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心を読むということ

いくらゲームの世界だからって【読心】・・・心を読むなんてありか! と言いたい。


そんなことが出来たら何にも通用しなくなってしまうじゃないか。これから何をしようとしているのかは勿論の事、どんなスキルを持っていてどんな効果があるのかとか、相手の弱点や苦手としている物までまる分かりになってしまう!


・・・いや、待てよ? 逆に俺が【読心】スキルを習得できれば・・・アテナやアルマのあーんな秘密やこーんな秘密を知る事が!?


「ちょっとアルク!? 今なにか変なこと考えてなかった!?」


・・・なぜかゼルエルとケレズの相手をしているアテナからツッコミが。そして何故アイツにも俺の考えてることが伝わったのだろうか? 実はあいつも【読心】スキルを持ってたり?


「いえ、彼女は持っていませんよ。【読心】は【読心】を持っている相手には通用しないので、この場に私以外のスキル持ちが居ないことは間違いありません。・・・あと【読心】は相手の表層的な考えが読めるだけで、記憶や秘密まで読めるわけでは無いですよ?」


なんとケナズ本人から補足説明が。なるほど、【読心】には【読心】で対抗できると。そして【読心】でも相手の深い心理まで読めるわけでは無い、と。


・・・それじゃあ、相手のスリーサイズとかがわかるわけじゃないのか。残念。


ヒュンッ!!


おっと! アテナたちの方から流れ矢が飛んできた! 危ない危ない。戦場で油断は禁物だな(笑)。


まあ、それはそれとして・・・スキルの使用は口に出さなくても心の中で使おうと思えば発動するから、ある程度プレイヤーの考えていることはゲーム側に読まれているとは思っていたから、【読心】っていうのもその延長なんだろう。


・・・あれ? それじゃあ心の中で【魔法】の詠唱を行えばケレズの【音撃魔法】に邪魔されずに済むんじゃあ?


「すいません、アルクさん! 心の中で詠唱しても駄目でした!!」


・・・おうふ。アルマさん、タイムリーかつ駄目だった報告、ご苦労様です。・・・ねぇ、アイツらホントに【読心】スキル持ってないの?


「それは間違いないんですが・・・不思議です、ね!!」


ガキン! キンキンキン! ガキンッ!!


なお、言うまでもないことだが、こんなやり取りをしている間にも絶賛戦闘中、派手に剣戟を繰り広げている最中である。


「しかし、さすがですね」


「なにが?」


「私の【読心】から逃れる為にあえて余計な事で無駄なことを考えつつ、それでいて貴方の剣さばきにはいささかの迷いも衰えも無い。ある意味、無心になるより難しい事を平然でできるなんて、ね」


「・・・」


・・・だって俺が無心になっちゃったら実況中継する人がいなくなるし? このページの最初から最後までずっと「・・・」が続いてたら読者に怒られちゃうだろ?


・・・ん? 読者? 何を考えているんだ、俺は?


まあ、メタ発言はともかくこのゲーム内においては無心になるというのは事実上厳しい。というのも・・・


「「【双覇・疾風連斬】」」


ガキガキガキガキガキンッ!!!


俺がスキルを放つと同時に、ケナズも()()()()()()()()()()()()()()()()を放った。・・・ほらやっぱり読まれた。


このゲームの仕様というべきか・・・スキルを使用しようとするときは必ず、スキルを使う! という意識が出てきてしまう。まあ、そうでないとゲーム側としてもスキルを発動させる事ができないだろうし、ある意味当然だろう。


つまり、意識しないでスキルを使うというのが事実上、不可能なのだ。


そして意識するということは、【読心】によってケナズにも読まれるということ。だからこそ、同時に相手と同じスキルを使用するなんて芸当ができる。


それはつまり、ケナズを出し抜いてスキルを使用することが不可能ということだ。


「そういうことですね」


・・・心の声に相槌を打たないで欲しい。本当に考えてることが筒抜けだな。


一番有効と思われるのは無心・・・つまり、何も考えずに攻撃することだが・・・スキルが使えない以上、できるのは通常攻撃のみ。純粋に自分の剣の腕のみで戦わないといけないということになる。


しかし、ケナズは【読心】スキルを抜きにしても強い。特に剣の腕前は俺以上かも知れない。


「だからこそ、あえて余計な事を考えてこちらの隙を作ろうとしているわけですか。・・・貴方は腕っ節の実力だけではなく知略もまわるようですね」


・・・うーむ、かつて無いやりにくさだな。【読心】スキル、恐るべし。


しかし、いつまでもケナズ一人に手こずっているわけには行かない。ここは一つ、戦い方を変えてみるとしよう。


俺は【霊刀ムラクモ】【妖刀オロチ】を仕舞い、【グランディスマグナム】を取り出す。さらに【ビートル君改】を全機発進!


「リフレクトシュート!!」


【グランディスマグナム】から放たれたバスター砲はケナズに・・・ではなく【ビートル君改】へ向かう。【ビートル君改】は【リフレクターシールド】を展開し、それを反射。それを繰り返し、最後にはケナズの死角へ。


「グッ!?」


・・・クリーンヒットだ。


やはりな。リフレクトシュートは発射時点では俺の意思だが、そこから先の反射は【ビートル君改】の()()だ。俺の意思ではない。よってどこに着弾するかはケナズにも読むことは出来ない。


さしもの【読心】スキルも機械相手には無力・・・【読心】対策その1だな。


それでは、このまま対策その2で一気にたたみかけよう。


俺は片手で【グランディスマグナム】を打ちながら、もう片方の手に【豪剣アディオン】を再度取り出す。


さらに・・・


「アウル!!」


「だう!!」


向こうで戦っていたアウルを呼び寄せる。アテナたちの方の手が一人足りなくなってしまうが、なんとか踏ん張って欲しい。


そして俺が何をしようとしているのかケナズも察知したようだが、【ビートル君改】たちに邪魔されこちらに来る事が出来ない。


「行くぞ、アウル!【精霊憑剣セイバー・ポゼッション】発動!!」


「だーうーーー!!!」


アウルの姿が【豪剣アディオン】に吸い込まれ、その様相を大きく変化させていく。剣全体に黄金の装飾が施され、漆黒だった刀身も巨大化し、黄金色に染まる。


「【王剣アウルディオン】!!!」


対策その2・・・スキルが使えないのなら、通常攻撃のほうを強くすれば良いんじゃね? というわけで俺が現在用いる最強の武器で強引に押し切ろうという魂胆です、はい。


「クッ・・・」


その俺の魂胆が伝わったのであろう、ケナズにも焦りが出てきた。


心が読める故に、現状の分の悪さにも気がついたのだろう。


心が読めるからと言って何でもできるというわけではない。結局の所、心が読めても事態の対処は己の体で行うことになる。自分の体でできる以上のことができるようになるわけではないのだ。


つまり、自分の身体能力でも対処できないほどのパワーとスピードで来られたら・・・


「グアッ!?・・・お見事・・・」


こうなるわけだ。


【王剣アウルディオン】の一閃により、ケナズは消えていった。


(*・ω・)*_ _)ペコリ


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