影に潜む真実
===視点切替===>???
とある隠しエリアにて・・・
「ククク・・・アーッハッハッハ!!」
一人の少年が高笑いをしていた。
「ただいま戻りました・・・何を一人で笑っているんですの?」
「・・・」
丁度そこへ、戻ってきたアニスとアギラが気味が悪そうにその少年に話しかけた。
「ヒャハハハ! な~んか面白いことでもあっ・た・ん・で・す・か・い?」
「・・・」
さらにそれに続くようにジェスター(偽)とカオスが現れる。
「やあやあ! お帰り皆! 面白い事があったかだって? 面白すぎだよ!! とうとう【固有能力】の覚醒者が現れたんだよ? おまけに【世界記憶】へのアクセスパスも確認できた! おかげで僕の計画を一気に押し進めることができる!!」
笑いが止まらない、と言わんばかりに少年は高笑いを続ける。
その少年の周囲には多数のモニターが浮かんでいた。
そのモニターたちに表示されていたのは、トーナメントで活躍していたプレイヤーたち・・・ベルバアル、ラーサー、ミーシャ、ヴァラット、マックス、エルザリート、ヘブン・・・それらのプレイヤーたちの情報だった。
その中でもとりわけ大きな三つのモニター。そのモニターにはアルク、アテナ、アルマの三人の情報が表示されていた。
「まさかまさかの大当たり! いやぁ、期待以上だったよ!彼は!!」
そう言って、その少年はアルクのモニターに手を触れる。
するとアルクの情報欄に【固有能力:天醒者】と表示される。
それを見て満足そうに頷く少年であった。
「それは重畳・・・ですが、それならなおさら彼を捕らえてくるべきだったのではないのですか?」
「・・・その意見に同意」
その肝心のアルクを連れ帰る事ができたにもかかわらず、それを止められたことに不満な様子のアニスとアギラ。
「アハハ! それも考えたんだけどねぇ・・・この場所に連れて来るのはまだ早いかなぁって・・・それに彼には冒険を続けてもらった方が都合が良いと思うんだよねぇ!【固有能力】の実験もこれからだし・・・それに彼に接触した連中の経過も見てみたいしねぇ!! 」
楽しくて仕方が無いといった様子の少年が二人に説明する。
「・・・わかりましたわ」
「了解・・・アテナとアルマは?」
「二人も現状維持だね! 彼と行動していればきっとあの二人も目覚めるはずさ」
少年は無邪気な笑顔で・・・平然と彼らを巻き込む。それを悪いことだと思っている様子は微塵もない。悪気のない悪意である。
「ヒャハハハ! ならあの連中はしばらく放置か!? だったら俺っちたちはど・う・す・ん・の?」
「引き続き、例の捜索を頼むよ。こっちも重要事項だけど、そっちも数が揃わないと話にならないからねぇ」
「ヒャハハハ! 人使い荒いねぇ・・・んじゃ、さっそく行っ・て・く・る・ぜ!!」
そう言ってジェスター(偽)はヒラヒラと手を振りながら立ち去っていく。
「カオス君も頼むよ! ある意味、君が一番の功労者だからね。全てが終わった時の報酬は、期待してくれても良いよ!!」
「・・・フン、約束は守ってもらうぞ」
そう言ってカオスも去っていく。
「・・・あの方々、本当に信用しても良いんですの?」
立ち去った二人をアニスは不審げな様子で見ていた。
「フフフ、大丈夫さ。彼らは僕に逆らう事は出来ないんだからね。それより、君たちも頼むよ。その時までにレベルに到達していて貰わないと困るんだからね」
「分かっていますわ」
「了解」
納得がいかない表情の二人だったが、少年の言葉を了承し、去っていく。
「・・・やれやれ・・・年頃の娘たちの扱いは難しいね。・・・おっと、そろそろ定期連絡の時間か」
そう言って少年は別のモニターを出現させる。そのモニターに現れたのは・・・
「お疲れ様です」
「やあ、室長。トーナメント、ご苦労様!」
そう、そこに映し出されたのは運営室室長の姿だった。
「いえ、これが私の仕事ですので・・・さすがに最後のトラブルは予想外でしたが」
「ハハハハ! ゴメンね! さすがの僕もあのカオス君が敗れたのは予想外でね! もっとデータが欲しくなったのさ! ・・・そして、結果は出た!!」
「それでは・・・やはり?」
「ああ、僕たちの計画の鍵はやっぱり彼だったよ!! 引き続き監視を頼むよ? バレない程度でね」
「ハッ! ・・・しかし、我々のことを探っている者がいるようですが・・・」
「ああ、例のご老体か・・・どうやらイレギュラーリストから嗅ぎつけられたみたいだねぇ・・・ま、だからといってこちらに干渉するのは不可能・・・放っておくといい」
「ハッ! 先日のトーナメントの配信によりゲームプレイヤーの数は爆発的に増えております。これで計画も次の段階に進められるでしょう」
「僥倖、僥倖!! 順調すぎて逆に怖いぐらいだねぇ・・・ま、こういう時こそ調子に乗らず、平常運転で頼むよ、室長」
「ハッ! それでは失礼します・・・ 社長」
室長が最後にそう言うとモニターが消える。
「・・・社長か・・・そんな肩書き、今更何の意味もないよ」
社長と呼ばれた少年は皮肉げに笑いながら、新たなモニターを表示させていた。
・・・
・・
・
「カオスっちは連中の言いなりでい・い・の・か・よ?」
カオスが歩いていく先に、既に立ち去ったはずのジェスター(偽)が立っていた。
「・・・今の俺たちは連中に逆らう事はできん。お前も良く分かっているだろう?」
ジェスター(偽)の問いに対し、カオスは無表情で返す。
「ヒャハハハ! そりゃそうなんだけどよ!! いいように使われてるのってなんかい・や・じゃ・ん?」
対してジェスター(偽)は言葉とは裏腹に、借り物の顔で軽薄に笑いながら話しかける。
「・・・協力はしてやる。その上で好きにさせてもらう」
そう言ってカオスはジェスター(偽)の横を通り過ぎて去って行った。
「・・・ヒャハハハ・・・好きにさせてもらうってとこだけは同感だねぇ」
誰とも知れず、そう呟いたジェスター(偽)も歩き出す。
・・・いや、その姿はもうジェスターの物ではない。
いつの間にかその姿は・・・・全身を黒いローブで覆い隠し、無表情の鉄仮面を被った姿へと変わっていた。
ジェスター(偽)・・・改めボレアスもまた、行動を開始するのであった。
・・・
・・
・
「・・・」
「・・・アギラ、どうしましたの?・・・あら?」
途中の道で立ち止まったアギラに話しかけるアニス。しかし、その理由は直ぐに分かった。
アギラが両手に持っていたのは【ガティアスコア】が収められた箱であった。
「ああ、それを渡してくるのを忘れていましたわね・・・とは言っても・・・」
アニスは箱の蓋を開け、中身を確認する。
中に入っていた【ガティアスコア】はまるで力を失ったかのように真っ黒い玉へと変わっていた。
「・・・やはり、もう使い物になりそうにありませんね。倉庫にでも仕舞っておけば十分でしょう」
「・・・」
コクリと頷いたアギラと共に【ガティアスコア】の入った箱を倉庫に仕舞いに行くアニス。
この時の行動が、後にどのような事態を引き起こすことになるのか、二人はまだ知らない。
・・・
・・
・
影は表舞台に姿を現し、それぞれに散り、行動を起こす。
彼らの目的は・・・依然として不明のまま。
そしてさらにもう一つ。
・・・ドクンッ!ドクンッ!ドクンッ!
アルクの体に一度埋め込まれ、排出された【ガティアスコア】。
【固有能力:天醒者】との接触により変容しつつあるそれが人知れず胎動し始めていた事を、この時点ではまだ誰も知る良しもなかった。
作者のやる気とテンションを上げる為に
是非、評価をポチっとお願いします。
m(_ _)m




