海蛇の本気、出口への道
===時間経過===>残り時間 53分
・・・クエスト残り時間は50分弱。これを長いと思うか短いと思うかは人それぞれだが・・・俺は短いと思う。
俺は元々こういう脱出クエストに挑む場合、まず真っ先に出口を見つけてから色々やるタイプだ。
まずは出口を見つけた上で、余裕を持って探索や討伐を行い、時間ギリギリになる一歩手前辺りでクリアする。この手の脱出クエストは道中でなにか手に入れてもクエスト自体クリアできないと何も手に入らない場合が多いからな。
おまけの今回のは緊急クエスト・・・再挑戦できるかどうかもわからないのだ。となればなおさらクリアしておきたい所なのである。
要するに何が言いたいかというと・・・余裕がないってことだな。
「キシャーー!!」
ウミヘビ野郎は依然として猛攻を仕掛けてくる。消化液を吐き出し、舌を槍のように突き出し、頭や尻尾を使った攻撃を繰り返す。
それだけならまだしも、さらに厄介な攻撃まで・・・
「うおっ!? 【俊天の疾走】!」
アークカイザーの真下から水柱のような物が向かってくる。当然ごとく、それは水ではない。・・・大量の消化液だ。
あのウミヘビ野郎・・・自ら消化液を吐きかけてくるだけじゃ飽き足らず、この部屋に溜まっていた大量の消化液を操って攻撃してきやがった。
まるで意思を持っているかのように消化液が変幻自在と言わんばかりに襲い掛かってくる。槍のように伸びてきたり、ボールのような球形で飛んできたり、雨のように細かく降り注いできたり・・・当たったらどうなるのかは火を見るより明らかなのでひたすら避ける、避ける、避ける。
【水魔法】の応用なのだろうか? 多分、この能力があるからこのウミヘビ野郎が【バハムート】の胃の番人なんだろうな。
どうやら、ウミヘビ野郎もとうとう本気になったようだ。本気でこちらを潰しにきている。
・・・だが、同時にウミヘビ野郎は焦っているようにも見えなくもない。
残り時間はまだあるにもかかわらず焦るということは・・・おそらく俺達の攻撃で相当ダメージが蓄積されているからだと思う。
つまり・・・もう一押しだと言う事だ!
「・・・カイザー、右脚の修復率は?」
『92%、動作ニ支障ハアリマセン』
「良し! なら一気に終わらせるぞ!【ブレイブシールド】展開!」
俺はアークカイザーの周囲に大量の【ブレイブシールド】を作りだした。ウミヘビの猛攻の前にはこれでも持たないだろうが、これで時間は稼げるはずだ。
「【アサルトウェポンボックス】スタンバイ!!」
さらに俺はアークカイザーに【アサルトウェポンボックス】を装備させる。これはバトルトーナメントでも使用した、アヴァンが用意してくれたとっておきの【兵器】武装だ。
あの時は【グランディスチェイサー】用だったが、今回はアークカイザー用の【アサルトウェポンボックス】を使う。
武装はいたってシンプル。手、足、肩、腰にミサイルコンテナを装備するだけだ。
『ターゲット、ロックオン完了!』
「【グランディスミサイル】! 全弾発射!!」
アークカイザーの全身に装備されたミサイルコンテナがカパッと開き、そこから大量の【グランディスミサイル】が一斉に発射され、ウミヘビ野郎に向かっていく。
ドドドドドドドォォォォォン!!!
「キシャーーーー!!??」
ウミヘビ野郎が巨体な分、全身にくまなくミサイルが着弾していく。しかもトーナメントの時に使ったマイクロミサイルではなく、普通サイズのミサイルである。・・・普通サイズってなんだ? というツッコミは無しで。
やはりミサイルは強力だな。惜しむべきは一発勝負の使い捨てである事なんだが・・・ミサイルなんだから当たり前か。
大量のミサイルにより発生した爆煙が、あの巨大なウミヘビの全身を包み込んだ。
・・・やったか? いや、かすかだが爆煙の中にウミヘビのシルエットが見える。
しぶとい奴だな。
と、そこでアヴァンの声が聞こえてきた。
出口へ通じる道が見つかった、と。
===視点切替===>アヴァン
「マスター、計測ガ終ワリマシタ」
「おお! ラグマリア、どうだったのだ?」
全力で出口への道を探している所で、計測を行っていたラグマリアに声をかけられたのだ。
「空気ガ流レ出テイク穴が5箇所アリマシタ。残念ナガラ本機ノセンサーデハ酸素ト二酸化酸素ノ区別ハデキマセンノデ、1箇所ニ絞リ込ム事ハデキマセンデシタ」
むぅ・・・さすがに優秀なアンドロイドである【ヴァルマキナ】でも大気成分の分析までは出来ないのだ。しかし、これで大分絞りこめたはずなのだ。
あとはブランたちなのだが・・・
「キィイー!」
「キュアー!」
「ブランちゃんたちも見つけたみたいなのです!」
アーニャに報告を行っていたであろうブランとノワールは一つの穴を指差していたのだ。それは天井近くにある何の変哲もない穴の一つ・・・しかし、ブランもノワールも同じ穴を指しているのだ。ラグマリアが報告してきた穴の一つとも一致するし、これは期待できるのだ。
さっそく我々もその穴の前まで行ってみるのだ。
すると、そこでテールも騒ぎだしたのだ。
「キュウ! キュウー!!」
「テールちゃんも、強い海のにおいがすると言っているのです!!」
おお、テールまでとはますます期待できるのだ。
確か、この穴にも・・・うむ、【ガタック君】の21号機が潜っているのだ。モニターの映像を21号機のものだけに絞るのだ。
映像には・・・やはり【半魚人】たちが写しだされているのだ。今の所、この穴は出口へ繋がっている条件を全て満たしているのだ。
これは・・・確定なのだ? できれば決定的な決め手が何か映し出されれば良いのだが・・・む?
・・・良く見ると赤と白の【半魚人】たちの中に・・・暗くてわかりにくいのだが青っぽい【半魚人】が混じっているのだ?
映像越しに【看破】してみるのだ。
【バハムート・ブルーマーマン Lv.53】
体内の海水を体外へ運ぶ役割を持つモンスター。
・・・!!
「み、見つけたのだ! 決定的な手がかりなのだ!!」
「これは間違いないのです!!」
思わず我とアーニャでハイタッチをしてしまったのだ。
さっそくウミヘビと戦闘中のアルクたちに報告・・・調査に夢中で気づかなかったのだが、爆煙がウミヘビの巨体を包み込んでいるのだ。しかし、これは絶好の好機なのだ。
「アルク! 出口への道を見つけたのだ! ほぼ確定的なのだ!!」
『でかしたぞ! アヴァンたちで先に出口に向かってくれ! 俺はコイツが後を追ってこれないようにしてから、追いかける』
むむ! アルクはどうやら挟み撃ちにされることを警戒しているようなのだ。あの巨体では穴に入れはしないと思うのだが・・・いや、油断は禁物なのだ。
「わかったのだ! 先に言って露ばらいをしておくのだ!!」
『頼んだぜ!』
ここは言い争っているより、迅速に行動して後からアルクが追いかけて来やすいようにするべきなのだ。この穴の先には赤、白、そして青の【半魚人】がいるのは確定なのだ。先に行って片付けておくのだ。
「行くのだ! 皆!!」
「アルクさん! 必ず追いかけてきてくださいなのです!!」
『おう!!』
こうして我らは先に出口へ繋がっているであろう穴の先へと向かっていったのだ。
・・・この時、我々は出口を見つけたと思って喜び、大事な事を忘れていたのだ。
そう・・・我々は元々、重要な器官を守る役割のモンスターがいると予想していたことを。
(*・ω・)*_ _)ペコリ
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