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修羅がごとく

===時間経過===>30分後


「これでラスト! っと!!」


【豪剣アディオン】を振るい、最後に残ったカエルモンスターを真っ二つにする。


30分経過した時点で七輪から出てくる煙が消え、モンスターの集結も収まっていた。


戦闘終了である。・・・え? 戦闘描写? ただひたすら剣を振り回し、銃をぶっ放し、刀でぶった斬り、槍でぶっ刺し、【魔法】で駆逐しまくっただけだから、わざわざ伝えるようなことは無いよ? というか途中から流れ作業のように無心になって狩りまくってからあんまり覚えてないんだよね。


「カイザー、討伐数は?」


上空に退避していたカイザーに声をかける。結局3人の出番は無く、俺一人で全部倒してしまった。見ているだけだった3人はきっと退屈していただろう。


「637体デス」


・・・聞いておいてなんだが、ちゃんと正確に数えていたんだな、カイザー。さすがうちのクラン唯一の真面目ロボット。・・・ラグマリア? あいつは毒舌アンドロイドだ。


まあ、それはそれとして・・・


「30分の成果としては上場なんだが・・・1体倒すのに2、3秒かかってると考えると・・・まだまだ行けるはずだな」


・・・なぜかカイザーが俺の言葉を聞いてどん引きしているような気がするが気のせいだろう。アーテルやアウルは良くやったって感じで俺の頭を撫でてくれるし。・・・いつもと立場が逆だな。


確かに数だけ聞けば膨大に思えるかもしれないが、相手はLv.10前後・・・はっきり言ってそんなに強くは無い。比べて俺の方は種族レベルやクラスがLv.1だったとしても【転生】の効果でステータスは最初からある程度高かったし、使用している武器は高品質の物ばかりだ。


ぶっちゃけワンパン無双状態だったわけで・・・1秒につき1体ぐらいの割り合いで倒せるかと思っていた。多分、大規模な【魔法】を使えるアルマだったら、もっと数を稼げたかもしれない。・・・もっとも絶え間なく出てくるモンスター相手にMPが持つのか、という別の問題もあるが。


やはり、【転生】前よりステータスが下がっているせいか、違和感があるな。剣の振り、体のキレ、反応速度などなど・・・ワンテンポ遅れているように感じる。言い訳のつもりは無いが・・・ちょっとその違和感に戸惑ってしまうな。


そういう意味ではこういう五感体験型のゲームでのパワーレベリングってこういうリスクがあるのかもな。1レベルずつレベルアップしていく分には徐々に慣れていくんだろうが・・・一気にレベルが変わると急激な身体能力の変化に精神がついてこれていないみたいだ。


まあ、それも多少時間はかかっても慣らしていけば問題なくなるだろう。人間って意外に慣れる生き物だからな。


それはそれとして・・・【アトラクト素材】の効果は30分か。これが長いと思うか短いと思うかはその人次第だと思うが・・・一般的に人間が深く集中していられる時間は確か15分くらいだっけ? 生か死かの連続バトルをしている事を考えると十分長い時間だろう。実際、この30分間はほんの一瞬も休まる時間は無かった。相手が弱かったとはいえ結構きつい。


・・・このゲームがドロップ品を残して死体が消えていくシステムで良かったな。死体が残るシステムだったらこの辺り一帯、血の海と死体の山でとんでもない事になっていただろう。控えめに言って大惨事である。・・・ああ、だからカイザーがドン引きしてたのか。


「苦難上等、好ムモノナリ修羅ノ道、トイウヤツデスネ」


「・・・カイザー、今度は誰から入れ知恵された?」


いや、某有名な剣豪さんの名セリフだが、こんな物騒な言葉を教える奴なんて一人しかいないよな。・・・そういえばアシュラって名前も・・・偶然か?(*偶然です)


まあ、苦難上等で試してみたのは確かだが・・・集中力の事を考えると【アトラクト素材】の連続使用はまずいな。いくら俺でも何時間も集中し続けていればパフォーマンスが落ちるだろうし、ミス連発すること間違いなしだ。


「エリア0に戻って一旦、休憩するか。それが終わったらエリア2で試してみよう」


「・・・マダ、続ケルノデスネ」


当然である。


今の俺のレベルは【戦人】がLv.12、【勇者】がLv.2の状態だ。30分での成果となれば上出来かもしれんが、これだけ数をこなした割にはレベルの上がり幅が少ないだろう。やはり、短時間で効率よくレベルアップを図るのならもっと高レベルの敵を狙わないとな。


ただし、敵が強すぎても駄目だ。仮に【転生】前のカンスト状態だった俺がエリア7で同じ事を試しても途中で力尽きていただろう。今の自分のレベルと、戦い抜ける相手のレベルを見極めないと効率の良いレベリングとはいえない。それを試す機会でもあるわけだ。


今の時点で試しておけば、再び【転生】したときにも短時間でレベルアップを図れるようになるしな。


無論、無理をするつもりは無い。だからこそ、安全なエリア0に戻って休息を取ろうというわけだしな。


===移動===>【幻獣界】エリア0


「ほ~ら、お前達、アーニャ特製のお弁当だぞ~」


「クルーッ!!」


「だうっ!!」


「・・・サスガ、マスター。準備ガ良イデスネ」


「備えあれば憂いなしってやつだな」


===時間経過===>20分後


「さて、そろそろエリア2へ行くか」


「モウ大丈夫ナノデスカ?」


「ああ。あまり休憩が長くなると緊張感が解けるからな。程よく休むぐらいが丁度良い」


===移動===>【幻獣界】エリア2


アーテルの背に乗ってあっという間に到着。いやー、アーテルのおかげで広大なエリア2の大地でも無人の場所を見つけるのが早くて助かる助かる。


さっそく七輪を設置して【スメルアトラクトトレントの木片】と【スメルアトラクトブルの肉】に火をつけて、と・・・モクモクと大量の煙が立ち込めていく。


今回もアーテルたちには見学してもらい、俺一人で戦う形式だ。


さっそくモンスターたちが近寄ってきた。相手はLv.20前後・・・今回はどうかな?


さあ、第二ラウンド開始だ!


===時間経過===>30分後


「せいやー!!」


ザクッと巨大なイノシシのようなモンスターを倒して終了っと。


「カイザー、討伐数は?」


「548体デス」


・・・うーん、やっぱり敵のレベルが上がったせいか、討伐数が落ちてるな。当たり前といえば当たり前か・・・レベルが上がって苦戦しているのは俺自身が一番良くわかってるし。


今の俺のレベルは・・・【戦人】がLv.21、【勇者】がLv.3か。


2時間も経たずにここまでレベルアップできた事は素直にすごい事だと思うんだが、レベルの上がり幅が落ちてるな。


かと言っていきなり高レベルのモンスター相手に同じ事やっても、こっちが詰むのは目に見えてるし・・・まあ、そもそもかつて無いスピードでレベルアップしているんだ。【アトラクト素材】さまさまだな。


・・・とは言っても【アトラクト素材】はあともう1セットしかないんだが。


【アトラクトモンスター】自体、遭遇するのが珍しいモンスターだけにその素材も結構な高級品だ。今回はマーケットで売りに出されていた物を購入して使ったが、結構な出費だった。


当然、そう何度も同じ事は出来ないわけで・・・俺が効率に拘った理由はそこにある。


さて、残り1セットだが・・・このままエリア3に進んで使うか、もう一度このエリア2で使うか悩みどころだな。順当に行けばエリア3で使うべきなのだが・・・エリア2でも結構苦戦したわけだし、このままエリア3に進んでも大丈夫なのか、という疑問もある。


なんて俺が悩んでいると・・・


「マスター・・・ソモソモ一人デノ戦闘ニ拘ル必要ハ、アマリ無イノデハ?」


「・・・」


・・・カイザーが根本的な所を突っ込んできた。


確かに3人には、危ない時は助けてくれとお願いしてあるが・・・基本的には俺だけのレベリングが目的で、だからこそ俺一人が戦っていたわけだが・・・敵の数を考えると、この狩り方法はソロ向けじゃなくパーティ向け、もしくはレイド向けの方法なのかもしれない。


万が一、途中で死に戻ったら痛いロスだし、せっかく使った【アトラクト素材】も無駄になるからな。カイザーたちの手を借りるのも手かもしれない。


(*・ω・)*_ _)ペコリ


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