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聞き込み調査

===移動===>【人間界】【レッドフィル海岸】


というわけで俺たちはさっそく【レッドフィル海岸】へとやって来た。【転移装置(ポータル)】で一瞬で移動できるのは便利で良いね。


それはそれとして【レッドフィル海岸】だが、文字通り・・・海岸だった。当たり前だが。


綺麗な海に白い砂浜・・・あ、少し離れたところに船が見える。建物もあるから・・・港か? 人影も見えるな。


ただ、港も建物もそれほど大きい物では無いみたいだし、港町・・・というよりは漁村と言った感じだ。


「あそこが現地の住人たちが住んでいる所みたいだね」


「ええ・・・ざっと見た感じ普通の漁村みたいですね」


「周囲にモンスターはいないようですわ。今のうちに早くあの村に向かいましょう」


というわけで早速、漁村までやって来た。・・・うん、普通だ。


特に寂れている様子も無いが、かと言ってすごく近代的かと言われればそこまででもない。道はしっかり整備されているし、建物も木造だがしっかりとした造りのようだ。


都会ほどではないが人も結構いて賑わっているようだ。露店もやっているようで活気が溢れているように見える。


「なんというか・・・・・・普通にのどかで平和な漁村に見えますわね」


「そうですね。これと言って強い特徴があるようには見えませんが、だからと言って過疎っているわけでもない。昔ながらの生活を続けてきた田舎といった感じでしょうか」


どうやら二人も俺と同じような印象を受けたようだ。


別に普通である事は問題ないんだが・・・この村のどこかに【火の大精霊】の手がかりがあると言われても正直ピンとは来ないな。特別【精霊】を信仰しているって様子も無いし・・・


家並みだって普通だし、道行く人たちだって普通だし、子供たちだって普通にふわふわ浮きながら遊んで・・・んん?


「・・・あの子供たち・・・【精霊】?」


俺が見ている先にはかけっこのような事をして遊んでいる幼い子供たちの姿が・・・ただし、宙に浮いてかけっこしているが。


よくよく見てみると、道行く人たちの隣に浮かんでいる子供とか犬っぽいのとか鳥っぽいのとかがそこかしこに・・・おいおい、全然普通じゃないじゃん!?


なんで気づかなかった俺!・・・普段から普通に浮いて遊んでるアウルやミコトをいつも見ているからか? 慣れっていうのは恐ろしいものだな。というか【精霊】たち、普通に村の中に溶け込みすぎ。


「【精霊界】でもないのに、こんなに堂々と【精霊】たちが実体化しているという事は・・・この村の【精霊】たちは皆、人間と【契約(コントラクト)】しているという事ですわよね?」


アニスの言う通り、【精霊界】では普通に存在を認識できる【精霊】だが、他の世界で【精霊】が実体化するためには人間との【契約(コントラクト)】が必要だ。正確には【契約(コントラクト)】することで供給される人間の霊力が、だが。


実体化していない【精霊】を人間は認識する事はできない。それが普通に認識できて、さらにこれだけ大量に【精霊】がいるという事はこの村の大半が【精霊】と【契約(コントラクト)】しているということ・・・どうやらここは【精霊士(エレメンター)】たちの村らしい。


考えてみればプレイヤーが連れている【眷属】以外の【精霊】を【精霊界】以外の場所で見たのは初めてじゃないだろうか。まあ、それだけ【精霊】が特殊な存在だってことなんだが。


・・・あれ? アニスは【封印の精霊】だって本人が言っていたよな? 何で普通に【人間界】に出てきて実体化しているんだ? 【眷属】ではなくプレイヤーだからか? できれば本人に直接聞いてみたいが・・・俺は記憶を封印されているフリをしているからそれを聞いてしまうとおかしなことになってしまうんだよなぁ・・・もどかしい。


「と、とにかくこの村なら情報が手に入る可能性が俄然高くなってきたね。ここは手分けして聞き込みしようよ?」


「はい」


「わかりましたわ」


聞き込み調査といったら足で稼ぐのが基本。あとは時間と根気と体力の勝負だ。


・・・


・・



「それなら村長に話を聞きに行ってみると良い」


「村長さん?」


・・・なんかあっさり情報が手に入ってしまった。


話をしてくれているのは船の近くで一服していたらしい、筋肉隆々のごついおっちゃん。これが海の男というやつなのか・・・と思ったのだが、正直それよりもおっちゃんの頭に乗っかっているイルカのような【水の精霊】の方が気になる。


アウルも俺の頭の上に乗るのが好きだし、【精霊】って人の頭の上に乗るのが好きなのか?


「ああ、ここからも見えるだろ? この村で一番デッカイ屋敷に住んでいるのが村長だ。村一番の【精霊士(エレメンター)】で【サラマンデル火山】の伝説についても一番詳しいお人だ」


「なるほどぉ・・・でもボクのような余所者がいきなり行っても話を聞かせてくれるの?」


せっかく話を聞きに行っても『余所モンに聞かせる話なんぞないんじゃ!!』とか言われて門前払いされてはたまったもんじゃない。


「ハハハ! それなら大丈夫だ。村長はお話好きのお優しい方だ。それに【サラマンデル火山】の伝説を多くの人に広めたいとおっしゃっていたし、冒険者たちが来たのも一度や二度じゃない。お前さんが余所モンだろうと邪険にはされんさ」


・・・ああ、俺たちみたいなのが昔から来てるから慣れてるってことね。だからこのおっちゃんも気さくに俺の話を聞いてくれるわけか。


「・・・ちなみに、【サラマンデル火山】があった海域に行こうと思ったら船で送ってくれたりしないかな?」


多少、図々しいお願いだったが俺たちはまだ【サラマンデル火山】があった海域の場所を知らないからな。できれば現地民に案内してもらうのが確実なんだが・・・


「行くだけなら構わんが・・・村長の許可を得てからだな。冒険者の中には当然、現地に行ってみたいって奴が結構いるんだが・・・村長に認められるぐらいの実力が無いと正直、生きて帰って来れんぞ」


あー、やっぱり危険があるのか。だが、それはつまりそこに何かがあるってことだよな? まあ、その事は村長に聞いてみるしかないか。


「わかった。ありがとうおっちゃん! これ、【精霊界】産の野菜のおすそ分け」


情報を貰ったからにはちゃんと情報料を払わないとな。【精霊士(エレメンター)】なら【精霊界】産の野菜の価値を知っているだろうし、さらにこれらはアスターの畑で獲れた自慢の一品たちだ。市販の物よりもさらに味は上だ。


「おっほー! 助かるぜ! コイツも喜んでるしな!!」


案の定、おっちゃんは喜んでくれた。さらにおっちゃんの頭の上にいる【水の精霊】もどこと無く嬉しそうだ。


どうやらこのおっちゅんと【水の精霊】は良い関係を築けているようだ。・・・まあ、俺とアウルほどではないがな!!


まあ、それは置いておいて・・・先に進む為には、どうやら村長に話を聞くのと村長に認められる必要があるようだ。


村長の所にはアスターたちと合流して全員で行ったほうが良いだろう。


その旨をメールで出しておく。


さて、合流するまでもう少し聞き込み調査をしておこう。

(*・ω・)*_ _)ペコリ


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