大いなる精霊の手がかり
「あの・・・大丈夫ですか?」
俺があまりの絶望に膝をついて肩を落としていると、声をかけられた。
「あいあい~♪」
しかも、なぜか頭をなでなでされてる。
「・・・ああ、アスターか。ミコトも・・・すまん、大丈夫だ・・・多分」
どうやらミコトが慰めてくれていたらしい。・・・さしもの俺も仲間を・・・それもちびっ子を前にしていつまでも情けない姿をさらしてはおけない。
気を取り直して俺は立ち上がることにした。
「え? ・・・あ、え? アルクさん・・・ですよね?」
「あい?」
ところがアスターとミコトは俺の顔を見るなり不思議そう顔をした・・・というか一瞬、誰?って感じのリアクションをしていた。俺の顔を忘れるとはなんと薄情な・・・まあ、理由はわかってるんだけどな(笑)
しかし、俺は敢えてそれを無視した上で、たった今判明した事実を話し始めた。
・・・
・・
・
「な、なるほど・・・アルクさんが落ち込んでいた理由は分かりました」
アスターがこちらをちらちら見ながらも、俺の話を理解してくれたようだ・・・が、それよりも気になることがあるって感じだ。
・・・そんなに気になるか? あんまり小さい事を気にしていちゃいけないぞ。
「ああ。あれだけ捜し求めていた【宝獣】と既に遭遇していた事と、今の俺ではどうしようもない事の二つが判明して二重にショックだった」
【宝獣】というのは、アーニャが【地竜帝ドラント】から仕入れてきた情報で、【幻獣界】に存在する至高の食材なのだそうだ。その味は神々を骨抜きにすると言われている反面、神々ですが容易に手が出せないほど強力なモンスターなんだとか・・・確かに強さで言えば【世界魚バハムート】が【宝獣】である事もある意味、納得なのだが・・・
「昨日の緊急クエストでは多数のプレイヤーも参加していましたからね・・・あれだけの人数があっても無理だった事を考えると・・・個人でどうにかなる相手では無いんでしょう」
「しかも、他の【宝獣】も【世界魚バハムート】と同等以上のレベルだと考えると・・・その味を知るのは当分先だな」
「そこで諦めるという選択をしないのはさすがですね」
俺の辞書に『不可能』と『諦め』という文字は無い! ただし、『先送り』という文字はある!
「それで・・・そろそろ、その姿にツッコんで良いですか?」
・・・フフ、せっかちだなぁアスターは。だが、もう少し引っ張ろう・・・なんか面白いし。
「まあ、待てアスター。その前にアスターは何しに【精霊図書館】に? 何か目的があったんだろ?」
「・・・露骨に話を逸らしましたね・・・実は【大精霊】の居場所について情報があったんですよ」
「なに!?」
アスターは【神仏界】で【精霊王レイハイム】から【四大精霊】と【三大仙人】を探すクエストを受けていた。農業の傍ら、捜索もしていたらしいのだが・・・ついに見つけたのか!
ちなみに俺も【天凱十二将】を探すクエストは受けているが影も形も見つかっていない。・・・決して探すのを忘れてたとかサボっていたとかではない。ホントだよ?
そ、それはともかく・・・
「それで? その居場所っていうのは?」
「・・・【サラマンデル火山】と言う場所だそうです」
ここにはその場所の事について調べるためにやってきたそうだ。その後で現地に行ってみると。
せっかくなので俺も協力することにした。
・・・ちなみにミコトは俺たちの話に早々に飽きたのか、アーテルたちに合流して絵本を読んでいた。タイトルは・・・『月の精霊の竹取杉物語』? ・・・色んな意味で気になるタイトルだが、ツッコんだら負けな気がするので邪魔しないでおこう。
・・・
・・
・
「・・・で? またこれなのか」
「・・・これ、なんですねー・・・残念ながら」
【精霊界】のコーナーでアスターが見つけてきた本を確認して、またかと思ってしまった。なぜなら、本のタイトルが・・・『冒険者エルクスの冒険録 vol.77』となっているからだ。
「参考になる本を書いたっていう点では尊敬すべき冒険者なんだろうが・・・いまいち尊敬しにくいんだよなぁ・・・」
「まあ、役には立つ・・・はずですから」
そこは断言してほしいところだが・・・気持ちはわかる。俺たちはしぶしぶと言った感じで本を開いた。
『やあ!僕は偉大なる冒険者エルクス!!未知と神秘を求めて冒険を続ける冒険者さ!!』
「・・・」
「・・・アルクさん。気持ちはわかりますがちゃんと最後まで読みましょう?」
本を閉じようとする俺と、それを止めるアスター。ホント、アスターは優しいよなぁ。俺は読んでるだけでイライラしてくるって言うのに。
『XX月XX日
今、僕たちは【精霊界】エリア5にある【サラマンデル火山】に向かっているよ!
【サラマンデル火山】は絶えず噴火を繰り返している大変危険な場所で【精霊界】を旅する冒険者でも滅多に立ち寄らないんだって!
なんでそんな危険な場所に向かっているのかって?
勿論、理由はあるさ!
実は【サラマンデル火山】というのは【人間界】にも同名の場所があったのさ!
【人間界】の【サラマンデル火山】はいわゆる火山島で、そこも絶えず噴火している危険地帯だったんだそうだ。
当然、そんな場所で人が暮らすことはできない。
それどころか寄り付く人すらいなかったみたい。
そんな場所だけど近隣の住人からは【火の大精霊】が住んでいる山として恐れ敬われていたみたい。
実際、僕たちのような勇敢なる冒険者が過去に【人間界】の方の【サラマンデル火山】を調査していて、【精霊】を見た、【加護】を貰った、宝を貰ったなどなど数々の逸話を残しているんだ!
【人間界】の【サラマンデル火山】の方は地殻変動の影響か、海に沈んでしまっていて現在では確認できないけど、同じ名前の火山が【精霊界】にあるのだとしたら、そこにはやはり【火の大精霊】がいる可能性が高いってわけだね!
そんなわけで僕たちは【火の大精霊】を目指して【サラマンデル火山】へと向かっているってわけさ!
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XX月XX日
2週間の長い旅路を経てようやく【サラマンデル火山】に到着したよ!
噂どおり、溶岩が流れていてとんでもない場所のようだ・・・もし、溶岩の中に落ちたら一環の終わりだろうね!
それにこの場所は酷く暑い・・・まあ、溶岩が流れているんだから当然だけどね!
さあ、みんな!!
この場所にはあまり長居できないだろうし、さっそく【火の大精霊】を捜索だ!!
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XX月XX日
三日かけて【火の大精霊】の捜索を行ったけど見つからない・・・というのもこの暑さと溶岩、そして【邪霊】たちが僕たちの探索を邪魔していて、思うように動く事ができないんだ!
水や食料の問題もあって・・・残念ながら僕たちは一度引き返すことにしたよ。
でも、僕は諦めない!
今度はもっと暑さと溶岩対策をしてまたリベンジする予定さ!!
今後も僕の活躍をご期待あれ!!』
・・・だから、誰に向かって言ってんだ?コイツ?
それにしても【火の大精霊】か・・・まあ、火山の名前からしてそんな予感はしていたが、確かにこれは確度の高い情報・・・っていうか普通にフラグだよな。
「そうですね。エルクスさんの記述を見るか限り、【邪霊】だけじゃなく暑さと溶岩も問題みたいですね」
「ああ。俺たちは飛行手段があるから、もう少しマシに探索できると思うが・・・あとは現地に行って見ないとなんとも言えないな」
どうせなら現地の詳細を書いておいてくれれば良いのに・・・と思わなくも無いが、さすがにそこまではネタバレはしないか。
・・・ところで【精霊界】って【世界樹】の根が土台になってるはずなんだが・・・溶岩ってどこから流れてきているんだろうか? あとその溶岩のせいで【世界樹】の根が溶けてしまわないのだろうか? ・・・【精霊界】って摩訶不思議だな。
「とりあえず、現地に行ってみようぜ。俺も同行して良いだろ?」
「ええ。アルクさんがいれば心強いのですが・・・そろそろ限界なんでツッコんでも良いですか?」
むぅ・・・やはり、アスターはどうしても今の俺の姿が気になるようだ。
「なんで・・・子供の姿なんですか!?」
(*・ω・)*_ _)ペコリ
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