最後の勝利者
・・・
『kρΩNυ2PγEναKQsβ』
・・・なんだよ、うるさいな。
『T4ττ8wλΞcNκfWcΞ』
・・・何言ってるのか全然わかんねぇ。
『ϵtfY4θΘπQQ3frPΓ』
・・・この声は・・・システムメッセージ? チュートリアルの時の声、か?
『ASηνy7rfu8hΩH∆W』
・・・俺、どうなったんだ? 確かカオスの奴と戦っていて・・・気を失ったのか。
『eYay6ΨmwoΘNτpOψ』
・・・あれ? このゲームの中で意識を失う仕様なんてあったっけ? たしか演出上ブラックアウトするような事があっても意識を失うような事は無かったはずだが・・・そもそも精神だけの世界だし。
『アCΓSfθψSEiDnWe%』
・・・仮に意識を失うような危険な状態に陥った場合は強制ログアウトが働くはずだ。ということは・・・これは・・・なんだ?
『λ2レkhTΩMΥクΨリQw』
・・・ノイズ? ・・・まるで色んな国の言葉を何百人という人間が一辺に喋っているような・・・声なのか音なのか言葉なのか、まるで判別できねぇ。
『アカWQΦeW確B2esVλΣ』
『ππ言r4JB率HδιΥYψ%』
『QT対juプレucR3Πをvζ定』
・・・だから、何言ってんのかわかんねぇっての。
・・・
・・
・
「・・・ハッ!?」
意識が一気に覚醒した俺はガバッと起き上がる。
俺は・・・気を失っていたのか?・・・このゲームにそんな仕様あったっけ? それになんか変な夢を見ていたような・・・まさかな。精神だけのこのゲームの世界で夢なんて・・・夢の中で夢を見るようなわけが分からんような事、起こるわけが無い。
「クルー!!」
「だう!!」
「おー、アーテル、アウル。」
どうやら二人は気を失った俺の傍にいてくれたらしい。・・・あれ? アーテルはディーラに倒されてホームに【送還】されたはずじゃあ?
良く見てみると・・・ここはまだ舞台上だった。
少し離れた所に元の姿に戻ったカオスが座り込んでいた。どうやら奴も気を失っていたらしい。さらに奴の周囲にはディーラ、ラグゼノア、エンマもいる。
一体、どうなってんだ? 試合はどうなってんだ?
混乱していると・・・
『それは私が説明致しましょう』
いつの間にか司会者席から降りてきた室長さんがいた。後ろには司会のポロンとミューズがいた。
『いやー、本当にすごい試合でした』
『一部、全然見えなかったですけど~、ホントにすごかったです~』
ポロンとミューズが気さくに話しかけてくるが・・・見えなかった? ああ、俺もカオスも超加速に入った時か。俺からは周囲がスローモーションのように見えるから逆に周りからは早送りのように見えたんだろう。人によっては目で追いきれなかったのかもしれない。
『そう、ずばりそこが問題だったのですよ』
と、室長さんが説明してくれる。俺とカオスは立ち上がってその説明を聞くことにする。
『実の所、お二人の動きが速すぎて私も含め、観客の皆様が追いつけていなかったのですよ。我々が最後に確認できたのは、お二人がほぼ同時にHPが尽きて倒れた所でした』
「ほぼ同時?」
そうか、俺の最後の一撃はカオスを倒せていたのか。同時にカオスの一撃で俺も倒されていた、と。
しかし・・・
「この場合、どっちが勝者になるんです?」
「・・・ほぼ、ということはまったく同時ではなかったのだろう?」
俺とカオスが同時に疑問を呈する。
まったく同時ではなかったのなら先にHPが尽きた方が負けであり、残った方が勝者になるはずだ。だが何時もの勝者のアナウンスは出ていない。勝った方のHPも0になっちゃったからバグったとか?
『お二人のおっしゃる通りです。トーナメントのルール上、HPが0になった時点でシステムが勝敗を判断して試合終了のはずなんですが・・・お二人のスピードがこちらの想定をはるかに超えていたようで・・・システムが判断するよりも早くダブルノックアウト状態になってしまったようです』
・・・マジかよ。そんなことあるのか? 俺もカオスもあくまでこのゲーム内のスキルを使っていたのにそんなことあるのか?
なら試合はどうなるんだ?
『そこで、観客の皆様への説明も兼ねてスロー映像でのビデオ判定としたいと思います』
そう言って室長さんがパチンッ!と指を鳴らすと空中に巨大なディスプレイが表示された。観客全員が見れるほどの巨大さだ。なるほど、皆で映像を見ながら判断しようってことか。
『既に運営の方で録画した試合映像を確認して結果は出ているのですが、こうして皆さんで確認しながらの方が納得されると思いますので・・・勿論、お二人もね』
ああ、だから俺たちが目を覚ますのを待っていたのか。ついでに倒された【眷属】たちもサービスでこの場に呼び出してくれた、と。気が利いてるねぇ。
「・・・ちなみにおれ達はどのくらい気を失っていたんですか?」
『うん? ほんの一瞬だよ? まあ、実際にはそういう演出のゲーム仕様だから気にする事はないよ。プレイヤーのバイタルは常にチェックしているし、本当に気を失うような重大な事態だったら強制ログアウトになるはずだからね』
一瞬・・・演出・・・本当にそうなのか? ならあの変な夢みたいなのは?
室長さんが言うのなら間違いないだろうが・・・
カオスの奴を見てみると・・・口元に人差し指を当てていた。・・・黙っていろという事か? しかし、なぜ?
『ではさっそく見ていきましょう! お二人の最後の激突の瞬間をスローでご確認下さい。さらに今回は特別にお二人のHPを可視できるようにしてあります!!』
室長が言うと巨大ディスプレイに映像が映しだされる。
カオスが【真姿解元】とやらで文字通り真っ白怪人になり、俺が【精霊憑鎧】で【王鎧アウルドギア】を着込んだ所だ。
さらに画面上部に俺たちの名前とよく格闘ゲームなんかであるHPバーが表示されている。これが尽きたのがどっちが先か確認しろってことか。
映像が動き出す。・・・スロー映像と言う割りに俺もカオスも普通に動いているような気がするが気のせいか?
うわー、【閃槍アーディボルグ】も【霊刀ムラクモ】もあっけなくぶっ壊されていくな。
【双神刀ブライ】をぶっ壊せたのは僥倖だったが・・・なんでカオスの奴はあんなに冷静なんだ?
【妖刀オロチ】も壊され、【豪剣アディオン】まで・・・
「だうー・・・」
アウルの悲愴な声が聞こえてくる。・・・すまん、俺のせいで・・・観客席からも悲鳴が聞こえてきたが今は無視だ。
そしていよいよ問題の場面。
俺が【鉄の大剣】を振り下ろし、カオスがパンチを繰り出してくる。
どっちの攻撃が先に当たり、どっちのHPが先に尽きたのか。
映像が更にスローになり、コンマ何秒単位で動いていく。
先に攻撃が当たったのは・・・
俺の剣。
先にHPが0になったのは・・・カオス。
そのまま映像が流れていき俺とカオスが倒れた所で、映像が止まった。
『・・・さあ、これではっきりしたと思います』
室長さんが俺の方に歩いてくる。・・・カオスの奴は瞑目している。
『最終決勝戦、勝者にして第一回バトルトーナメント優勝者は!!』
室長さんは俺の右手を取り、高らかに上に挙げた。
『アルク選手です!!!』
「「「「「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!」」」」」
瞬間、会場中から大音量の歓声が沸いた。
===視点切替===>???
「・・・やれやれ、まさかカオス君が負けるなんて、ね。まあ、貴重なデータが取れたからいっか♪・・・でも、イベントにはトラブルはつきものだよね!! というわけでプランB、実行っと♪」
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