最終決勝戦
『さあ、もうまもなく決勝戦が始まります!』
『選手のお二人は準備しておいてくださいねぇ~』
ラーサーたちが帰ってから(ベルバアルは中々帰らなかったために再び連行されていった)しばらくすると、司会からアナウンスが入る。
「いよいよか・・・」
長かったトーナメントもこれが最後の試合だ。
思えば色んな奴と戦ってきたなぁ・・・世紀末なモヒカンどもから始まり、標準装備の冒険者や騎士、魔法使いに忍者、妖術を使ってくる奴もいたな。ラングとも戦ったし、ナースや坊さんとも戦った。変形ロボに巨大モンスターとも戦って、しまいには聖剣とも戦った。
・・・うん、自分で言うのもなんだがバラエティ豊富というか、まとまりが無いというか・・・一体俺は何と戦ってたんだ、って問いたくなくような並びだな。
だが、そんな戦いも次が最後だ。
「いよいよ決勝ね・・・頑張って」
「優勝がかかった試合ですからね・・・応援してます」
「アーニャも精一杯応援するのです!!」
「まさか本当に決勝まで勝ち残るとは思わなかったのだ・・・ここまで来たら優勝するのだ!」
「そうっすよ、アニキ! いまこそアニキの力を天下に見せびらかす時っす!!」
「天下って・・・いや、あながち間違いでもないのかな? 僕も応援してます」
アテナ、アルマ、アーニャ、アヴァン、アシュラ、アスターも応援してくれている。
さらに・・・
「がお!」「ピュイ!」
「キュイ!」「キュア!」「キュウ!」
「あい!」「まう!」
「皆サンモ精一杯応援スルソウデス」
「勿論、我々モ応援シテイマス」
レオーネ、フィオレ、ブラン、ノワール、テール、ミコト、ルドラ、ラグマリア、そしてカイザーも応援してくれているようだ。
「おう・・・アーテル、アウル。試合に勝つにはお前達の力が絶対必要だ。協力してくれ」
「クルー!!」
「だう!!」
うむ、相変らず良い返事だ。やる気十分みたいだ。
無論、俺もだが。
できることは全てやった。後は試合で全力を尽くすのみ。
「これでアルクが優勝すれば、同盟クランである【インフォガルド】の名も上がるだろうね」
「うむ、【アイゼンガルド】としても需要が増えるであろうな」
・・・そこへ聞こえてくる、穢れた大人がするようなゲスな会話。
「ふんっ!!」
「がふっ!?」
「ぐふっ!?」
俺はラングとガットの腹に【貫手】をお見舞いしてやった。
「・・・ちょっとしたジョークじゃないか、アルク」
「・・・かなり痛いぞ、やりすぎじゃぞ」
腹を抱えて身悶える二人。この二人にはこれぐらいが丁度良い。
「まったく・・・素直に応援できんのか、お前らは」
「応援はしているけど、青春まっしぐらなセリフを吐くのはガラじゃないからね」
「ちゃんと、骨は拾ってやる覚悟はしておるぞ」
「勝手に人を殺すな」
一体、コイツラは俺をなんだと思っているのか?
「・・・相変らず仲が良いわね、貴方たち」
「決戦前だというのに平常運転ですね」
・・・え? アテナとアルマにはこれが俺たちの平常運転だと思われてんの? ・・・いつもこんな感じだな。
・・・ハッ! まさかラングとガットは俺の緊張をほぐす為にわざとあんな事を・・・
「・・・これでアルクが優勝してくれれば、アルクの優勝に賭けたかいがあったってものだよ」ボソッ
「うむ、いかにアルクとはいえ危ういかと思ったが・・・ここまできたしのう」ボソッ
・・・
「ふんっ!!」
「あうちっ!?」
「ぎゃふんっ!?」
俺は二人に脳天唐竹割りチョップを食らわしてやった。
『さあ、時間となりました! せっかくの決勝ですからお一人ずつ紹介しながら入場していただきたいと思います!!』
おっと、時間か・・・そうだ。
「せっかくだからもう一つ、勝利のおまじないでもやっておくか・・・アテナ、アルマ」
「?」
「どうしたんですか?」
俺は二人を目の前に立たせ、真剣な目でじっと見つめた。
溜めて、溜めて、溜めて・・・告げる。
「・・・俺・・・この試合に勝ったらけっこ「「それ負けフラグだから!!」ですから!!」・・・ハハハハ! ナイスツッコミ!!」
これで負けフラグも盛大に折られたから負けはないな!!
と、そこで俺は転送の光に包まれた。
「それじゃあ、行ってくるなぁ!!」
「「「「「「いってらっしゃい!!」」」」」」
===転送===>決勝戦 会場
『さあ、舞台上に現れましたのは! 数々の強敵を打ち破ってきた漆黒のオールラウンダー! アルク選手です!!』
転送の光が晴れると俺は舞台上にいた。
まだ、舞台の上にいるのは俺一人だ・・・が、再び転送の光と共に・・・現れた。
『続いて現れたのは! 破竹の勢いでここまで勝ちあがってきた純白のインビシブル! カオス選手です!!』
『そのフレーズ、気に入っちゃったんですね~』
俺とカオス、少し距離を置いて向かいあうように並び立つ。
「・・・」
「・・・」
お互いに無言のまま、にらみ合う。
『・・・あら~・・・なんというか~・・・すっごいピリピリとしていますね~』
『ええ、ものすごい緊張感、緊迫感ですね。こちらまで伝わってきて足が震えそうです』
緊張感、緊迫感・・・確かにそうだ。
こうしてカオスと相対してみると、ベルバアルの言っていたことが良く分かる。
強力な【兵器】を前にした時とも、巨大モンスターを相手にした時とも、強豪プレイヤーと戦っている時とも違う、この感覚・・・やはり神を相手にした時の感覚に近いが・・・少し違う。
言葉にするのは難しいが・・・得体の知れないなにかを前にしているような感覚。
・・・呑まれては駄目だ、惑わされては駄目だ、気押されては駄目だ。
カオスは・・・奴は目の前にいる。
俺の剣は・・・アイツに届く。
俺がやるべき事は何も変わらない、全力で・・・倒す!!
『それでは、両者ともに準備はよろしいようですね』
司会者席で、室長さんが立ち上がる。
『皆さん、三日間に及ぶトーナメントもこれが最後の試合になります。参加された数多くのプレイヤーの皆さんの健闘を称えると共に、皆サンの戦い、その結果がこの試合で示されることになります』
「・・・」
「・・・」
何万人といた参加者も、今では俺とカオスの二人だけ。
そして最後に残るのは・・・どちらか一人だけ。
『お二人にはこのトーナメントの最後を飾るにふさわしい、素晴らしい試合を期待します!!』
室長さんの言葉も聞こえてはいるが・・・気にはかけない。
目の前の相手に全神経を集中させる。
『ではカウントダウンを開始します・・・9・・・8・・・』
カウントダウンが進むにつれ、全身に力を漲らせる。
『・・・3・・・2・・・1・・・ 最終決勝戦!! 試合開始!!!』
気が付けば、もう400話(掲示板回も含めて)を超えていました!
誤字脱字報告ありがとうございます! 毎回、大変助かっています。
感想も返事は出来ていませんがすべて見ています!
これからも宜しくお願い致します!!




