなくされ、背負っていたザックを奪われ、鞄の中身をぶち撒けられる。でも酒が2本、非常食に水筒などなど…大量の酒と宝石は出てこない。

これにはモブ男達も眉を顰める。

いくら殴られても出ないものは出ない。


「聞いてたのと話が違うじゃねぇか」

「大量の宝石持ってたんじゃないのか?」


どうやらカマキリ男に唆された野盗のようだ。

命乞いしても助けてくれそうにないなぁ…


「そういえば以前貴族の次元収納箱をぶっ壊したら、中身が出てきた事があったな」

「なんだ簡単じゃねぇか」


いうや否や髭面の男が手にしていたナイフザックに突き刺し、勢いよく真っ二つに引き裂いた。


「な…何してんだーーー!やめろーー!!」


男を止めたいのに殴られて蹴られた自分の身体は思うように動かない。手だけでもと懸命に伸ばすが、当然届くはずがない。目の前でどんどん引きちぎられていく。


「やめ…やめ、て!やめてくれーーー!」

「コイツ泣いてるぞ」


爆笑されていても構うものか!

身体を引きずり、髭面の男の脚に縋るようにしがみつく。蹴り倒されて、亀のようにひっくり返る。

外野が馬鹿みたに大笑いしてる。


「返してくれ!ザック!ザックー!」

「たかが鞄だろうが、ほらよ」


投げ捨てられたザックはボロ布の様になっていて、原型が分からない程だ。

喉の奥が熱い。声にならない何を叫んだ。


「とりあえず河童と、その坊主引っ張って行きゃ良いんだろ?」


男達にザックの残骸は踏み蹴られ、更に自分との距離が離れてしまう。

すまん、すまんザック…

ごめんな…頼りない相棒でごめんな…


サッカーボールを蹴る様に、髭面の男は何の躊躇いもなく自分の顔面に力強く汚いブーツをめり込ませた。

鼻血と吐血、それと同時にザックへの謝罪の涙も飛び散る。


そこで自分の意識は途切れた。



お読み頂きありがとうございます。

のんびりペースで更新していきますので、よろしくお願いします。

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