水の中の攻防
===時間経過===>残り時間 10分
「クルッ!」
「だうっ!」
「皆サン、ゴ無事デスカ?」
「お、お前達も来た・・・のか?」
俺を追ってアーテルやアウル、カイザーも水中へやって来た・・・と思ったのだが、良く見ると・・・それぞれに水の竜が噛み付いてやがる。・・・お前達も引きずりこまれたのね。俺も人の事言えないけど。
幸いというべきか。水の竜は引っ張り込む力はすごかったが、噛まれても特にダメージを受ける事もなく、またとても脆いので抜け出ることは難しくはなかった。おそらく攻撃というよりは罠に近いのだろう。
プレイヤーたちを先に進ませない為の罠。それを張ったのは・・・アイツか。今、ブランたちが戦っている・・・ネッ○ー? 【海竜】か。あれが出口の番人。
ブランたちは最初、アヴァンたちの方に戻って来ようとしたようだが、俺たちの姿を見ると【海竜】の方へ突撃していった。・・・どうやら時間を稼いでくれているようだ。
というわけでアヴァンたちと合流した俺たちはさっそく状況を確認する。
「あの【海竜】をぶっ飛ばして出口へ向かうのだ」
「オーケー!」
要点をおさえた素晴らしく簡潔な状況説明により俺はやるべきことを理解した。
「・・・そんな適当で良いのです?」
「皆まで言うな、アーニャ。マジで時間が無いからな」
残り時間は約10分、【半魚人】たちは全滅させてきたから、これ以上の増援は無いだろう。つまり、あの【海竜】を倒せばゴールと言って良いだろう。ここに来る前にアイテムもかなり消費したが、もはやラストスパート・・・出し惜しみは無しだ。
「【結晶の柱】!【結晶の障壁】!!」
俺は【結晶魔法】を使い、水の底からこの場までの巨大な柱を作り、さらにその上に結晶の壁を乗っける。見た目はクリスタルで出来た巨大なテーブルと言った所か。
「・・・テール、その足場の上に乗れ。その上の乗っかっていれば【成体】化しても問題ないだろうし、ブレスによる援護攻撃くらいできるだろう」
「・・・キュウ!!」
「はみゅー! さすがアルクさんなのです!!」
出番が出来て嬉しいのかテールは喜んで足場に移り、【成体】化・・・トリケラトプスのような巨体をあらわにする。
「アーニャはテールと一緒に居てくれ。他は全員、あの【海竜】に突撃だ!!」
「わかったのです!!」
「クルッ!」
「だうっ!」
「了解デス!」
アーニャはアヴァンの【グランディスマリンチェイサー】からテールの背中へと飛び移り、アーテルたちは【海竜】に向かっていく。
「あー・・・アルクよ」
「なんだ、アヴァン?」
「今言った全員というのは我も含まれているのだ? 後、なんで【グランディスマリンチェイサー】を掴んでいるのだ?」
ふむ、非戦闘要員であるアヴァンからすれば当然の疑問だな。しかし、その答えは明白至極。
「今の俺には水中での高速移動手段が無いからだ。というわけでアヴァン、お前が牽引してくれ。トゥゲザーしようぜ、ヒアウィーゴーだアヴァン!!」
今の俺は【マキナ】ではなく【戦人】だ。【スクリューガジェット】を使えない以上、水中での機動力が落ちる。かと言って【マキナ】に戻れば今度は【武術】や【魔法】の威力が落ちる。どちらにせよ、あの【海竜】相手には厳しい。
なので対抗策、名づけて『アヴァンに運んでもらえば良いんじゃない?』作戦である。
「急にルー○柴みたいになるな、なのだ。まったく・・・わかったのだ!!」
そう言って【グランディスマリンチェイサー】を急発進させるアヴァン。さすが物分りが良くて助かる。・・・ただちょっとだけ、【グランディスマリンチェイサー】を掴んでぶら下がっているだけの俺に配慮して欲しい所だが・・・言いだしっぺだけに文句は言えなかった。
さて、目標の【海竜】だが・・・ブラン、ノワール、ラグマリアに加えてアーテル、アウル、カイザーまで参戦しているにも関わらず互角以上の戦いをしている。
全周囲から襲い掛かるブランたちに対し、【海竜】も全周囲に向かって水の刃、氷の槍、そして水の竜を巧みに駆使して攻撃を防ぎ、攻撃を仕掛けている。というか死角からの攻撃にも対応しているように見えるんだが・・・背中に目でもついているのだろうか? やっぱり【海竜】なだけに水の中だと一際強いようだ。
・・・まずはあの邪魔な水の竜たちをどうにかするか。急いではいるが焦りは禁物だ。
俺は右手に【豪剣アディオン】を持ち、構える。・・・左手で【グランディスマリンチェイサー】を掴んでいるからいまいち不安定だが、仕方が無い。
「【全天の属性】!【ミーティアルスラッシャー】!!」
属性付加した大量の斬撃を飛ばす。【海竜】本体は勿論のこと、周囲にいた水の竜たちも大量の斬撃によってどんどん消えていく。
「キュオオオ!!」
それを目にした【海竜】は即座に移動を開始した。
無論、周囲をブランたちが囲っているので、そもそも移動すること自体、困難なはずなのだが、囲いの隙を突き、かつ移動中も攻撃の手を緩めないことで、戦場を移動している。
勿論、俺たちも含めて全員がその【海竜】を追っかけているので、【海竜】は包囲網から脱出できたというわけではない。包囲網ごと移動しているというのが今の状況だ。
・・・あの【海竜】の狙いは攻撃の回避でも逃げでもないな・・・時間稼ぎか。
クエストクリア条件は【バハムート】体内からの脱出だ。あの【海竜】の討伐ではない。とはいえ、現状はあの【海竜】を倒さないと出口に辿りつくのは厳しい。だからこそ俺たちは必死になって【海竜】を倒そうとしているわけだが・・・あの【海竜】はその事を認識して時間稼ぎを行っているようだ。
正しい判断だと思うが・・・それは逆に言えば、それほど【海竜】は追い込まれていると言える。
となると後は・・・
「アウル! こっちへ!!」
「だうっ!!」
こちらが押し切れるかどうか、だ。
「行くぞ、アウル! 【精霊憑鎧】発動!!」
「だーうー!!]
アウルが俺が着込んでいた鎧・・・【功鎧アルドギア】と合体し、その姿を【王鎧アウルドギア】へと変化させていく。これで俺のステータスは大幅にアップした。【武術】や【魔法】の威力も上がった。
「【結晶の障壁】!!」
俺は【結晶魔法】を使い、【海竜】の進行方向に結晶の壁を作った。これで【海竜】の足を止めることが出来るはずだ。
「キュオー!!」
その事に怒ったのか、俺に向かって大量の氷の槍を放ってくる。
「ぬおおおお、なのだ!?」
「【結晶の短剣】!!」
【グランディスマリンチェイサー】を必死に操作して避けるアヴァンと、大量の結晶の短剣を出して迎撃する俺。
どうやらあの【海竜】、俺を一番の敵だと認識したようだな。・・・一緒にいるアヴァンにとばっちりが行っているが。・・・なんかすまんな、アヴァン。しかし、お前のハンドルさばきも中々のモノだぞ?
「勘弁して欲しいのだ。貧弱な我が当たってしまったらイチコロなのだ」
「そんな事は俺がさせないから大丈夫だ。【ミーティアルスラッシャー】!!」
【海竜】の攻撃を迎撃しつつ反撃を与える。
他の皆も同じだ。
さすがの【海竜】もダメージは着実に蓄積しているはずだ。
決着は近い・・・問題は、時間内に間に合うかどうか、だ。
(*・ω・)*_ _)ペコリ
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