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力を合わせて

「・・・ケレズに防御に徹するよう指示しておいたのは僕のミスだったようだね」


【豪剣アディオン】と【不朽の大剣】で鍔迫り合いをする俺とゼルエル。


至近距離で伺えるゼルエルの顔は悔しさと後悔に満ちていた。


やはり、ゼルエルたちも事前に打ち合わせを行っていたようだな。事前に俺たちの戦いぶりを見ていたようだし、人数でも劣る以上は当たり前なのだが。


おそらくケレズの【弱体化(デバフ)】とバリアを主戦術にして、俺たちを一人ずつ減らしていく作戦だったのだろう。


「それだけお前達が強敵だってことさ。さしもの俺も【弱体化(デバフ)】がかかった状態で勝てると思うほど、思い上がっていない」


自分に有利な状況に持っていくのも兵法の一つ。


ゼルエルたちはケレズの【弱体化(デバフ)】を使ってそれを行おうとし、俺たちはケレズを倒すことでそれを行おうとした。


結果は言うに及ばずである。


「・・・ああ・・・腹が立つよ・・・本当に・・・こんなのは久しぶりだ・・・」


ガキンッ!!


「ぐっ!?」


拮抗していたはずの大剣同士の押し合いに負け、吹っ飛ばされた。


・・・ゼルエルの雰囲気が変わったな。全身から怒りのオーラ・・・【神気】が立ち込めている。


この感じは・・・あの時と同じだ。バトルトーナメントで戦ったナユタが【羅刹天】の力をその身に宿した時と同じ・・・いや、それ以上か。


どうやらゼルエルを怒らせてしまったようだ。それがケナズとケレズという仲間を倒されたからなのか、自分の戦術が思ったとおりに行かなかったからなのか・・・どちらにせよ、それも想定内だ。


「頼むぞ! お前達!!」


俺の声かけに・・・


「クルー!!」「ガオー!!」「ピュイー!!」


「了解デス!!」


アーテル、レオーネ、フィオレ、そしてカイザーが俺とゼルエルの間に割って入り、ゼルエルに攻撃を仕掛ける。


「ぬうっ!? 邪魔をするなっ!!」


そして、そのままゼルエルを足止めしてくれている。連戦を強いるようで申し訳ないのだが、ゼルエルを倒す為にもう少し踏ん張って欲しい。


「だうー!!」


おっと、アウルまで追従しようと飛び出そうとしている。


「待て待て、アウルはこっちだ」


「だう?」


はしっとアウルの頭を捕まえて止めると、なんで? という顔をされる。いやいや、アウルよ。君は俺の切り札だって事を忘れてはいないかね?


・・・それにしてもゼルエル、キャラ変わりすぎ。今までおふざけというか、余裕を持った態度だったのに、今は・・・まるで悪鬼羅刹みたいだ。【天使】なのに。


マジになったゼルエル・・・とっても怖いです。


これはちんたらしていられないな。


アーテルたちが足止めしてくれている間に俺は【BPポーション】【MPポーション】【LPポーション】をがぶ飲み一気飲みする。


・・・げぷ。さすがに三本一気飲みは・・・きつい。なにもこんな所までリアルに再現しなくても良いのにな、このゲーム。


「アルク!!」


「アルクさん!!」


同じく【MPポーション】を飲みながらこちらへやってくるアテナとアルマ。・・・淑女にあるまじき、はしたなさかもしれんが今は緊急時なので勘弁していただきたい。


「おお、来たな二人とも!」


二人と合流するのも予定通りだ。


・・・とっておきの()()をやるための、な。


「アウル! もう一度【精霊憑剣セイバー・ポゼッション】だ!!」


「だうっ!!」


再度、【豪剣アディオン】の中にアウルが吸い込まれていき、【王剣アウルディオン】へと変化する。


さらに・・・


「【全天の属性(アーク・エレメント)】!!」


【王剣アウルディオン】に俺の持つ全属性を付加し、属性効果による威力の向上を行う。


ここまでが()()()で行える【強化(バフ)】なのだが、今回は一味違う。


「頼んだわよ、アルク! 【全強化(オールアップ)(マックス)】!!」


さらにさらに、アテナによる【強化魔法】で俺のステータスを向上させ、威力の底上げを行う。ちなみに【全強化(オールアップ)(マックス)】はMPを半分以上消費するためトーナメントでは使えなかったそうだ。


「行きます、アルクさん! 【氷炎地獄コキュートスインフェルノ】を【魔法付加(エンチャント)】!!」


さらにさらにさらにダメ押しに、アルマが使用できる【魔法】の中でもっとも威力の高い【上級魔法】を付加し、威力は勿論のこと火、氷、闇属性効果をも向上させる。


強化(バフ)】の重ねがけにより、虹色に輝く黄金の大剣に赤と青と黒のオーラが宿る。俺自身も光っていてなにがなにやら状態だ。


これが俺たちの()()()()()における切り札。


一人では不可能なほど、とにかく【強化(バフ)】を上乗せ重ねがけしまくって、ただひたすらに威力を求めた結果である。


「良し! みんな、散れ!!」


俺の言葉を聞いたアーテルたちは一斉にゼルエルから離れる。


アテナたちも同様に俺から離れる。


ここからは俺とゼルエルの一騎打ちとなる。


・・・アテナに散々協力してもらった今の俺を一人とカウントして良いのか謎だが、とにかく1対1である。


「俺たちの力を思い知れ! 【韋駄天の俊走アークヘブン・アクセル】!!」


超加速状態に入り、ゼルエルへと向かっていく俺。


「ぬああああ!!」


ゼルエルもまた、俺に向かってくる。


・・・速い!


俊天の疾走(アーク・アクセル)】のままではやられていただろう。それほどの気迫を感じる。


しかし! こっちも負けるわけには行かない!!


「あああ!!」


【不朽の大剣】を振り下ろしてくるゼルエルに対し、俺は・・・


「【帝釈天の勇撃アークガイゼル・ストラッシュ】!!」


最強の()()で迎え撃つ!!


「【初撃】!!」


振り下ろされるゼルエルの大剣を、かち上げるように【王剣アウルディオン】を振り上げる。


ガキィィィンッ!!


その威力に押され、【不朽の大剣】は・・・ゼルエルの手元を離れた。


「!?」


「【次撃】!!」


その隙を逃さず、かち上げた【王剣アウルディオン】をゼルエルに向かって一気に振り降ろす!


「ぐあっ!?」


なす術も無くこちらの攻撃を食らうゼルエル。


しかし、それでもなおゼルエルは倒れない。ならば・・・


「【終撃】!!!」


俺はトドメの突きを放った。


その最後の一撃を食らったゼルエルは・・・その場に倒れこんだ。


・・・


・・



ゼルエルを倒し、上階への【転移装置(ポータル)】も現れた。


どうやらこの階はクリア出来たようだ。


・・・大分苦戦したが、これで・・・


「いや~、まいったまいった。まさか、また負けちゃうとはね! すごい()()()だったよ!!」


「うおわっ!?」


「「ええ!?」」


・・・クリアできたはずなのに、なぜかゼルエルはその場から消えず、普通に立ち上がってきた。・・・おいおい、まさかリベンジとか言い出さないだろうな?


身構える俺たちに対し・・・


「ハハハ! 安心して! 君たちの勝利には変わらないから。僕はこの塔の管理者で特別だから、こうして留まれるってだけ。・・・21階に進めるようになった君たちにちょこっと忠告してあげたくてね」


「「「?」」」


・・・良かった。ゼルエルの雰囲気も戻ったし、戦いは本当に終わったようだ・・・が、忠告?


「君たちも気づいてると思うけど、この塔に出てくる敵は10階ごとにレベルだけじゃなく種族的にも強い者が出てくるようになっているんだ。つまり、次の21階ではこれまで以上に強い敵が出てくるってこと! くれぐれも油断しちゃ駄目だよ? じゃーねー!!」


と、一方的に言いたいことを言ってゼルエルは消えていった。


・・・え? それだけ?


何でそんなわかりきったことをわざわざ? これじゃあ、まるで・・・


「・・・盛大にフラグを立てていきやがったな」


「戦いが終わった直後だから負け惜しみにも聞こえたけど、ね」


「言ってることは間違っていないとは思いますが、わざわざそれを言われると不安になりますね」


勝ったはずなのになぜか微妙にもやもやする俺たちだったが、とにかく20階はクリアしたんだ。


決して楽な戦いではなかったが・・・無理をした戦いだったわけでもない。回復アイテムもまだたくさん残っているし・・・まだまだ行けるだろう。


そのことを再度確認し、俺たちは21階へと向かった。


・・・そこで俺たちは思い知らされたのだ。


ゼルエルの言葉は()()()()()の意味だった事を。


つまり・・・文字通り、上には上がいるということを・・・な。


(*・ω・)*_ _)ペコリ


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