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伝説の裏側

===視点切替===>アルク


マルコ村長は静かに語り始めた。


「分かりやすく時系列で順番に説明していった方が良いかの。

今から・・・およそ千年ほど前じゃ。この辺りの地域では国同士や民族同士の戦争や紛争が絶えず、常に難民が溢れかえっておったんじゃ」


・・・おうふ、なんか初っ端から重たい話が始まったぞ。


「当時、多くの人間が戦争の犠牲となり、住む家を追われ、難民となって各地をさ迷い歩いておった。

かく言うワシもその一人じゃ。

そんなワシらがたどり着いた場所が【サラマンデル島】だったというわけじゃな。

当時の【サラマンデル島】は険しくも豊富な大自然がそのまま残されており、陸から離れた孤島であったが故に人の手による開拓が行われていない、まさに手付かずの島じゃった。

移住するには厳しい環境じゃったが、それゆえに戦火が及ばず、ワシらが隠れ住むには都合の良い場所じゃったということじゃな」


【サラマンデル島】は元々は無人島だったのか。戦火を逃れるためとはいえ無人島に移住とは・・・当時としても苦しい決断だっただろうな。


「当然、大自然そのものじゃった【サラマンデル島】の開拓は容易なものではなかった。が、戦火を逃れてきた者たちの中に運良く【精霊士(エレメンター)】がおったんじゃ。

その【精霊士(エレメンター)】は島に移り住んだワシらに【精霊】の存在を教え、【精霊】と【契約(コントラクト)】する方法を教えてくれた。おかげでワシらは【精霊】たちの力を借りて島での生活を徐々に成り立たせることができるようになったんじゃ」


なるほど・・・【精霊】の力を借りたのか。アスターだってミコトの力を借りて畑で作物を育ててるし、大自然の中なら【精霊】の力も存分に発揮できただろうしな。難民たちには強力な助っ人がいたってわけだ。


「そう・・・つまり、その【精霊士(エレメンター)】こそまさに【サラマンデル島】伝説の始まりなのじゃ。その名もポーロ! 偉大なる【エルフ】にして我が師匠でもあるお方じゃ!!」


おお、マルコ村長のテンションが急に高くなった。マルコ村長にとってもそのポーロ師匠って人が恩人だからか? マルコ村長がとても誇らしげだ。


・・・んん? マルコ村長とポーロ師匠? マルコとポーロ・・・ちょっと突っ込みたいが真面目で重たい話の途中なので控えることにしよう。


「ポーロ師匠は実力もさることながら、容姿端麗な女性でな! 男女問わず人気の的であり、住人たちにとっても憧れの存在じゃった。数え切れぬほどの男性が彼女にアタックしたんじゃが、なぜか彼女は独身を貫くと言って玉砕していったんじゃ。かく言うワシもその一人じゃがな!!」


と思ったらなんかこの人、ポーロ師匠の事を熱く語り始めたぞ? 尊敬しているのは分かったが、ぶっちゃけアンタの振られた恋愛話なんて興味ないぞ。


「村長さん、話が脱線していっていますわ」


アニスの指摘にマルコ村長はハッとなって正気を取り戻したようだ。・・・少し顔が赤いがマルコ村長、もしかして今もまだ、その人の事を・・・?


「おっと、すまぬすまぬ。

【精霊】の力を借りて生活を始めた【サラマンデル島】のワシらじゃったじゃが・・・先ほども言ったとおり、当時は戦争や紛争が絶えなかった。

精霊士(エレメンター)】の力に目をつけた良からぬ者たちやってくるようになったのじゃ。

自分たちに力を貸せ! さもなくば・・・と言ってな。

良からぬ者たちは勝利の為にワシらに恭順をせまったわけじゃが・・・当然ながらワシらのような戦火を逃れてきた者たちが戦争になんぞ加担などするはずもない。

ワシらは【精霊】たちの力を借りて、良からぬ者たちを追っ払ったのじゃ。

その事が結果的に力を見せ付ける事になってしまったのか、それからも良からぬ者たちがワシらに戦力を送りつけてくるようになったのじゃが全て返り討ちにしてやったわい。

中でも強かったのが我が師であるポーロ師匠と【契約(コントラクト)】を結んでいた【火の大精霊】じゃった」


おお、ここでようやくはっきりと【火の大精霊】の話が出てきたな。今まではいるかもしれないというあやふやな情報だったが、ようやく確定的な情報が出てきたな。


「長命種であるポーロ師匠と【火の大精霊】のおかげで、それから数百年もの間、【サラマンデル島】は守られてきた。

そしてワシらは戦火とは無縁の・・・まあ多少のいざこざはあったが、平和な生活を手に入れることができたのじゃ。

【火の大精霊】の力によって守られた島・・・【サラマンデル島】は人間にとっても【精霊】にとっても、まさに楽園と呼ばれる場所になったわけじゃな。

しかし・・・それも唐突に終わってしまった。

【サラマンデル島】の開拓が始まってから500年ほど経ったある日、天から災厄が飛来したのじゃ」


・・・この話は『海底に沈んだ三つ子山』にも出てきた話だな。・・・楽園の終わり、か。天災とはいえ、どうにもやりきれないな。


「天からの災厄って・・・隕石ですか?」


アスターも俺と同じ事を思ったのかマルコ村長に質問する。


「うむ、()()()ワシもそう思っておったんじゃがなぁ・・・」


・・・最初は? 今は違うってことか? 隕石ではない?


「まあ、話を聞けい。

天より飛来した災厄によって島の自然は消し飛び、多くの民が命を失った。

ワシを含めて一部の住民たちは辛うじて生き残ったが・・・災厄によって島の形が変わり、出来上がったのが三つの火山じゃった。

火山の噴火によって噴煙が舞い散り、溶岩が地面を覆い隠した。

その勢いは凄まじく、島のみならず周辺の海、そして遠く離れた陸地にまで影響を及ぼすほどじゃった。

島の住民たちは生き残るために島を離れる決断を下したのじゃが・・・ポーロ師匠と【火の大精霊】は島に残ると言い出した。

【火の大精霊】の力を使い、災厄による被害がこれ以上広がらないよう食い止めると。

島の住人たち・・・そしてワシも一緒にこの島を離れるよう説得したのじゃが、ポーロ師匠は聞き入れてくれなかった。

ならばと【火の精霊】と契約した一部の住人たちも島に残り、ポーロ師匠の手助けをする事になった。

そしてそれ以外の者たちは、他の地へ移り住み、島に残った者たちのために支援を行う事も。

【火の大精霊】の力のおかげで島のほんの一部だけが人が住める場所として残り、ポーロ師匠たちはそこで災厄を鎮めるために力を使い始めた。

一方で島を離れた住人たちは、島から一番近かったこの【レッドフィル海岸】へと辿りついた。

そして島に残った者たちを手助けするためにこの地に根を下ろし、必要な物資を島に調達する役割を担うことになった」


確かに噴火の被害というのは甚大だ。それも広範囲を巻き込み、多くの命を奪ってしまう。


それを食い止める決断を下したポーロ師匠も、それを実行できるだけの力を持った【火の大精霊】も・・・そして彼らを助け、支えた住人たちも・・・本当にすごい人たちだったんだな。


「・・・本当はワシも島に残ってポーロ師匠の手助けをしたかったんじゃがな。

ポーロ師匠から直々に住人たちを他の地へ導く役割をするよう申し付けられてしもうた。

当時、ポーロ師匠に次ぐ実力者がワシじゃっからな。

島の住人たちを狙う不届きな輩がいるかも知れぬ以上、ワシが皆を守らねばならぬ。

ワシは皆を連れてこの地まで逃れるしかなかった。

ワシが村長になったのはその時じゃな」


そして、このマルコ村長も・・・すごい人なんだな。

(*・ω・)*_ _)ペコリ


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