バハムートの真実
===移動===>【精霊界】エリア0 【精霊図書館】
アーニャは張り切ってラメールのレベリングに向かった。
アヴァンは海中用【兵器】を改良するためにホームに残った。
ラングとガットもそれぞれのクランホームへと戻っていった。
そして俺はというとアーテル、アウル、カイザーと共に【精霊界】にある【精霊図書館】に来ていた。
調べ物すると言ったらここだろう。
例によってアーテルたちには絵本を読んでもらっている間に、俺は俺で調べ物を済ませることにしよう。調べ物というのは当然、【世界魚バハムート】の事だ。それとその近くにいた謎の人影・・・俺にしか聞こえなかった声の主のことも、な。
【精霊図書館】には各世界の【精霊】が集めた情報や、各世界からの寄贈品なんかが大量に集められているので【バハムート】に関する事が書かれている本もきっとあるだろう。
というわけでさっそく【幻獣界】のコーナーを物色、と・・・あった!
タイトルは【世界魚バハムートの伝承】・・・そのまんまだな。
さっそく中身を見てみることにする。
『【幻獣界】に存在するモンスターは大きく天、地、海の三種類に分類することができる。
【世界魚バハムート】は【幻獣界】の海に属するモンスターであり、【幻獣界】の海に最初に誕生したモンスターでもあり、【幻獣界】の海に属するモンスターは全て【世界魚バハムート】より産まれたモンスターでもある』
「・・・」
・・・読み始め10秒で本から目を離し、天を仰いでしまった。
初っ端からぶっこんでくるなぁ。ちょっと先を読むのが怖くなってしまったじゃないか。
とはいえ、それじゃあ話が進まないので続きを読んでいく。
『【世界魚バハムート】より産まれ出でしモンスターたちは長き年月を経て、より強靭に、より強大に進化を続けてきた。
その中には母たる【世界魚バハムート】よりも強きモンスターも多数誕生した。
その中でも最も強く【幻獣界】の海の支配者ともなったのが【海竜帝】である。
【海竜帝】はその力で【幻獣界】の海を治めた。
しかし、その【海竜帝】もまた【世界魚バハムート】の子であることは変わりなく、【世界魚バハムート】は【海竜帝】の支配を受け付けない唯一の存在と言って良い。
【世界魚バハムート】は今もなお、新たなる海のモンスターを産み続ける母である。
【世界魚バハムート】は【幻獣界】の全ての海のモンスターの産みの親であり、全ての海のモンスターを見守り、支える【幻獣界】の海の守護者でもあるのだ』
「・・・【海竜帝】、か」
アーニャから聞いた天、地、海を統べる三体の【竜帝】、その内の一体の出生がこんなところで明らかになるとは・・・予想外である。海の支配者である【海竜帝】と海の守護者である【世界魚バハムート】か・・・この調子じゃ他にもいそうだな。
それに【バハムート】の体内にいた【半魚人】たちやウミヘビ、【海竜】・・・アイツらは文字通りに【バハムート】が産み出したモンスターだったってことか。では奴らが侵入者である俺たちに攻撃を仕掛けてきたのは母を守る為・・・そう考えると少ししんみりしてしまうな。
・・・続きを読もう。
『【真海】2階層に分かれている。
地表から海底までの海は【表海】、海底からさらに下にある海は【真海】と呼ばれてる。
多くの海のモンスターが生息しているのは【表海】ではあるが、ある一定以上の力と資格を持つモンスターは【真海】に生息している。
【世界魚バハムート】が生息しているのもまた【真海】である。
【世界魚バハムート】はそのあまりの力と巨体であるが故に【浅海】へと浮上することはまず無い。
しかし、とある理由においてのみ【浅海】へ、そして海上へと姿を現すことがある。
それは・・・文明の排除である。
【世界魚バハムート】は文明を嫌う。
なぜなら、文明こそが海を汚すものだと知っているからだ。
文明の利器・・・例えば船などが【世界魚バハムート】の目に留まってしまったら・・・その者たちは【世界魚バハムート】によって丸呑みにされてしまうだろう』
・・・文明が海を汚す、か。耳が痛い話だ。リアルでも人間が出すゴミによって海が汚染されていて問題になっているしな。【幻獣界】の海の美しさは・・・そういった文明を徹底的に排除している事が起因するのかもしれない。
とはいえ、文明全てを否定してしまうとカイザーやラグマリアのような心あるロボットやアンドロイドまで否定することになってしまうからな。なんとか共存を模索したい所だ。
まあ、それは置いておいて・・・【バハムート】が急に出現したのはこれが理由か。俺たちが文明の利器である【兵器】を思いっきりぶっ放していたから。もしかしたら俺の種族が【マキナ】だったり【クランメカロイド】のカイザーや【ヴァルマキナ】のラグマリアがあの場にいたことも要因の一つかも知れない。
アヴァンに作ってもらった海中用の【兵器】は確かに便利だが・・・【幻獣界】の海での使用についてはそれ相応のリスクを覚悟しなければいけないようだ。
まあ、俺たち以外にもそういうプレイヤーは過去にいただろうし、そいつらの元には【バハムート】が現れていない所を見ると、必ずしも【バハムート】に遭遇するとは限らないようだ。
・・・俺たちはホントにたまたま運が悪かったんだろう。いや、逆に運が良かったのか?
そして他にも何気に重要な情報も出てきてるな。
【表海】と【真海】か・・・海の下にまた海があるとはな。そしてより強力なモンスターが【真海】にいるようだ。俺たちが海底の穴のそこに見たのが【真海】だったんだろう。あのまま突っ込んでいってたら・・・かなりやばかったかもしれん。
しかし、そうなると俺たちが相応のレベルになって、いざ【真海】に行こうとなったらどうすれば良いのだろうか? 穴は既にふさがってしまったし・・・今度は俺たちの手で掘る? それこそ文明の利器を使わなきゃ無理な気がするな。
あるいは【土魔法】とか何らかのスキルかな。もしかしたらどこかに入口があるのかもしれない。
・・・まあ、少なくとも【バハムート】・・・Lv.100クラスのモンスターがいることを考えると、それも当分先の話だろう。
まったく・・・【世界樹】近辺に出る【ガーディアン】といい勝てない奴が多いな。そしてうっかり足を踏み入れてしまったら我・即・死という・・・笑えねぇ。
『【世界魚バハムート】に文明の存在を教えたのは異世界より現れし一人の【セイレーン】であった。
【セイレーン】は言葉を解さぬはずの海のモンスターたちに知識を与えた。
それを為したのは【セイレーン】の歌声。
【セイレーン】の歌声には特別な力があった。
その力は【セイレーン】の想いを歌声に乗せ、海を通してモンスターたちに伝わっていった。
【セイレーン】は語る。
より強き存在に取り憑く災厄、【ガティアス】の事を。
【ガティアス】によって多くの世界が滅びた事を。
【セイレーン】と力ある海のモンスターたちは【ガティアス】の脅威から逃れるために【表海】と【真海】に境界を作った。
そして力ある海のモンスターたちは【真海】の奥底へと身を隠した。
【幻獣界】に【ガティアス】の脅威を呼び込まぬために。
そして一部の力ある海のモンスターたちは【表海】の監視を始めた。
【ガティアス】を呼び込む存在を排除する為に。
その身が【ガティアス】に侵されることも厭わず・・・【世界魚バハムート】もその内の一体である』
・・・ここでも【ガティアス】か。ホント、あちこちで出てきやがるな。【魔龍】の話にも出てきてたし、なんともはた迷惑な存在だ。
その【ガティアス】の事を海のモンスターたちに伝えた【セイレーン】か。【ヤタガラス】のようにプレイヤーを導く存在ってことかな? もしかしたら俺が知らないだけで、他の場所でも【セイレーン】が起こした緊急クエストが他にもあるのかもしれない。
・・・しかし、俺が聞いた歌声がこの【セイレーン】の物だとしたら、俺以外に声が聞こえなかった理由がわからないな。カイザーやラグマリアのセンサーにも聞こえていなかったから種族的な問題ではないはずだ。・・・ここの書かれている特別な力を使ったという事なのか? だが、それならますます俺に聞こえたのかがわからない。
【固有能力】の影響か? それとも・・・【セイレーン】がピンポイントで俺だけに何か伝えようとした?
・・・駄目だ、わからん。また会おうって言っていたみたいだし、その時に確かめるしかないか。
「とりあえず、【バハムート】を呼び出すフラグは何となくわかったな・・・んんん!?」
おうふ・・・なんてこったい・・・さらに衝撃的な記述を見つけてしまった!
『なお、【世界魚バハムート】の身にはありとあらゆる海の栄養が豊富に含まれており、その身を食べれば神々すらも魅了されると言われている。
そのことから【世界魚バハムート】は別名、海の宝もしくは【宝獣】とも呼ばれている』
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・なん・・・だと・・・?」
(*・ω・)*_ _)ペコリ
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