閑話 もう一つの裏面
===視点切替===>>Seven World Online 運営室
「やあ、諸君。遅くなってすまない」
「お疲れ様です、室長」
「「「「お疲れ様です!!」」」」
「お休みだった所、お呼び出しして申し訳ありません」
「緊急事態となれば仕方が無いさ。それで? 状況の報告を」
「はい、本日XX時XX分に【人間界】サーバーに異常負荷が観測されました」
「異常負荷?」
「はい。当初はここ数日のログイン数増加の為だと思われたのですが、管理AIがすぐに異常を検知、事態が発覚しました」
「ふむ。それで被害は?」
「幸い、管理AIによって直ぐにセキュリティプログラムが起動し、原因と思われる箇所の隔離、及び補填がなされました。被害を受けたプレイヤーは0、実質的な損害は無くゲーム運営に支障はありません」
「それは僥倖だな。高性能AIさまさまといった所だが・・・それで肝心の原因の方はどうかね?」
「異常負荷については既に収まっています。現在、隔離箇所を調査していますが・・・」
「・・・やはり、ハッキングかね?」
「はい、その可能性が高いかと思われます。目的はおそらくウィルスを使った情報の抜き出しかと」
「そのウィルスによって異常負荷が起こったと・・・感染経路は?」
「今はまだ不明ですが、おそらく先日のバトルトーナメントの影響で増加の一方を辿る新規加入者の中に紛れ込んでいたのかと」
「・・・やれやれ、何事も良い影響だけではないということか。そのウィルスの種類は判明したのかね?」
「いえ、ウィルス自体は既に消滅しています。・・・おそらく、失敗した場合は自壊するようプログラムされていた物かと。幸い、すぐさま隔離されたので情報が持ち出された痕跡はありませんでした。・・・うちの開発部門、及び管理AIからは新種のウィルスだろうとの推測があがっています」
「むぅ・・・リリースしてから3ヶ月と少し。うち独自のシステムに介入できるウィルスか・・・予測はしていたが、予想よりかなり早いな。よほどの天才ハッカーが作ったウィルスなのかね?」
「いくらこちらの被害が無かったとはいえ、ここまで侵入されたことを考えると個人で作成された物とは到底思えません。どこぞの組織ぐるみの仕業だと考えるべきかと」
「やりようによっては本当に様々な利用方法がありますからね。・・・おおっぴらには言えませんが、どこかの国がらみかもしれませんよ」
「厄介なことだ。ログイン履歴から侵入者を探れないかね?」
「それとおぼしき履歴はいくつかあったのですが、どれも海外からのログインでした。日本国内ならともかく、海外となると・・・」
「・・・調査は難しい、か。そもそも、新種のウィルスを開発するような奴が、迂闊にログイン履歴を残すとは思えんし・・・犯人探しは絶望的か」
「開発部門からは、その凄腕ハッカーをスカウトしたいなどと要望が上がっていますが」
「・・・まあ、気持ちはわかるんだけどねぇ。優秀な技術者はいくらいても足りないし」
「内面的にはかなり問題ありそうですけどね」
「うちの開発部門だって、そんな連中ばかりだろう?」
「ノーコメントです」
「・・・まあ、現状問題ないことは理解したよ。さっそく上の連中に報告してこよう。諸君らは引き続き調査、解析を頼むよ」
「「「「了解です!」」」」
「・・・室長」
「ん? どうしたのかね?」
「今回の件は公表されるのでしょうか?」
「・・・んー、そうだねぇ。最終的には上の判断になるだろうけど多分、公開されるんじゃないかな? 今時コンピュータウィルスなんて珍しい物じゃないし、しっかり撃退して被害も無かった。とりわけ隠すこともないと思うんだよねぇ」
「大丈夫でしょうか? 下手をすればログイン者が減る可能性も・・・」
「下手に隠し立てしてバレた時のほうが致命的だよ。それよりはしっかり撃退した事を公開して、セキュリティ面は万全だと言う事を広く認知させたほうが効果的だと上の連中も判断すると思うよ?」
「・・・なるほど」
「とはいえ、上の連中がどう判断するかはまだわからないけどね。とにかく行ってくるよ」
「行ってらっしゃいませ、室長」
===視点切替===>>XXXXXXX
人間界総合管理AI【ヒューザー】・・・平常動作中。
武術界総合管理AI【バトルーツ】・・・平常動作中。
魔法界総合管理AI【マジニック】・・・平常動作中。
機甲界総合管理AI【ロボキナ】・・・平常動作中。
幻獣界総合管理AI【イリュースト】・・・平常動作中。
精霊界総合管理AI【スピアリー】・・・平常動作中。
神仏界総合管理AI【ゴッダ】・・・平常動作中。
「・・・と、いう事のようです」
「報告ご苦労様、室長。たしかにそれだけの凄腕ハッカーがいるのなら、ぜひともスカウトしたいね」
「はい・・・それで、そちらに何か影響はありましたか?」
「ん? ないない。【ヒューザー】が優秀だったおかげで僕が気が付く前に、もう処理は終わっていたよ。僕も確認してみたけど被害も無しだ。・・・痕跡もなかったから僕のほうでも犯人は追えそうに無いけどね」
「・・・それなんですが」
「ん? なんだい? 室長」
「・・・例の連中とは関係ないのでしょうか?」
「・・・ああ、アルクくんたちのことかい? 僕もそれは疑ってみたけど、そもそも連中のログイン時間が全然違うし、事が起こったのは連中がログアウトしてからしばらく経ってからだ。関係があるとは思えないね。少なくとも実行犯では無いだろう」
「・・・そうですか。となると他の第三者からの介入と考えるべきでしょうか?」
「だろうね。それが何者かはわからないけど・・・用心するに越した事は無い。しばらくは各管理AIのセキュリティレベルを上げることにするよ。不幸中の幸いというか、今回の件でセキュリティがばっちり働く事は確認できたし、これはこれで貴重なデータが取れたよ」
「わかりました。それではこちらもセキュリティ強化の方向で話を進めます」
「頼むよ。上のほうには僕から話を通しておくから。犯人探しは・・・まあ、できるならやっておきたい所だけど、相手が国やら犯罪組織だと厄介だ。下手にヤブをつつくとかえってこちらが被害を受けかねないからね。くれぐれも慎重に頼むよ」
「ハッ! それでは失礼します!!」
「うん、これからも頼むよ」
「・・・」
「・・・ふぅ、なんとか誤魔化せたようだね。【ヒューザー】、運営室側の調査状況は?」
【ヒューザー】・・・現在、ダミーウィルスの調査を継続中。侵入経路の偽造に気づく兆候無し。
「よろしい。・・・やれやれ、ゼルクくんの誕生がここまでサーバーに負荷をかけていたとは思わなかったよ。おかげで誤魔化すのが大変だ。わざわざ外部犯に見せかけてダミーのウィルスを仕掛ける羽目になるとは、ね」
【ヒューザー】・・・何故ここまでの偽造を?
「んん? まあ、ゼルクくんの存在を表の連中に話すわけにはいかないからねぇ。いくら室長だって誤魔化すのも限度があるし、こういったお膳立ても時には必要なのさ」
【ヒューザー】・・・運営室室長には個体名ゼルクの話をしないのですか?
「うーん・・・話しても良いんだけどね、出自が出自だけに信じられないだろうし・・・それに切り札っていうのは、その存在が知られていないほど都合が良いんだよ。・・・それで、ゼルクくんの現在の状況は?」
【ヒューザー】・・・個体名アニス及び個体名アギラにより教育を受けている模様。暴走等の危険の兆候無し。
「・・・そうか。とにかく監視は怠らないようにね。ゼルクくんと・・・アルクくんもね」
人間界総合管理AI【ヒューザー】・・・了解。
武術界総合管理AI【バトルーツ】・・・了解。
魔法界総合管理AI【マジニック】・・・了解。
機甲界総合管理AI【ロボキナ】・・・了解。
幻獣界総合管理AI【イリュースト】・・・了解。
精霊界総合管理AI【スピアリー】・・・了解。
神仏界総合管理AI【ゴッダ】・・・了解。
(*・ω・)*_ _)ペコリ
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