溶岩の巨人
「・・・やっぱり、アルクさんと一緒だと大物に遭遇するんですね」
「・・・おい、アスター。やっぱりってどういうことだ?」
俺がいつもいつも厄介な敵を呼び寄せているかのように言うんじゃねぇよ。・・・確かに噴火口調べようって言ったのも【火炎草】を【採取】するように言ったのも俺だけど・・・あれ? やっぱり俺のせい?
「冗談ですよ。アルクさんが居なかったとしても結局は同じ結果になったでしょうしね。むしろアルクさんが居なかったら僕とミコトだけでアレの相手をすることになったでしょうから、居てくれて感謝していますが・・・来ますよ!!」
「うおっ!?」
溶岩の巨人(上半身のみ)がパンチを繰り出してきた。パンチというか溶岩の塊が飛んできたように見える。
「【サイコスラッシュ】!!」
それを迎撃するかのように鎌を振るうアスター。攻撃が届くような距離ではなかったが、まるで透明な斬撃が飛んでいったかのように溶岩巨人の拳に亀裂が走る。
・・・が、そんな攻撃など無かったかのように溶岩巨人の拳が迫ってくる。・・・相手がでかすぎるせいか、効果が薄いか?
「避けろ!!」
とはいえ、溶岩巨人の巨体ゆえかスピードはあまり無いようだ。余裕で避けられたかと思った俺たちだったが・・・
「うわっ!?」
「あちっ!?」
「クルッ!?」
「オ二人トモ、本機ノ後ロヘ!!」
「だう?」「あい?」
パンチ自体は避ける事ができた・・・のだが、あの溶岩巨人の拳を振るわれたと同時に溶岩と火の粉を撒き散らしてきやがった。
飛び散る溶岩はさすがに避けたが、一緒に舞い散る無数の火の粉までは無理だった。俺とアーテル、アスターが火の粉を被り、アウルとミコトは・・・カイザーが庇ってくれたようだ。
火の粉がチクチク当たって熱いし痛い・・・なんていやらしい2次被害なんだ。おまけに少しだがダメージを受けてるし。
「まずいぞ! 皆下がれ!!」
溶岩巨人はパンチを連打してくる。しかし、脅威なのはそのパンチ自体ではなく、その度に撒き散らされる溶岩と火の粉だ。それらを避けるために必要以上に距離を取らざるを得ない。いや、2次被害でこれだけの脅威となるのなら、あのパンチの直撃を受けたら非常にまずいな。これじゃあ迂闊に近寄ることも出来ない。
・・・やむを得ないな。
「カイザー!」
「了解デス。【メカロイド】形態へ移行します」
敵がボスクラスのモンスターなら、相手は【クランメカロイド】のアークカイザーが相応しい。
巨大化したアークカイザーに乗り込む俺とアーテル、アウル。
「アスター、ミコトも来い!」
「わかりました」
「あい!」
別パーティだったがアスターとミコトにも一緒に乗り込んでもらう。この状況じゃ外にいる方が危険だ。
俺たちが乗り込んだアークカイザーに溶岩巨人のパンチが迫る。しかし、今度は先ほどまでのようにはいかないぞ。
「【轟鎚アーディバサラ】を装備だ!」
「了解デス」
俺は受け取ったばかりの新武器、【轟鎚アーディバサラ】をアークカイザーに装備させる。重く巨大なハンマーはああいうデカブツを叩きのめすのに使うのが相応しい。
「【メガトンプレッシャー】!!」
【轟鎚アーディバサラ】を大きく振りかぶって、迫り来る溶岩巨人の拳にカウンターを食らわせる。
通常であれば溶岩の塊のような相手に打撃武器を使うのは損傷度が気になる所だが、【轟鎚アーディバサラ】には破壊不能効果がある。溶岩が相手だろうが壊れたりはしない。
ドゴッ!!
【轟鎚アーディバサラ】の威力の前に溶岩巨人の拳は見事に砕け散った。
しかし、ここでさらに問題発生。
砕け散った溶岩巨人の拳が先ほどまで以上に溶岩と火の粉を飛び散らせてきやがった!
急いでアークカイザーを後退させるが・・・多少の溶岩と火の粉を被ってしまった。
「大丈夫か、カイザー!?」
「損傷率、20%未満・・・問題アリマセン」
どうやら無事・・・ではないが問題は無いらしい。
アークカイザーの自動修復を待ちたいところだが・・・どうやらそうも言っていられないようだ。
「・・・拳が・・・治っていく?」
アスターが呟いたとおり、たった今砕いた溶岩巨人の拳・・・その拳を形成する溶岩がウネウネと動き、元の姿を取り戻していった。
・・・向こうも自動修復機能があるらしい。というかダメージ与えられているのか?
元通りになった拳を再び繰り出してくる溶岩巨人。
「ちぃ!?」
「回避シマス!!」
それを避けるアークカイザー。
・・・近接戦闘は予想以上にリスクが高すぎる。
ならば遠距離攻撃だ!
「【グランディスマグナム】バスターモード・ダブル!!」
【轟鎚アーディバサラ】を仕舞い、今度は【グランディスマグナム】を両手に装備。さらにバスターモードにして・・・
「ダブルシュート!!」
エナジー砲を発射!
二つの閃光が溶岩巨人の上半身に向かっていき・・・見事に風穴を二つ空けた!
・・・しかし・・・
「・・・傷がふさがっていく」
溶岩巨人の体に空いた穴はみるみるうちにふさがっていく。クソッ! まるで水を殴っているかのように手ごたえが無い。
「ならばこれでどうだ!【魔天の叡智】! 【アイスバースト】!!」
【兵器】でも駄目なら今度は【魔法】で勝負だ。
【魔天の叡智】で最大まで威力を高めた【氷魔法】を放つ。
その効果は絶大で・・・溶岩巨人を丸ごと凍りつかせた。
「・・・やったか!?」
「・・・アルクさん、それフラグですよ」
あ、しまった。俺としたことが。
そのフラグ通り・・・だったのかは分からないが、溶岩巨人を覆った氷はみるみる溶け出し、やがて砕け散った。
溶岩巨人は何事も無かったかのように健在であり、再びパンチを繰り出してくる。
タフなのか、やせ我慢なのか、そもそもダメージを受けつけないのかわからないが、とにかく厄介過ぎる。
もう少し距離を取って・・・
「アルクさん! これ以上の後退はまずいです!」
「なに?・・・うおっ!?」
アスターの声を同時にアークカイザーの背後から攻撃を受けた。
背後を見ると・・・火鳥たちが集まってきていた。
しまった。もうそんな距離まで離れてしまったのか。
火鳥たちはある程度の距離までしか近寄ってこない・・・おそらく溶岩巨人の攻撃に巻き込まれない為だろう・・・だが、それは逆に言えば溶岩巨人の攻撃範囲から外れれば今度は火鳥たちが襲ってくると言うことだ。
火鳥たちの方は倒す事自体は難しくない。しかし、溶岩巨人と同時に相手にするのはよろしくない。そもそも火鳥たちの方も何体いるかわからないし、もし無限湧きだった場合、相手にするだけこちらの消耗が増すだけだ。
溶岩巨人か火鳥たちか・・・俺たちはどうやらその境界線上にいるらしい。
(*・ω・)*_ _)ペコリ
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