畑の拡張
俺が犬猫たちとたわむれていると・・・
「クルーッ!」
「だう!」
ドガッ! ドガッ!
「アウチッ!?」
【アークガルド】のクランホームからやって来たアーテルとアウルに突撃された。さらに僕たちにも構って!と言わんばかりに頭をこすり付けてくる。なにこの生き物たち。
犬猫たちに嫉妬してしまったのか? しょうがないなぁ・・・頭を撫でてやろう。うりうり。
「・・・人のクランホームの前で何をやってるんだい?」
「相変らず騒がしい奴じゃのう」
俺がアーテルとアウルを撫でていると、やって来たのはお邪魔虫・・・もといラングとガットだった。さらに・・・
「キャー♪ かわいいー♪」
「ふわふわだねぇ、モフモフだねぇ・・・」
「いや~ん! か・わ・い・い・わ~ん!!」
・・・いつものキャラを忘れて犬猫たちをめでるロゼさんとヴィオレ。そしてヒューナスを始めとする【アイゼンガルド】や【インフォガルド】のメンバーたちだった。
その大半が犬猫たちに魅了されたのか、みんな思い思いに愛でている。
「・・・!」もふもふもふもふ
特に【猫獣人】のナナカがすごい。目にも留まらぬスピードで猫たちをモフモフしている。・・・トーナメントの時よりも真剣な表情をしているのは気のせいだと思いたい。
あっちのイヌミミは・・・【犬獣人】か? 犬達といっしょにかけっこしているな。やっぱりネコミミは猫好き、イヌミミは犬好きなんだろうか?
「・・・なんぞ、めんこいのがたくさんおるがお主の仕業かのう? アルクよ」
ガットの奴が足元に擦り寄ってくる犬の頭を撫でながら俺に問いかける。一見仏頂面だが口元がヒクヒクしているのは無いかを我慢しているのだろうか? 遠慮する事は無いのにな。
「殺風景で寂しい感じだったからな。お前らの店にやってくる客も退屈だろうしな。・・・まあ、退屈しのぎ兼、癒し要員だな。他の場所にも追加しておいたぞ」
俺は東西南北、そして海に追加したオブジェクトたちについて説明した。
それを聞いてラングが一言。
「僕たちの店以上にこの島目当てで来るプレイヤーが増えそうだね」
・・・実は俺もそう思っていたところだ。あと、俺が東側の森の話をした途端にタヌキミミとキツネミミが走っていったけど・・・お前のとこのクランメンバーだろ? ほっといて良いの?
「ま、まあ良いじゃないか。お前達のクランだって忙しいんだろ? クランメンバーたちの癒しにだってなるはずさ」
アニマルセラピー的な? 愛らしい動物たちとのふれあいで疲れた心も癒されるだろうさ。
「・・・むしろ、犬猫に構いすぎて仕事にならなそうな気がしてきたけどね」
「・・・」
・・・確かに、現状を見るとそう思ってしまうのも無理はないかもしれない。さっきにタヌキミミやキツネミミも戻ってこないし・・・え? これって俺のせい?
みんなのためにやったことがまさかの逆効果?
「まあ、それは君のところも同じみたいだけどね」
「んん?」
どういうことだ? と思ったらラングの目線の先には・・・
「ホント、かわいいわねぇ・・・」
「フフフ・・・くすぐったいです」
・・・アテナにアルマ、いつの間に? いや、二人だけじゃない。アーニャたち【アークガルド】の他のメンバーも、カイザーたち【眷属】たちもいつの間にか勢ぞろいしてる、だと?
「クルー♪」
「だう♪」
ハッ!? アーテル、アウル! いつの間にそっち側に!?
猫犬たちとたわむれる光景は大変ほほえましいんだけど・・・君たち、その猫犬たちに嫉妬してたんじゃないの? お兄さんの方が嫉妬しちゃうよ?
「アハハ・・・なんだかお疲れ様です。アルクさん」
「ラグマリアまで夢中になるとは意外だったのだ」
「おお、アスター! アヴァン! お前たちは正気なのか!?」
犬猫たちの誘惑に負けないとはさすがアスターとアヴァンだ!
「正気って・・・まあ、犬たち猫たちがかわいいのはわかるんですけどね」
「皆、少し興奮しているだけなのだ。もう少しすれば落ち着くと思うのだ」
そうであって欲しいと切に願う。・・・このままここを離れたくないとか言われたらどうしよう?
「やれやれだね・・・アルク、僕たちはクランホームに戻るよ」
「うむ、もうすぐ時間じゃからのう」
そう言ってラングとガットはそれぞれのホームの中に戻っていく。・・・ロゼさんやヴィオレたち置いていってるけど大丈夫なのか?
だが、もうそろそろ【レギオンガルド島】の一般開放の時間だ。そうなると今まで以上に忙しくなるのは目に見えている・・・となると、今が彼女達にとって好き勝手過ごせる最後のひと時なのかもしれないな。・・・そっとしておこう。
それに俺には・・・俺たちにはまだやるべきことがある。
「・・・それじゃあ、俺も次の場所に移動するか。アスター、アヴァン。着いてきてくれ」
「え? あ、はい」
「わかったのだ」
いまだ犬猫たちに構い通しのアテナたちを置いて俺とアスター、アヴァンの男三人で移動することにする。
・・・若干寂しく感じるのは気のせいだ。
===移動===>エリア0 農業区画1【アークガルド】クランファーム
続いてやってきたのは【精霊界】にあるクランファーム・・・アスターの畑だ。
「・・・それでアルクさん? なぜ畑に?」
フッフッフ、そんなこと決まっているじゃないかアスター君!
「勿論、畑の拡張のために決まってるだろ。なんせ莫大な賞金が手に入ったからな!」
畑の拡張をするためには【農業ギルド】で畑を購入しなければならないが、これがまた良い値段するんだよなぁ。しかし! 今の俺たちは無敵だ!!
「確か今の畑は200m×200mだったよな?」
「ええ」
現状でも結構な広さがあり、人力で耕すのも大変なんだが・・・
「なら1km×1kmに拡張だな!!」
一気に25倍に拡張である。
「・・・僕を過労死させるつもりですか?」
いやいやいや! そんなつもりはないですよ、畑の管理者のアスターさん。さすがにこれだけ一気に増えたら、今までどおりにはいかなくなることくらいは俺にもわかってるって!
「安心しろ、アスター。この日のために用意した秘密兵器があるんだ・・・アヴァン!」
「うむ! 了解なのだ!!」
そう、この日のために以前からアヴァンに製作を頼み、ようやく完成した品があるのだよ! それが今! お披露目である!!
「これは・・・トラクターですか!?」
そう、それは以前から考えていた大規模農業用の機械だ。トーナメントがあったので中々完成には到らなかったのが、それも終わりさらに賞金も手に入ったので、あちこちから部品を買いあさってようやく完成した念願の品!
「その名も!【グランディストラクター】なのだ!!」
「なんか色んな物を破壊しそうな名前ですね」
・・・破壊者だから? しかし、これは農業の・・・生命を育む機械! 破壊者などでは断じてない!!
「ま、まあ名前はともかく・・・これは使えると思うのだ」
そう言って、さっそく乗り込んで説明を始めるアヴァン。
【グランディストラクター】は一人乗り用の四輪駆動、タイヤがかなりでかくてごつい。そのせいで車体がかなり浮いている。そして何より気になるのは背面部分に取り付けられている箱のような物体。
「今の形態でも柔らかい畑の上を難なく走ることができるのだ・・・が、こいつの真骨頂はこれなのだ!!」
運転席でアヴァンがなにかのボタンを押すと背面の箱が変形を始めた。
「「おお!!」」
感嘆の声を上げる俺とアスター。
「耕運機モードなのだ! さらに田植機モード、収穫機モードも備えているのだ!!」
アヴァンがボタンを押すごとに背面の箱が変形していく。つまり、コイツ一台で畑を耕し、種を植え、収穫までできる優れものというわけだな。
「す、すごいです、 アヴァン君!!」
「うむ。さすがアヴァン!!」
「これくらい当然なのだ!」
さっき犬猫たちに興奮していた女性陣たちに負けないくらい、こっちでも興奮している男性陣たちなのであった。
(*・ω・)*_ _)ペコリ
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