深まる混沌
カオスが撃ってきたエナジー砲がせまる。
この近距離で撃ってくるとは・・・俺は【エナジーフェザー】全開で距離をとりつつ全力回避を試みる。
クソッ! 距離を詰めたのが仇になったか。
・・・駄目だ! 直撃する!!
そう諦めかけた時・・・
「・・・む?」
急にエナジー砲の射線が逸れた。
この隙に、エナジー砲が届かないだろう距離まで回避!・・・しながらカオスを見ると、カオスの持っているランチャーに小型偵察メカ【ビートル君改】が張り付いていた。
どうやら予め【ビートル君改】を放っていたのが功を奏したようだ。
「・・・抜け目の無い奴だ」
カオスはランチャーの発射を止め、張り付いていた【ビートル君改】をバンカーで破壊した。・・・すまん【ビートル君改】、助かったぞ。
それはそれとして・・・
「お前!【重力魔法】だけじゃなく、そんな【兵器】まで隠し持っていたのか!!」
これまでの試合でも使う素振りなんてまったく見せなかったのに。
「・・・使う機会がなかっただけだ」
・・・いや、あっただろう。色んな場面で、色んな使う機会が!・・・あったよね?
「・・・それにこの【兵器】は借り物だ。無闇に使うのは本意ではない」
じゃあ持ってくるなよと言いたい・・・借り物?
「じゃあ、その【兵器】はお前が作った物では無いってことか? ・・・だが、お前のクランはお前一人しか所属していないんじゃなかったか? 第一、お前友達いなさそう・・・」
ドウッ!!
「おわっと!?」
カオスの奴が急に撃ってきたエナジー弾を避ける俺。
「・・・ノーコメントだ」
・・・言いたくないのならそう言えば良いんだよ。いちいち、撃ってくるな。
それにしても・・・アヴァンや【ヴァーミリオン】以外にもこれだけの【兵器】を作れる奴がいるっていうのか? しかも、ノーコメントということは・・・表舞台には出てきていないということか? まさか不正入手じゃないだろうな。
「・・・」
ドウッ!ドウッ!!
「おわっ!? だから撃ってくるなっての!?」
まったく当たったらどうするんだ。
「・・・今、失礼なことを考えただろう」
「なんでわかんだよ・・・」
「お前は顔に出すぎだ」
コイツにまでそんなことを言われるとは・・・俺は一体どんな顔をしているだ?
「・・・製作者の意向で、自分のことは広めるなと言われているだけだ」
・・・製作者は奥手な奴なのか? これだけの【兵器】なら買いたい奴は一杯いるだろうし、大手クランからのスカウトも受けられるだろうに・・・ああ、そういうのが煩わしいと感じるヤツなのかな?
「・・・もっとも、お前は近いうちに直接会うことになるだろうがな」
「なに?」
それはどういう意味だ?
「・・・話は終わりだ」
ドウッ!ドウッ!!
「ちっ!?」
気になるところで話を切りやがって・・・今は目の前に相手に集中だな。
カオスの持つなんとかランチャーは【グランディスマグナム】と同じで撃つ弾を切り替えられるタイプの【兵器】のようだ。今の所確認できているのはエナジー弾とバスターの2種類だ。
「・・・」
バン!バン!バン!!
・・・失敬、実弾も含めて3種類だった。
バン!バン!バン!!
負けじと俺も【グランディスマグナム】を撃つ。
・・・向こうのランチャーの方が威力も射程距離も【グランディスマグナム】より上のようだ。一方で連射スピードはこっちの方が上。あのランチャーは一撃の威力と射程を重視した【兵器】のようだ。
だが、あの長砲身では近距離での小回りは効かないだろう。
とはいえカオスはもう一つの【兵器】、近距離用のバンカーも装備しているが。
バンカーの方は先ほどの手ごたえからいっても威力は互角のようだった。だが、互角では倒せない。
要するに正面からはきついと言う事だ。
・・・ならば搦め手で行かせて貰う。
俺は【グランディスバンカー】をしまい、【グランディスマグナム】の2丁拳銃に持ちかえる。
さらに・・・
「【ビートル君】全機発進!!」
残った9機の【ビートル君】を全て出し、カオスの周囲を飛びまわらせながら【リフレクターシールド】を展開させる。
「【グランディスマグナム】エナジーモード・・・乱れ撃つ!!」
俺は【ビートル君】に向かってエナジー弾を狙い撃つ。そのエナジー弾は【ビートル君】の【リフレクターシールド】によって反射、カオスへと向かっていく。
それを何十発、何百発と移動しながら繰り返すことで、カオスを全方位か狙い撃つエナジー弾の雨となる。一発一発の威力は低くとも、逃れようの無い弾丸の雨だ。いかにカオスだろうと・・・
と思ったのだが・・・
「・・・【フロートローダー】」
カオスの奴は、両足に何かの機械を装備すると体勢を変えることなく移動し始めた。
あれは・・・ホバー移動って奴か? 良く見るとカオスの両足が地面から少し浮いている。ホバー移動を可能にする【兵器】のようだ。
さらにカオスもランチャーを2丁、両手にそれぞれ持って迎撃し始めた。飛んで来るエナジー弾を同じくエナジー弾で相殺し、さらに【ビートル君】を撃墜しようと狙い撃ってくる。
あのホバー移動、結構なスピードで移動しているにも関わらず姿勢が安定している。だから移動しながらでもあんな正確な射撃ができる・・・また厄介な【兵器】を出してきやがって。
ボンッ!!
・・・!? 【ビートル君】が一機やられた!? 【リフレクターシールド】も無敵じゃない。出力で負ければ貫かれる。
このまま【ビートル君】を全滅させられるのはまずい!!
「【限定召喚】! 来い、アーテル!!」
「クルー!!」
俺は虎の子の我が【眷属】、【天龍馬】のアーテルを呼び出す。
既に【成体】化していてすぐにでも戦闘可能だ。
アーテルと【ビートル君】たちの連携でカオスを一気に倒す!
・・・つもりだったのだが・・・
「・・・【リパルション 】」
カオスがなにか唱えたと同時に、カオスの頭上に白い球体が現れた。すると・・・
「うおっ!?」
「クルッ!?」
まるで何かに押されるかのようにカオスから離れていく。俺も、アーテルも、【ビートル君】たちも、エナジー弾でさえ明後日の方向に飛んでいく。
・・・これは・・・斥力か!?
またしても【重力魔法】にしてやられたようで、こちらの攻撃の手が止まってしまった。
さらに・・・
「・・・【限定召喚】」
「!?」
カオスの奴も【眷属】を!?
「・・・来い、ディーラ」
カオスの呼びかけに応えて現れたのは・・・
「ギャオオオオオオ!!!」
雄雄しい雄叫び。
その姿はどう見ても・・・
「恐竜じゃねぇか!?」
そう、見た目のシルエットはまさにティラノサウルスだった。
3メートル近い巨体に凶悪な牙と鋭い目をした頭部、鋭い爪の前足と巨体を支える大きな後ろ足と尻尾。
ここまではまさにティラノサウルスだったが、目の前のモンスターにはさらに特徴があった。
頭部にはトリケラトプスのような巨大な角がそびえ立っていた
背中にはプテラノドンのような大きな翼が生えていた。
腰の辺りにはヒレのような物が・・・ネッシー・・・いや、モササウルスのヒレかな? があった。
さらに全身がアンキロサウルスのような鱗に覆われていて、尻尾の先に鉄球のようなトゲトゲが付いていた。
様々な恐竜の特徴を兼ね備えた異様な・・・混沌としたモンスターだった。
そしてなにより・・・全身が真っ白だ。
「・・・【キメラサウルス】のディーラだ」
「ギャオオオオオオ!!!」
混沌の怪物は鋭い目でこちらを睨みつけていた。
・・・カオスの奴・・・変なスキルといい、武器といい、【魔法】といい、【兵器】といい、【眷属】といい、一体どこから見つけてくるんだ?
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