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水の中の決着、そして・・・

===時間経過===>残り時間 5分


残り5分を切った!


まだ【海竜】は倒せていない!


出口はすぐそこにあるのに・・・くそっ!


アーテル、ブラン、ノワール、そしてテールのブレスを食らっても。


ラグマリアとカイザーのミサイル爆撃を食らっても。


俺の【武術】と【魔法】を食らっても。


【海竜】は倒れなかった。なんという防御力と生命力、そして使命感・・・さすがはドラゴン。制限時間さえ無ければ素直に賞賛をあげたい所なのだが、そんな時間の猶予すらない。


「まずいのだ、アルク! このままでは間に合わないのだ!!」


【グランディスマリンチェイサー】の操縦に専念していたアヴァンにも懸念される通り、このままではタイムオーバーだ。かと言って破れかぶれの特攻なんざ、あの【海竜】には通用しないだろう。


・・・ここは一つ、特(・)大(・)の(・)一(・)撃(・)を決めて一気に勝負を決めるべきだろう。ただし、それを撃つのは俺じゃない。


「切(・)り(・)札(・)は(・)ア(・)ー(・)ニ(・)ャ(・)に(・)渡(・)し(・)て(・)き(・)た(・)。後は当てられるかどうかだな」


俺は【BPポーション】と【MPポーション】を一気に飲み干しながら、その事をアヴァンに伝えた。・・・どうでも良いが、水の中で飲み物を飲むのってすっごい飲みにくい。しかも2本連続だし・・・なんか気持ち悪くなってきたような気がしないでもない。


若干、具合が悪くなったような気がする俺に対し、アヴァンはシブい顔をしている。非戦闘員のアーニャにトドメを任せるのが不安なのだろう。とはいえ、俺には俺でやる事がある。


それに【兵器】は使い手の技量に関係なく威力を出せるし、俺たちがフォローすればきっと大丈夫だ!


というわけで問答をしている時間も惜しいので、早速始めよう。


「わかってるな、皆! 追(・)い(・)込(・)む(・)ぞ(・)!!【マキシマムスラッシャー】!!」


「クルッ!」「キュイッ!」「キュアッ!」「「了解デス!」」


俺はわ(・)ざ(・)と(・)【海竜】に聞こえるように宣言した後に攻撃を開始する。他の皆もそれに続く。


おそらく【海竜】はこう考えただろう。いよいよ後が無くなって総攻撃を仕掛けてくるのだろう、と。ならば防御と回避に専念すればいずれ時間切れになる・・・とも考えたはずだ。


しかし、そう思わせることこそ俺たちの狙い。全員が【海竜】を仕留めるために一斉攻撃している・・・が、微妙にタイミングをずらしている。


そのタイミングのずれは、俺たちの包囲網の穴となる。その穴を防御と回避に専念している【海竜】が見過ごすはずが無い。


「キュオーーー!!」


目論見どおり、【海竜】はその穴から俺たちの包囲網を抜けていった。当然だろう・・・包囲網を抜けられたらタイムアップに拍車がかかる。わざと穴を作ったなど【海竜】は考えもしなかっただろう。


しかし、忘れてはいけない。【海竜】の包囲網に参加していなかった二人がいることを。


「来たのです、テールちゃん! 気合を入れるのです!!」


「キュウッ!!」


そう・・・【海竜】が向かった先には、俺が乗り場を作り、その上でずっと援護攻撃をし続けていたアーニャとテールがいたのだ。


【海竜】はそれに気づき、急いでその場から離れようとしたようだが・・・もう遅い。


「テールちゃん!【アースファークライ】なのです!!」


「キュウウウウウウ!!!」


アーニャの指示を受け、雄叫びをあげるテール。


【アースファークライ】は大地を揺るがす雄叫びをあげることで周囲の敵の動きを止めるスキルだ。・・・まあ、ここは大地ではなく水の中だが・・・音と振動は伝わるはず。


・・・どうだ!?


「キュオ!?」


・・・やった! 効いたみたいだ!!


【海竜】がまるで見えない何かに縛り上げられたかのように、その動きを止めた。


「今だ、アーニャ!」


「ハイなのです!!」


続いてアーニャが取り出したのは・・・アーニャの小さな体に不釣合いなバズーカである。


「【グランディストルピード】! 発射なのです!!」


そう、アーニャに渡していたのは残り1発となった【グランディストルピード】である。普段は武器の扱いがからっきしのアーニャも、止まっている相手なら行けると踏んだのだ。


そして今、アーニャの手によって特大の一撃が発射された。


・・・のだが・・・


「はわわ!? 変なところに行っちゃったのですーーー!!」


「「「「・・・」」」」


・・・無理も無い。銃やバズーカなどの【兵器】には反動がある。その反動をしっかり押さえ込まないと狙った場所へ直撃させる事はできないのだ。


要するに・・・技量は必要なかったが筋力は必要だったってわけだ。


うん、わかってた。【兵器】を使わないうちのメンバー、全員ノーコンだって。だからこそフォローが必要なんだ。


「ラグマリア!!」


「オ任セ下サイ!!」


アヴァンの指示を受けたラグマリアが明後日の方向に飛んでいった【グランディストルピード】に追いつき、なんと直に【グランディストルピード】を掴み、無理矢理に進行方向を【海竜】へと向けたのだった。


文字通りの力技である。


「キュオオオーーー!!」


ようやく【海竜】は自分が置かれた状況がわかったのか、水の刃や氷の槍を出して迎撃しようとする。しかし・・・


「クルーッ!」「キュイー!」「キュアー!」「迎撃シマス!」


【海竜】の隙を狙っていたのはアーニャだけじゃない。【海竜】が動きを止めた一瞬の隙に追いついたアーテルが、ブランが、ノワールが、カイザーが【グランディストルピード】に迫る攻撃を防ぐ。


そのおかげで【グランディストルピード】は真っ直ぐに邪魔される事なく【海竜】へと向かっていく。


「キュオオオーーー!!」


最後のあがきなのか・・・動かない体を無理矢理動かそうとしてその場から逃れようとする【海竜】。


「往生際が悪いぞ」


「キュオ!?」


そこに、アヴァンが操縦する【グランディスマリンチェイサー】によって運ばれてきた俺が【海竜】の背後を取った。


他の皆に気を取られすぎたな。


「【勇天の一撃(アーク・ストラッシュ)】!!!」


そして俺は無防備の背中に渾身の一撃をお見舞いする。


その威力に吹き飛ばされる【海竜】・・・その先にあるのは【グランディストルピード】だ。


ドオオオオオン!!!


【グランディストルピード】をまともに食らった【海竜】を中心に放たれる爆音と爆発。


前回の一発と同様、あまりの威力とその衝撃により流されて行く中、俺は確かに見た。


・・・断末魔の叫びすら上げる暇も無く【海竜】が光となって消えていくのを。


俺たちの勝ちだ。


しかし・・・制限時間、残り20秒。


「まずいのだ、アルク! もう時間が無いのだ!!」


わかっているさ、アヴァン。脱出方法は考えてある。その為にMPを温存したんだ。


この【バハムート】の体内では【水魔法】を駆使するモンスターがほとんどだった。


それも自分が生み出した水だけではなく、元から周辺の水まで利用していた。


そして【水魔法】である以上、俺も同じことができるはずだ。


「【魔天の叡智(アーク・ウィズダム)】!!」


しかし、素の俺では威力が足りない。規模が足りない。だからこそMPを温存していた。


すべてはこの時のために!!


「【アクアウェーブストリーム】!!」


・・・残り時間10秒・・・


俺を中心に発生した大規模な水流が、俺を含めてメンバー全員を一箇所に集めるように押し流していく。


・・・9・・・


「なんなのだー!?」「はわわなのですー!?」


・・・8・・・


ちょっと苦しいだろうが我慢してくれ。


・・・7・・・


水流は更に勢いを増し、俺たちを一気に水面へ・・・否、水面すらも押し上げて巨大な水柱に。


・・・6・・・


その水柱ごと一気に俺たちを出口へと流(・)し(・)こ(・)む(・)!


・・・5・・・


「行っけぇええ!!」


・・・4・・・


・・・3・・・


・・・2・・・


『脱出を確認しました。緊急クエスト【世界魚バハムートからの脱出】をクリアしました』

(*・ω・)*_ _)ペコリ


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