今後の方針
「アテナとアルマのことか・・・色々考えたが・・・特にどうもしない。アニスたちのことも話さないし、今までどおり本人達がクランを離れたがらない限り、【アークガルド】にいてもらう」
そもそもアニスたちのことを話すんだったらあの二人もこの場に呼んだほうが手間が省ける。
「何故だい? あの二人はどう考えても無関係じゃないだろ? そのアニスくんやアギラくんのことは二人に直接聞くのが一番てっとり早いんじゃないのかい?」
「そうじゃぞ。そもそもアテナとアルマ、アニスとアギラの関係はなんなんじゃ? 三人目とか四人目とか言っておったが・・・お主はわかっておるみたいじゃな?」
・・・そうか。この二人にはアテナとアルマが多重人格の同一人物だっていうのは話してなかったんだっけか。あんまり人様の事情をべらべら吹聴する気はないんだが、その点を説明しないことにはなぁ・・・
実は二人が多重人格なことは本人たちからは口止めされていない。本人たちは特別隠すつもりは無いらしく、何らかの理由で事情を聞かれたりしたら話しても良いとは言われてる。
・・・ちなみに隠すつもりは無いのになんで俺には最初はぐらかしたのか聞いたら、下手くそな口笛で誤魔化しやがった。まあ、おいそれと話せる内容でもないからな。
それはともかく・・・ことがことだし、コイツラを思いっきり巻き込むつもりでいる以上、事情を説明しないわけにもいかないか。
「・・・絶対に他のヤツには言うなよ。実は二人は・・・」
・・・
・・
・
「・・・多重人格ねぇ。これは興味深い」
「・・・信じられん」
俺の話を聞いた二人はそれぞれに反応を示す。多分、二人は双子か姉妹かぐらいにしか思っていなかったんだろうな。俺もそうだったし。
とはいえ、アニスとアギラが現れるまでは『ふーん、そうなんだ』くらいにしか思っていなかったんだけどな。まさか更に別人格が現れるとは思っていなかった。さらに襲ってくるとはな。
「でも、それっておかしくないかい?」
「ん?」
おかしいって何が?
「二人・・・二人って言うとおかしいのかな? 一人の人間がログインして二人・・・アテナくんとアルマくんとしてゲームの中に入るってことだよね? となるとアニスくんとアギラくんもその時に一緒にこのゲームの中に入っていることになる。アテナくんとアルマくんが知らないのはおかしいんじゃないかい?」
・・・それは俺も疑問に思っていた。
「前に二人に確認したことがあったんだが・・・アテナとアルマは基本的にお互い自由に行動しているが、ログインとログアウトだけは必ず二人揃って行うようにしてるんだと。・・・万が一の時、どうなるか分からないからな」
つまり、どちらか一方だけが取り残された状態でもう一方がログアウトした時、お互いにどうなるのか、だ。まあ、この場合、リスクがあるかもしれないし試せないよな。
「だから、ラングの質問に答えるのなら、おそらくログイン、ログアウトの度にアテナたちの記憶を封印しているか、もしくは・・・」
「もしくは? なんじゃい?」
「・・・いや、なんでもない」
・・・肉体から離れて精神だけゲームの中にログインしっぱなしっていうのは・・・非現実的かな。しかし、現実的には後者だと考えた方がしっくりくる。・・・非現実的な考えが現実的とはこれいかに。
「アテナたちは自分たちのことを二重人格だと言っていた。つまりアニスやアギラのことを認識していないという事だ。アニスに記憶を封印されているのか、本当に知らないのかは・・・わからないな」
「でも状況から考えても限りなく黒に近いと思うんだけど? 嘘を吐いている可能性も否めないし」
「・・・二人が黒か白かは俺がきっちり見極めるさ」
俺としては問答無用で斬り捨てるより、しっかりと見極めて判断したいと思う。
仮に自分が多重人格だったとして、自分が知らない間に他の人格が悪さをしていて自分に責任を取れ、と言われたら納得できるだろうか? 少なくとも俺は理不尽だと思う。
アテナたちがアニスたちの仲間なのかそうでないのか。敵であれば戦うし、被害者であるのなら助ける。
すくなくとも理不尽に追い詰めるつもりはない。俺はそういう理不尽なことが大っ嫌いだからな!
それに連中に繋がる手がかりでもあるしな。慎重に行きたい所だ。
「・・・まあ、君がそう言うのなら任せるしかないだろうね」
「ふむ・・・しかし、こんな会話をゲームの中でしておって良かったのか? 黒幕が運営の誰かなら、この会話も察知されておる可能性が高いぞい」
「それも承知の上さ」
俺たちの会話や行動が筒抜けなら、俺が昨日記憶を取り戻した時点でなにかリアクションがあるはず。しかし、昨日も今日もそれが無いってことは、少なくとも四六時中監視されているわけではないってことだろう。仮にリアクションがあったとしてもそれはそれで手がかりになるしな。
「それにリアルでこのゲーム【Seven World Online】と運営会社の【カンナギ・カンパニー】のことも調べて見たんだが・・・それらしい情報はな~んにも出てこないんだよな・・・手がかりはゲームの中にしかないっぽい」
「ここのAIがゲーム外のネットにおいても誹謗中傷やネタバレを監視しているって噂だしね。リアルでの情報収集は確かにお手上げかも・・・それに今は先日のトーナメントの映像で派手に宣伝しているみたいだから、他の情報は余計に入りにくいだろうね」
「ああ、そういえばニュースでもやっておったのう」
先日のトーナメントの映像はハリ○ッド顔負けのド迫力映像満載だとして世界中のメディアに取り上げられていた。ニュースによると世界中でこのゲームを始めるプレイヤーは続出しているんだとか。
・・・あと俺が優勝してしまったからなんだろうが、俺・・・正確には俺のアバターだが・・・の姿が割りと頻繁に出て来るんだよなぁ。正直、リアルのニュースとかで俺のアバターの姿が出てくるのが恥ずかしいというか誇らしいというか・・・
・・・話が逸れたな。
「と、とにかく連中は俺が何も覚えていないと思っているはずだから、そう思わせて行動しつつ、情報を集め、次にアニスたちがやって来たときに備えるさ」
借りは必ず返す。
とは言っても今のままじゃ駄目だ。
勘ではあるが、おそらくアニスたちの実力はカオスと同等以上。でなければカオスが連中と手を組むとは思えないからだ。
カオス一人にギリギリで勝った今の俺では連中の相手をまとめて相手にすることは出来ない。
「・・・やれやれ。ヤル気満々だねぇ・・・僕には君が相当厄介なことに巻き込まれているように見えるんだけどね?」
「いつものことだろ?」
・・・こら、そこ? なんで二人揃って頭を抱えてるんですかね?
「お主と来たら、まったく・・・そもそもお主がこのゲームを始めるのが1ヶ月遅れたのも・・・」
「おっと、ガット。今はその話は無しだ」
今更、その話を蒸し返す気は無い。
・・・何があったのかって?
それは内緒(☆ゝω・)b
「話が逸れたがまあ、そんなわけで今の俺では戦力が足りない。だからラングは情報収集、ガットは装備作成、よろしこ」
トーナメントの関係で出来なかったが、強くなるための方法はまだまだいくらでもある。
俺やアーテル、アウルの新しい種族への【転生】。
残りの【天凱十二将】スキルの取得。
各世界をまわり、新しいクラスやスキルの取得。
【獲得券】を使った特級クラスっていうのも確かめないとな。
レアアイテムを見つけてより強力な装備の充実。
【眷属】を増やすという手もあるな。
まあ、いずれにせよこの二人の協力が必要になるだろう。
「まあ、わかったけど・・・料金はきちんと貰うよ?」
「右に同じくじゃ」
・・・ふ、そんなことは百も承知だ。
「金に関して言えば、今の俺は無敵だから大丈夫だ」
「そうだった・・・」「そうじゃった・・・」
ククク、なんせ今の俺には優勝賞金の半分、50億Gが手元にあるんだからな!!
「まあ、そんな成金のアルクに話があるんだけど・・・」
誰が成金だ、この野郎。
「協力する代わり・・・ってわけじゃないんだけど一つ提案があるんだ。これを見て欲しい」
そう言ってラングは一枚のスクショを俺に見せてくる。
「・・・ほほう・・・」
それを見て感心する俺。
「・・・むぅ」
ガットのヤツが横から覗き込んでくるが・・・シブい顔というか、呆れたような顔をしているな。
ラングが見せてきたのはとある商品のリストだった。
正確にはその商品とその説明文、そして値段だった。
「・・・なるほど」
その説明文を読んで俺はラングが何を考えているのか納得した。
「順番が逆になってしまったけど、それがあればより密に協力できるとは思わないかい?・・・まあ、あくまで提案だし、どうするかはアルク次第なんだけど」
そりゃそうだろうなぁ・・・だが、有用性もそうだし、何より面白そうだ。
「・・・マジであったんだな。億単位の買い物」
(*・ω・)*_ _)ペコリ
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