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レベリングのトレンド

===移動===>【幻獣界】エリア1


はい、というわけでやってまいりました【幻獣界】、モンスターたちがひしめき合うとっても危険な場所でございます。もっとも俺からしたらレベリングのための絶好な狩場でしかないのだが。


本日の俺のお供はアーテル、アウル、カイザーの三人のみでございます。ちょっと寂しい構成かもしれないが、元々の目的が俺のレベリングなので経験値の分担を考えると人数は少ない方が良いのだ。アテナとアルマもその考えの下、それぞれどこかでレベリングを行っているはず。


・・・本当なら俺一人で来ても良かったのだが・・・万が一の護衛としてアーテルたちにも来てもらった。決してアーテルたちがお留守番を嫌がったとか、俺一人だと寂しいからとかそんなんじゃないからな。


まあ、とは言っても、ここはエリア1。出現するモンスターもLv.10前後だけのはずだし、万が一なんてあるのかって話なのだが・・・レアモンエリアみたいな例もあるから割とありえたりするんだよんなぁ。


まあ、気にしすぎても仕方が無いし、さっそく始めるとしよう。


ちなみに俺たちが今いるのは草原のど真ん中だ。周囲に遮蔽物が無いため見晴らしが良く、モンスターやプレイヤーが近寄ってきても一目瞭然でわかる・・・そんな場所だ。


と言ってもこの場所には俺たち以外は誰もいない。モンスターが数匹いたがアーテルがあっという間に倒してしまった。プレイヤーの姿も無い、いわゆる無人地帯という奴だな。


当然、こんな無人地帯を作ったのにはわけがある。・・・それはずばり、アーニャが用意してくれたとっておきを使うためだ。これは下手な場所で使うと他のプレイヤーを巻き込んでしまう大変危険な()()なのだ。


では早速準備を始めて行こう。


ここに取り出したるは~、七輪でございま~す。


そこに【スメルアトラクトトレントの木片】を投入、火をつけて網をのっけま~す。


うちわでパタパタ扇いで程よい火の大きさになったら~、網の上に【スメルアトラクトブルの肉】をのっけま~す。


そしてさらにうちわでパタパタ。う~ん、すごい煙だな。それに周囲に漂う良い匂い・・・これは効きそうですなぁ。


「・・・ナニヲシテイルノデス? マスター?」


俺の一連の行動に疑問を持ったらしいカイザーが、「コイツ、こんな草原のど真ん中でなにやってんだ?」って目で見られた。ロボットであるカイザーの目部分は人間のように変化しないはずなんだけどね・・・目は口ほどに物を言うってロボットにも適応されるんだな。・・・いや、俺の被害妄想かもしれないけどな。


おっと、ちゃんとカイザーにも説明してやらないと俺が痛い奴だと思われてしまうな。


「これはな? 【アトラクトモンスター】と呼ばれているモンスターのドロップ品・・・【アトラクト素材】ってみんな呼んでるみたいだな。それを使ったちょっとした仕掛けなんだ」


「【アトラクトモンスター】・・・?」


アトラクトというのは引きつけるという意味だ。つまり・・・


「【アトラクトモンスター】っていうのは他のモンスターを引きつける性質を持った特殊なモンスターでな。その中に【スメルアトラクトモンスター】っていうのがいてな。コイツは良い匂いを撒き散らして他のモンスターをひたすら引き寄せる厄介なモンスターなんだ」


他にも見た目が派手な【ルックアトラクトモンスター】、音でモンスターを引き寄せる【サウンドアトラクトモンスター】なんてのもいたりする。


その【アトラクトモンスター】だが強さは中級レベル程度で、一定レベルのプレイヤーならそう苦も無く倒せるんだが、問題なのは様々なモンスターを引き寄せる厄介な性質だ。初級レベルの雑魚モンスターをたくさん引き寄せる事もあれば、明らかな上級レベルのモンスターを引き寄せることもあったりして運が悪ければ大変な事になってしまうのだ。


そのため、【アトラクトモンスター】を見つけたら速攻で倒すか逃げるかのどちらか選べ、倒し遅れても逃げ遅れても大変な事になる、というのがほとんどのプレイヤーの共通認識だ。


しかし、一部の上級プレイヤーの間ではむしろその性質を利用して引き寄せられたモンスターを延々と倒し続ける、いわゆる無限湧きに近い状態でひたすら戦闘を繰り返し、ドロップ品と経験値を大量に獲得する強者がいたりするんだとか。ハイリスクハイリターンな荒稼ぎである。


もっとも、この方法は強さも勿論だが、運要素も強い。そもそも【アトラクトモンスター】に遭遇するかどうかの問題もあるし、場所によっては延々と雑魚退治ばかりで効率がよくない場合もある。


そこで注目されたのが【アトラクトモンスター】が落とす【アトラクト素材】だ。実はこの素材にもモンスターを引きつける効果があり、これを使えば好きな場所で擬似無限湧きを引き起こすことが可能となることが発見されたのだ。


今や一部の上級者プレイヤーの間では【アトラクト素材】を使ったモンスター狩りがトレンドになっているらしい。・・・なんとも血なまぐさいトレンドである。なお、ソースはラングである。


この【アトラクト素材】は上手く加工するとより強い効果と持続時間を増やすことができるのだそうだ。なのでうちのクランの中で一番手先が器用なアーニャ・・・最近は【料理】スキルだけではなく【細工】スキルも取得したらしい・・・に頼んで加工してもらっていたのだ。


更に・・・


「どうも、【アトラクト素材】同士を組み合わせて使用すると、広範囲かつ強力な効果を発揮することがつい最近発見されたんだそうだ。それが今やってる()()がそうだな。」


通常はただ燃やして煙を出すだけの【スメルアトラクトトレントの木片】と、同じく火であぶって煙を出すだけの【スメルアトラクトブルの肉】を同時使用することで、一気に効果が上がるというのだ。


実際にこの組み合わせを試してみたプレイヤーの動画が公開されていたので効果の程は間違いない。

・・・なお、そのプレイヤーはモンスターの軍勢の猛攻に耐え切れず蹂躙され、死に戻っていたが。身をもって有用性と危険性をアピールしたということで結構人気の動画になっていたりする。


ちなみに肝心の匂いなのだが、プレイヤーや【眷属】がかいでみても確かに香ばしい良い匂いに感じられるのだが、それだけだ。アーテルやアウルが匂いに釣られててんやわんやなんてことにはならないから安心して欲しい。


ただ、敵モンスターにはどうしようも無く惹きつけられる何かがあるようで・・・


「・・・来たみたいだな」


「多数ノ敵反応ヲ検知」


俺たち以外、無人だった平原。しかし、今は・・・全周囲から大量のモンスターたちがやってくるのが見える。その数は10や20ではきかないだろう。・・・この場に初心者プレイヤーとかが居たら大変な事になっていただろうな。


【アトラクト素材】の弱点は、あくまでモンスターを引き寄せるだけで使用者にターゲットを集中させるとかではない。なので、この場に他のプレイヤーがいたら当然そいつらも襲われていたはずである。


俺が誰もいない場所を狙ってやって来たのもそういう理由がある。エリア1・・・いや【幻獣界】が広大で助かったな。これで初心者プレイヤーにトラウマ植えつけたりしていたら目も当てられない所だった。


さて・・・そろそろ行くか。


「アーテル、アウル、カイザー・・・上空で待機していてくれ」


これはあくまで俺のレベリングだ。既にレベルがカンストしているアーテルたちがわざわざ戦う必要は無い。なので三人には見学にまわってもらうことにしたのだ。・・・かなり不服そうだったが。


三人が退避した事を確認し、戦闘準備に入る。


敵の数は膨大、推定平均レベルは10。


対してこっちは【戦人】の種族Lv.1、【勇者】クラスもLv.1・・・普通に考えれば圧倒的に不利なのだが・・・今の俺は【転生】した状態。いわば強くてニューゲーム状態なのだ!


その力、試させてもらうとしよう・・・出し惜しみは無しだ。


俺は右手に【豪剣アディオン】を、左手に【グランディスマグナム】を装備。


「【グランディスマグナム】バスターモード・・・シュート!!」


さあ・・・狩りの時間だ。


(*・ω・)*_ _)ペコリ


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