転生の間
「【転生】は一人ずつ、行われます。最初はどなたから行いますか?」
どうやら【転生】は一人ずつしかできないそうだ。残りは見学だと。・・・見学、できるんだ? というか、今更だが【転生】ってどんな感じで行われるんだ? そういえば、【転生】の具体的な手順までは調べてなかったな。
「はいはいはい! まずは私から行くわ!!」
なんて悩んでいると、俺より先にアテナが立候補しだした。・・・クッ、ぬかった・・・俺としたことトップバッターを奪われるとは。・・・まあ、レディーファーストということで譲ってやろう。
「では、その次は私で」
・・・なん・・・だと・・・二番手までアルマに奪われた、だと? ごちゃごちゃ考えている間に先を越されるとは。
俺が最後か・・・おい、なんだよ二人とも、その目は。・・・なんでそんな最後は任せた! みたいな目をしてるんだよ。俺をオチ担当にする気か!?
「わかりました。ではさっそく【転生の間】へ参りましょう」
え、ちょっと待って。せめてジャンケンとかで・・・待って、置いてかないでくれ。
「あ、その【進化の宝玉】を忘れないでお持ちください」
あ、これも持っていくのね。わかりました。
===移動===>【転生の間】
レリエルに連れられてきたのは、非常に広大な空間だった。
クリスタルのような半透明、しかし淡く光る床と壁に覆われた神々しい部屋の中を歩いていく。・・・外見で見た【転生の神殿】の外見以上に歩いている気がするが・・・気のせいだろう。
なんせ、この部屋・・・天井が無いからな。正確にはキラキラ光っていて天井が見えない、というべきか。まるで星空のようだが・・・どうなってんだろうか?
・・・いや、今更、理屈で考えても無駄だな。なんせここは【神仏界】、どこもかしこも神秘空間ドンとこいな世界だからな。
そのだだっ広い部屋の中を歩いていくと、その中心の床には巨大な魔方陣のような物が描かれている。
「ここが【転生の間】、そしてこの魔方陣が【転生】に必要な物・・・【転生陣】です」
ふむふむ、なるほど・・・確かに神聖というか厳かな空気が流れているというか・・・ゴクリ、と誰からの息をのむ音が聞こえた。なんか緊張感あるよね。
「クルー!」「がお!」「ピュイー!」「だうー!」
・・・こら、アーテル、アウル、はしゃいでないで静かにしなさい。レオーネ、フィオレも・・・あんまり緊張感なかったわ。あ、カイザーがいさめてくれた。いつもすまんね。
「それではさっそく【転生】を行いましょう。最初はアテナさんでしたね。貴方が【転生】したい種族は何ですか?」
レリエルがアテナに問いかける。アテナは覚悟を決めたような顔で答える。
「・・・【力天使】です」
どうやらアテナは【力天使】になるらしい。
「【主天使】・・・【天使】の階級の中でも中位の【天使】種族ですね。様々な技能を持ち、仲間を助ける力を持つ優秀な【天使】です」
アテナの答えを聞いたレリエルが律儀に解説してくれる。多分、こういう種族ですけど間違いないですよね? という最終確認なんだろう。【転生】は回数制限がある、取り返しのつかないシステムだからな。
まあ、アテナは自信を持ってうなずいているから、間違いはないだろう。それにしても、なるほどな・・・まさに今のアテナの戦闘スタイルの正統進化系と言ったところだな。
「それでは、【進化の宝玉】を持って【転生陣】の中心へ。中心についたら【進化の宝玉】に、【力天使】になりたいと祈りをささげてください。あ、他の方々は【転生陣】の外に出てくださいね」
と、言われたので俺たちは足元の【転生陣】を踏まないよう外側へ。そしてアテナは一人【転生陣】の中心へと向かっていった。
そして、中心にたどり着いたアテナが【進化の宝玉】に向かって何か言っている。・・・さすがにこの距離だと聞こえないな。
すると、地面の【転生陣】が光りだす。同時に天井から・・・天井自体は見えないが、その奥から・・・光が降り下りてくる。
その光はドンドン輝きを増していき、周囲を覆い・・・やがてアテナの姿が見えなくなってしまった。
「この光の中でアテナさんは【転生】されるのです」
レリエルが補足してくれたが・・・これ、見学の意味あるか? 光ってて何にも見えないんだが? なにが起こってんのか何にもわかんないよ?
それから5分ほど経ってようやく光が収まり、アテナの姿が見えた。
遠目だが、その姿の変化はよくわかる。
背中の翼だ。
今までは1対2翼だった翼が、2対4翼になっている。背中の翼が増えると【天使】としての神聖さが増したように見えるよね。それ以外は何も変わっているように見えないが。
【転生】が終わったアテナがこちらにやってくる。
「がおっ!!」
そんな生まれ変わった主にレオーネが飛び掛かる。・・・実は心配だったのかな? まあ、主が生まれ変わるとなったらそうなるかもな。場合によっては姿が大きく変わるかもしれないし。
「お待たせ、レオーネ、皆。・・・どう、アルク?」
・・・どうってなに? なんで俺に聞く? そんな、新しい服似合う? みたいな感じで言われてもな。
「・・・ああ、似合ってるんじゃないか。神聖さが増した気がするし」
「・・・フフフ、そう・・・」
俺としては無難な感じで言ったのだが・・・アテナは満足してくれたようだ。
「続いてはアルマさんですね。貴方が【転生】したい【種族】はなんですか?」
レリエルの問いにアルマがはっきりと答える。
「【賢魔族】です」
アルマが【転生】するのは【賢魔族】というらしい。
「【賢魔族】・・・【魔族】よりもさらに【魔法】特性に優れた種族ですね。他にも様々な特殊な【魔法】を覚えられることで知られています」
レリエルからの解説で納得。どうやら、アルマも今の自分の力を伸ばす方向で種族を選んだようだ。
ちなみに後から聞いたら、他にもパワー重視の【剛魔族】、スピード重視の【疾魔族】、サポートタイプの【錬魔族】という種族があったりするそうだ。
「わかりました。それでは、【転生陣】の中心で祈りをささげてください」
レリエルの言葉に従い、歩き出すアルマと送り出す俺たち。
先ほどと同じように中心でアルマが祈りをささげると、光に覆われた。
「そういえば、あの光のなかで何があったんだ? アテナ?」
5分程度とは言え、少し時間がかかっていたので聞いてみる。
「それは・・・自分で【転生】するときのお楽しみよ」
と、はぐらかされた。まあ、そうか。先に聞いてしまったら楽しみがない。
やはり、5分ほど経った後で光が収まり、アルマの姿が見えた。
・・・今度はパッと見で変化がわからないな。
こちらに向かってくるアルマの姿を見て段々とわかってきた。
アルマの頭から生えている【魔族】の証の角が以前より大きくなってる。それに今まで真っ黒だった角が今は青みを帯びている。きっとそれが【賢魔族】の証なんだろう。
「ピュイ! ピュイ!!」
そんなアルマに向かってフィオレが嬉しそうに飛んでいく。こっちは心配というよりも、主が強くなったことを喜んでいる感じだ。
「ありがとうございます、フィオレ。・・・アルクさん、私はどうですか?」
・・・だからなんで俺に聞くんだよ。俺にはイケメンな返しなんでできないんだぞ?
「・・・ああ、前より凛々しくなって知的さが増した感じだな」
「・・・フフフ、ありがとうございます」
・・・ふぅ、どうやら今回も間違った返しはせずに済んだようだ。
「それでは、最後はアルクさんですね。貴方が【転生】したい種族は何ですか?」
レリエルが最後になった俺に訪ねてくる。
「俺が【転生】する種族は・・・」
俺の次の種族、それは・・・
またまた、次回!!
(*・ω・)*_ _)ペコリ
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