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転生と誕生

===精神移動===>とある隠しエリア


・・・ハッ!?


なんだ? 急に目の前が暗くなったと思ったら・・・急に視界が広がった。


また気絶したのかと思ったが、どうも違うようだ。なんというか・・・視点が切り替わったような感じ? テレビを凝視していたら急にチャンネルを切り替えられたみたいな?


とにかく急に視界が変わって目の前の光景が・・・先ほどまで何も無い空間で俺自身を確認していたはずなのだが・・・今、目の前にある光景は・・・まるで違う。


俺の目の前には・・・大小様々な箱が乱雑に積み上げられていた。木箱、鉄箱、宝箱もあるな。さらにここは壁も天井もある。どこか部屋・・・いや、倉庫の中といった所か。少なくとも俺の見覚えのある場所ではない。


一体全体どうして俺はこんな所に?


何かのイベントか? ・・・いや、直前に【固有(オリジナル)能力(アビリティ)】が発動していたみたいだし・・・だが、こんな状況は初めてだ。


・・・待っていても変化は無いようだし、行動するか。さしあたっては・・・この倉庫からの脱出か? それとも箱の中身を確かめてみるか?


なんにせよ、行動・・・と思った所で違和感に気が付く。


・・・足が動かない。いや、動かないというより、感覚が・・・


俺は急いで自分の体を確認する。


・・・手、足、体・・・うん、どこにも()()な。


まるで目だけがその場にあるかのごとく、視界をキョロキョロ動かす事はできるが、その場から動く事も、何かを握る事も出来ない。・・・だって無いから。


・・・ふぎゃあああああっ!?


おいおいおいおいおいっ!?


どーなってんだっ!?


って声に出して叫んだつもりなのに声が出てねぇ!? 口がないからか!?


落ち着け! 落ち着くんだ俺!!


って落ち着けるかぁ!!


と、かつて無いほどパニックになっていると・・・


『【固有(オリジナル)能力(アビリティ):天醒者】の効果により【天醒:明鏡止水】が発動しました』


・・・あ、落ち着いた。


それどころか、思考がクリアになっていく・・・


今の俺の状態は体感的に【遠視】スキルを使ったときの状態に近いな。【遠視】スキルは遠距離に視界を飛ばすスキルなのだが、そのせいで逆に近距離・・・自分の体や周辺が見えなくなる。さらに【遠視】中は体を動かす事もできない。今の俺の状況とほとんど合致している。


つまり俺は今、どこか別の場所に視界だけ飛ばして見ている状態ってわけだ。


・・・パニック状態から、ここまで冷静に解析できるようになるとは【固有(オリジナル)能力(アビリティ)】ってすごいなぁ。・・・まあ、この状態に陥った原因も【固有(オリジナル)能力(アビリティ)】にあるんだろうけど。


とにかく問題は何故こんな事になったかと、どうすれば元に戻れるかだ。


トリガーは・・・【転生】か? しかし、なんでこんな倉庫みたいな所に、しかも視界だけが飛ばされるのか意味がわからない。・・・もしや、今後俺が【転生】する度にこんな事が起こるのか? 勘弁して欲しい。


・・・理由も原因も分かりそうにないな。となると現状、最優先なのは元に戻る方法だろう。


試しに戻れ、戻れと念じてみるが一向に変化が無い。・・・俺の能力でこうなったはずなのに、俺の言う事を聞かないとは一体、どういうこと? 理不尽である。


そもそも、ここはどこなんだ? 俺にはこんな場所に見覚えも無いし、心当たりも無い。なんだってこんな所に・・・と、倉庫内を見渡している中で気がついた。


丁度、俺の視界の中、正面に置かれていた小さな箱。


他の箱は知らないが、その小箱にだけは見覚えがある。


・・・間違いない。あの箱は・・・アニスの奴が俺に植え付けようとしていた【ガティアスコア】が収められていた箱だ。


確か・・・結局は俺に植え付けることができずにアニスたちが回収していったはずだ。


となると、この中には【ガティアスコア】が? いや、それ以上にこの箱がここにあるということは・・・もしかしてここはアニスたちのアジト・・・なのか?


と、気づいた、その瞬間。


『【固有(オリジナル)能力(アビリティ):天醒者】の効果により【天醒:錬体新生】が発動しました』


またしても【固有(オリジナル)能力(アビリティ)】が勝手に発動した。


またかよ!? 今度はなんだ!? と俺は身構える。


しかし、異変が起こったのは俺ではなかった。


ドゴッ!!


突如として目の前にあった小箱が弾けとび、中に入っていたであろう真っ黒い【ガティアスコア】が飛び出してきた。


ドクンッ! ドクンッ! ドクンッ!!


まるで死んでいるかのようだった【ガティアスコア】が胎動をはじめ、不気味な輝きを放つ。その様を俺は唖然とした様子(口は無いが)で見ていた。


【ガティアスコア】が放つ圧力のせいなのか、倉庫がミシミシと悲鳴を上げ始め、さらに倉庫内にあった箱の一つが崩れ、中身が飛び出した。


その中身を見た俺は驚愕した。それは一見するとただの短剣に見えた。ただし【ガティアスコア】がくっ付いている。つまり、【()()()()()()()()()()()()()()()()ということだ。


もしかして、ここにある箱の中身は全て・・・そう考えた所で、更なる変化が起こった。


まるで引力に引っ張られるがごとく、短剣が胎動していた方の【ガティアスコア】の元へ飛んでいき・・・そのまま()()()()()()


合体? 吸収? どちらなのかわからないが、【ガティアス】が取り憑いた短剣を取り込んだ【ガティアスコア】は一回り大きくなり、より大きく胎動し始める。


さらに圧力が増し、そこら中の箱が壊れ始める。そして、飛び出す中身は・・・やはりというか、【ガティアス】が取り憑いた武器・防具の数々。中には干からびたミイラのような物まである。


そしてそれらも全て、【ガティアスコア】へと飲み込まれていく。


・・・まずい。


何が起こっているのかまるでわからないが、俺の本能がこのままではまずいと告げている。


今、目の前の状況も、この場に俺がいることも、だ。


だが・・・くそっ! 今の俺は文字通り手も足も出ない状態だ。


ただ、見ているだけしか・・・


「・・・ジ・・・ジジ・・・」


・・・え?


何か聞こえる? ノイズが混じったようなはっきりとしない音だが・・・一体どこから?


「・・・ギギ・・・ギギギ・・・」


これは・・・目の前の【ガティアスコア】から?


「・・・キ・・・エ・・・ロ・・・」


・・・!?


今、確かに【ガティアスコア】から声が!?


しかも今の、俺に言ってる!?


何がどうなってんだ?


『プレイヤー名アルクの【転生】が完了しました』


・・・え?


突然に場違いなメッセージが聞こえたかと思うと、再び俺の意識は闇に包まれた。

(*・ω・)*_ _)ペコリ


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