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火の大精霊の行方

「「「・・・」」」


・・・むぅ・・・中々衝撃的な話が聞けたな。


歴史や伝説の裏側を知ってしまった気分。俺もアスターもアニスも無言になってしまう。


しかし話の内容もそうだが、俺が気になるのは・・・マルコ村長が()()()()()()()()()()()()()だな。大事な師匠や住人たちが犠牲になった話をこうも淡々と話せるものなのだろうか? いまいちマルコ村長の反応が鈍いというか、感情の起伏が乏しいというか・・・


そんな疑問が顔に出ていたのかマルコ村長が俺を見ながら答える。


「お主が何を言いたいのかはわかるが、ワシにとっては四百年前の話なのじゃ。当時は激しい憎しみと憤りを感じたが、時を経るとどうも、な。

それに、あまり大きな声では言えんが・・・当時、島にやってきた良からぬ者たちの関係者への復讐も一通り終わっているのじゃよ。

そのおかげか分からんが、それ以降、この周辺は戦争に巻き込まれることもなく平和じゃしな!!」


豪快に笑いながらさらっと問題発言しているマルコ村長・・・しかし、それも致し方なしか。今は割と平然と話をするマルコ村長だが、事が起こった当時はとてもじゃないが冷静ではいられなかっただろう。


話を聞く限り、どう考えても島にやってきた連中に問題があるし、マルコ村長がどんな復讐をしたのかは知らないが・・・少なくとも部外者である俺たちがどうこう言えることじゃない。


俺たちが気にしなければいけないのは・・・


「ではその後、【火の大精霊】はどうなったのですか?」


そう、肝心の【火の大精霊】がどうなったか、だ。


「うむ、【火の大精霊】・・・【ガティアス】に取り憑かれた【火の大邪霊】は【サラマンデル島】と共に海に沈んでしまったのじゃが・・・それ以降姿を見せることがなかった。

当然、ワシらも冒険者たちの協力を経て探し回ったのじゃが・・・影も形も見つからんかった。

【火の大精霊】もワシと同じく復讐のために良からぬ者たちの元へと向かったのかとも思ったのじゃが・・・【ガティアス】に取り憑かれ、理性を失った【火の大邪霊】にそのような事を判断できる理性が残っているのかは疑問じゃった。

現にこの四百年、【人間界】での【火の大精霊】の目撃情報も被害情報もまるでなかった」


【火の大精霊】が消えた?・・・いや、でも【人間界】()()ということは・・・


「そう、確かに【人間界】での情報はなかったが・・・今から百年ほど前じゃったか。

エルクスという冒険者がこの地を訪れてな。

【精霊界】にも【サラマンデル火山】があることを教えてくれたんじゃ。

それを聞いてワシも現地へ向かってみたが・・・確かに島ではなくなっていたが、その場所は【サラマンデル火山】そのものじゃった。

おそらく【精霊界】の【サラマンデル火山】は【火の大精霊】が作り上げた場所。

偶然か【火の大精霊】の意思かは分からんが、【火の大精霊】は【人間界】から【精霊界】へと移動したようじゃな」


おお、ここで冒険者エルクスが出てくるのか。しかもマルコ村長は直に冒険者エルクスと会ってたんだな。さすが長命種の【エルフ】。


それはともかく・・・アスターに【四大精霊】を探すよう試練を与えたのは【精霊王レイハイム】だ。


もしかしたら【精霊王レイハイム】が・・・? 【精霊王】なら【火の大精霊】の状況を知っていてもおかしくはない。


・・・ん? 今、マルコ村長も現地へ向かったって言ったか?


「マルコ村長も【精霊界】の【サラマンデル火山】に向かわれたのですか?」


「うむ、【火の大精霊】がいるとなればワシが向かわねばならぬ。・・・それがポーロ師匠への贖罪でもあるからのう。

・・・しかし、数多くの【邪霊】たち、そして【溶岩の上級邪霊】に邪魔され、ワシらも撤退せざるを得なかった。

それ以降も何度か挑んだんじゃが・・・残念ながらワシらでは力不足のようじゃ」


むぅ・・・つまり、マルコ村長も俺たちと同じってことか。結局は【火の大精霊】を探すには【溶岩の上級邪霊】が邪魔になるってわけだ。


しかし、肝心の【溶岩の上級邪霊】を倒す術がわからない、と。マルコ村長たちもそこで手詰まりになっているのか。


しかし、ここで新たな疑問が。


「マルコ村長・・・さっき、【ガティアス】に取り憑かれた【火の大邪霊】が溶岩の巨人に姿を変えたって言ったよね? それってつまり【溶岩の上級邪霊】が【火の大邪霊】ってことなの?」


・・・と、自分で言っていてなんだが、多分違うだろうな。もしそうなら、これまでの経験上【火の大邪霊ガティアス】となるはずだし。


案の定、マルコ村長は首を横に振った。


「否、あれはおそらく【火の大邪霊】が生み出した分身のような物じゃ。

つまり、本体ではない。

それ故に倒すことができんのじゃと、ワシは考えておる。

元々、【精霊】は自分の力を分けたり、他の【精霊】に受け継がせたりすることもできるのじゃ。

【精霊界】の【サラマンデル火山】に【火鳥の中級邪霊】というのがおったじゃろ?

元々、【サラマンデル島】には【火鳥の精霊】というのがおったんじゃが、それは【鳥の精霊】の力を受け継いだ【火の精霊】の姿なのじゃよ」


【精霊】の力の継承っていうのもアスターが【精霊王レイハイム】から聞いた情報と一致するな。


なるほどねぇ・・・あの火の鳥は【火の精霊】と【鳥の精霊】が合体した姿なわけね。


しかし、力を分けるというのは初耳だな。


分身だから倒せない・・・いや、本体から()()()()()()()()()()()から分身は不死身なんじゃないだろうか?


あの【溶岩の上級邪霊】は下半身がパイプのような物になっていて直下の溶岩の海に繋がっていた。となると本体はあの溶岩の海の中に・・・? そういえば俺たちが【溶岩の上級邪霊】の下半身をぶった切った時、その場で再生せずに一度溶岩の海に落ちてから復活したんじゃなかったか? もしかしたら、あれは通用しなかったんじゃなく、倒しかけた分身を本体が復活させたのかもしれない。


そう考えると、次の問題は溶岩の海の中からどうやって本体を引っ張り出すかだが・・・まさか溶岩の海の中を潜っていけってことじゃないだろう。・・・そうだよね? そうであってほしい。


となると後考えられるのは・・・


「・・・マルコ村長、【サラマンデル島】に隠し通路とか抜け道みたいな所ってなかったの?」


「隠し通路? 抜け道?」


現状、【サラマンデル火山】の中央は【溶岩の上級邪霊】を始めとする【邪霊】たちが邪魔してくるわけだが・・・【サラマンデル火山】が【サラマンデル島】を忠実に再現しているのなら、【サラマンデル島】に中央部へ向かう道が別にあり、それが【サラマンデル火山】にもある可能性が高い。


その隠し通路なり抜け道を使えば溶岩の海にダイブしなくとも本体の元へたどりつくことができるかもしれない。


という俺の考えをその場にいる皆に伝える。


「なるほどのう・・・しかし、そんな話は聞いたことがないのう。ワシも【サラマンデル島】が変貌した後は一時的に滞在したことはあっても、詳しく探索などしたこともなかったしのう。・・・ポーロ師匠なら何か知っておったかもしれんが・・・」


・・・ポーロ師匠はもういない。そしてマルコ村長が知らないとなればもう他に知っている人物はいないだろう。となれば・・・


「・・・やっぱり、海に沈んだ【サラマンデル島】を直接確認しに行くしかないですかね」


「そうみたいですわね」


他に手掛かりがありそうな場所は思いつかないな。


「・・・ふむ。話は分かった。【火の大精霊】を見つけるのはワシらとしても望む所。現地にはワシが案内しよう」


と、言うわけで俺たちはさっそく現地へと向かうことになった。


マルコ村長と共に村長宅を出ると・・・


「だうー・・・」ぼー


「あいー・・・」ぼー


「ふぁいー・・・」ぼー


・・・なんかアウルとミコトと、見知らぬ幼女がぼーっと空を見上げていた。


何してるん?

(*・ω・)*_ _)ペコリ


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