謎と共に去る
===移動===>【幻獣界】エリア4近海
「うおっと!?」
水流に流されていくうちに周囲の景色が変わる・・・どうやら【バハムート】体外の海に出られたようだ。
「・・・うぬぅ、酷い目にあったのだ」
「はにゅー、アルクさん、強引すぎるのです」
俺の近くにはアヴァンとアーニャも居た。・・・というかはぐれないように俺が抱えこんでいたのだが。・・・うん、確かにちょっと強引だったな。
初めて攻撃以外の使い方で【水魔法】を使ってみたが・・・加減がわからなかった。ちょっとしたウォータースライダーみたいだったな。・・・ウォータースライダーのように台が無かったから、ただ激流に流されただけだとも言えるが。
「クルッ!」
「キュイッ!」
「キュアッ!」
「キュウッ!」
「マスター!」
「皆サン、ゴ無事デスカ?」
おお、アーテルたちも無事みたいだ。良かった。
全員が無事に脱出できた事は喜ばしいのだが・・・クエストはどうなったんだ?
と疑問に思ったところでメッセージが。
『脱出を確認しました。緊急クエスト【世界魚バハムートからの脱出】をクリアしました』
おお! クリア出来てたのか! どうやらなんとか間に合ったみたいだな!!
続いて報酬に関してのメッセージが来る。
『クリア報酬として参加プレイヤーに500万Gを贈呈します。
初回クリア対象者にSP10を贈呈します。
初回クリア対象者に称号【バハムートとの遭遇者】を贈呈します。
クリア報酬を【収納箱】に転送しました』
良し良し良し! いきなり巻き込まれたクエストだったが、報酬も称号もゲットできたし結果的にはラッキーだったな!
『緊急クエストを少人数クリアしました。称号【雨過天晴】を取得しました』
・・・おや? なんか別の称号まで手に入ったぞ? 天の文字が入っているから・・・天の称号シリーズか? これまた嬉しい誤算だな!!
さっそく報酬と称号を確認・・・と行きたい所なのだが・・・実はまだ問題が残っている。
「・・・この黒い巨大な物体が【世界魚バハムート】・・・なのだ?」
そう・・・俺たちの目の前には黒く巨大な何か・・・【世界魚バハムート】がいまだにいたりする。・・・そういえば脱出する事ばかり考えていたが、この超巨大魚、どうすれば良いんだ?
というか、一体これのどこが魚なんだ?
目の前にあるのは鱗みたいだが・・・鱗の一枚一枚が山のように大きいんだが? それが数え切れないほど重なっていて・・・それでも全長が見えない。
ヒレのような物も見える。・・・ヒレというにはやはり巨大すぎるが。あのヒレを軽く動かすだけで大洪水が起こりそうなんだが。
・・・大雑把な体型やヒレの位置を見る限り、【バハムート】はどうも垂直に立っているような状態のようだ。
頭の方は海面を飛び出して雲にまで届きそうなほど天高くまでそびえ立っており、逆に尻尾の方は海底の地面に埋もれているようで・・・水深数百m程度しかないこの海域に無理矢理顔を出したかのような状態だな。
人間の定義では水深200mで既に深海と呼ばれるんだが・・・目の前の超巨大魚はそんな常識を簡単に超越している。
いや、マジでどうするんだよ。まさか討伐しろとか言い出すんじゃないだろうな。レベル的にも体格的にも不可能だぞ。
せめて、何故【バハムート】がこんな場所に現れたのかわかればお帰り願えるかもしれないが・・・
「・・・・・・・・・ララ~♪ ・・・フフッ」
「!?」
そこで再び聞こえてきた歌声・・・しかも、なんか笑い声まで聞こえてきた! もう気のせいじゃない。【バハムート】が出現する時も聞こえてきたし、やはり関係が?
そしてやはりアヴァンたちには聞こえていないようだ・・・しかし、空耳というにははっきりと聞き取れすぎている。俺は急いで声の主を探すが・・・見つからない。というか目の前の【バハムート】がデカ過ぎて探しにくい!
ゴゴゴゴゴゴッ!!
うおっ!? 今度はなんだ? 体が・・・いや、海が揺れている?
「アルクさん! 【バハムート】さんが!?」
見ると【バハムート】の巨体が・・・地面に潜っていく? まるでモグラたたきのモグラが頭を引っ込めようとしているみたいだ・・・スケールがかなり違いすぎるが。
クエストが終了したからどこかへ移動するつもりか? しかし、今のは・・・歌声に反応したかのように思える。まるで歌で【バハムート】に指示を出したかのように。
・・・あの歌声の主はどこだ!? と俺が強く思うと・・・
『【固有能力:天醒者】の効果により【天醒:隠匿突破】が発動しました』
!? また【固有能力】が勝手に発動しやがった!?
相変らず良くわからん力だが、今はせっかく発動した力を利用させてもらう。
【天醒:隠匿突破】の効果で、隠れていた存在を探す・・・いた!
【バハムート】のすぐ近くに・・・って遠い!? 俺たちがいる場所からは数kmは離れてるぞ!? 人影にしか見えねぇ!!
「・・・・・・フフフッ、また会いましょう?」
「! この声は!?」
それだけ離れているにも関わらず、はっきりと女性の声がしたと思ったら、その人影は【バハムート】の影に隠れてしまった。さらに・・・
「!?」
・・・海底に潜っていく【バハムート】が全身を引っ込める、その一瞬・・・【バハムート】の眼と思しき物が俺たちを見据えていた・・・様な気がした。曖昧な言い方なのは【バハムート】の眼がでかすぎて断定できなかったからだ。
こうしてあれほど巨大だった【バハムート】が一瞬にして消えてしまった。人影ももう無い。おそらく【バハムート】と一緒に海底のさらに底へと潜ってしまったのだろう。
後に残ったのはその底へと通じる巨大な穴のみ。
・・・【バハムート】はともかく人影にも逃げられてしまったな。いや、あの人影が【バハムート】を使役していたのだとしたら・・・見逃してもらったというべきか。
「・・・マスター、穴ノ底カラ未知ノエネルギーガ検出サレテイマス」
「・・・なに?」
その穴をのぞきこんでいたカイザーがなにやら不思議な事を報告してきた。俺とアヴァン、アーニャも穴を覗き込む。
「むむ! 海底で光があるとは不思議なのだ・・・何が光っているのだ?」
「なんだか、とっても綺麗なのです」
・・・確かに深く真っ暗なはず穴の底だが・・・光っているように見える。この奥になにかあるのか? 確かめに行くべきか・・・しかし、この先で【バハムート】がまた口を開けて待っていたら・・・嫌だなあ。
ゴゴゴゴゴッ!!
そう思っていた時、再び海が揺れ出した!
「またかよ! 今度はなんだ!?」
「マスター! 穴ガ!?」
見ると穴が・・・いや、穴の周囲がどんどん崩れていき、穴を塞いでいく。
・・・海底地震か? いや、底の方で【バハムート】が何かしたのか? そうなるとこれはこっちに来るなという警告かもな。
どちらにせよ、これだけ深い穴が完全にふさがってしまっては・・・今の俺たちでは掘り起こすのは不可能だろう。
ただ・・・【幻獣界】の海底、そのさらに下にはなにかあるみたいだ。
「・・・揺れが収まったのだ。どうやら、本当にこれで終わりみたいなのだ」
「はにゅー・・・とっても疲れたのです」
「キュイー・・・」
「キュアー・・・」
「キュウー・・・」
どうやらアーニャたちはお疲れのようだ。俺もだけど・・・おっと、良い加減【精霊憑鎧】を解除しないとな。
「だうっ!」
ポンッ!と【王鎧アウルドギア】と分離するアウル。
「お疲れ様、アウル。アーテルもな」
「クルーッ!!」
頑張ってくれた二人をねぎらわないとな。
「ラグマリアもカイザーも良くやってくれたのだ」
「・・・イエ」
「オ役ニ立テタナラ幸イデス」
アヴァンもラグマリアとカイザーをねぎらっている。・・・ラグマリアが心なしか元気がないようだが、何かあったのか?
まあ、とにもかくにも、だ。
「今日はもう疲れたし、ホームに戻ろうぜ」
という俺の提案に皆が賛同し、帰ることに。・・・そういえば【バハムート】に気を取られていて気が付かなかったが・・・そこかしこに他のプレイヤーたちがいるな。まあ、あんだけ巨大な【バハムート】が出てきたら見に来るプレイヤーたちも大勢いるか。
とりあえず海面まで浮上する俺たち。
「アルク!!」
と、海面から顔を出した所で声をかけられた。
「やはり、アルクさんたちでしたか」
「おお! やっぱりっすか! 相変らずすごいっすアニキ!」
「やっぱりって言い方はあれですが・・・ご無事で何よりです」
「・・・アテナ、アルマ? アシュラにアスターも・・・なんでお前達がここにいるんだ?」
そこにはなぜか俺たち以外の【アークガルド】のメンバーが勢ぞろいしていた。
そしてもう一人・・・
「私が連絡しました」
そこには【グリフォン】のヒュームの背に乗ったロゼさんがいた。
(*・ω・)*_ _)ペコリ
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