混沌vs魔王(仮)
舞台上に転送されてくるカオスとベルバアル。
【魔剣】と【魔鎧】を着込んだベルバアルに比べて・・・カオスは至って普通の服装だ。・・・靴からズボン、上着にいたるまで全て真っ白な服装を普通と言って良いのかどうかは知らんが。
カオスの服装は・・・絵柄もなく特徴もなく、本当に真っ白なだけの服装だ。特徴がなさ過ぎて説明しづらいが・・・少なくとも、性能の良い防具には見えない。【魔鎧】に比べたら文字通り紙装甲だろう。
しかし、そんな服装でもカオスは準決勝まで勝ちあがってきた。つまり、それだけ実力がずば抜けている事になる。
対してベルバアルはと言うと・・・
「フハーハハハ! 我輩と当たるとは運のない奴め!!」
・・・思いっきりカオスの奴を挑発していた。魔王を目指すだけある、いかにも偉そうな口ぶりだった。・・・若干、顔が引きつっているように見えるのは気のせいだろう。
「・・・」
カオスの奴はガン無視だし。
「しかーし! 我輩と当たったのが運のつき、ここであったが百年目! 我輩自ら直々に成敗してくれよう」
・・・百年も因縁があるほど親しくないだろうに・・・しかも成敗されるのなら魔王(仮)のお前の方じゃないのか、ベルバアル。
「・・・」
・・・カオスさん、なんか言ってあげて。
「フフン、どうしたどうした! 試合前からもう既に我輩に恐れをな「うるさい、黙れ」・・・はい、すいません」
・・・ベルバアルゥ・・・途中でチキるんじゃねぇよ。挑発するんなら最後までやりきれよ。
「・・・ボク、なんであの人に負けたんすかね?」
・・・気持ちは分かるぞ、アシュラ。だが、アイツはああ見えて実力者なのはお前も良く分かっているだろう?・・・ただ、ちょっと気が小さいだけで。
「・・・」
カオス、お前は無愛想すぎだ。人前に出るのならもう少し愛想良く・・・駄目だ、あの真っ白怪人が愛想良くしている光景が想像できない。
『さあ、両者とも盛り上がってきた所で、もうまもなくBグループ準決勝が始まります!!』
・・・盛り上がってるか?
『これに勝ったほうが決勝に進む事になりますねー。一体どちらがアルクさんと戦うことになるんでしょうねー?』
・・・俺の名前が出た途端、二人がピクッと反応した気がするが・・・気のせいだな。一瞬、こちらを見たような気がするけど、それも気のせい・・・さっきから気のせいばっかりだな。
『・・・両者とも準備はよろしいようですね? それではカウントダウンを開始します・・・9・・・8・・・』
両者とも武器を構え、静かにその時を待つ。
ベルバアルは【魔剣】を、カオスは両手に大刀を。・・・どっちも初っ端から全開だな。
『・・・3・・・2・・・1・・・試合開始!!!』
試合開始と同時に、両者とも駆け寄り、剣と刀をぶつけ合う。
ガキンッ!!
という激突音。そして・・・
『いってーーー!?』
・・・謎の悲鳴。
舞台上に響き渡る第三者の声・・・それはベルバアルの【魔剣グラトリオン】の声だった。何故か喋るベルバアルの【魔剣】が、何故か悲鳴を上げた。カオスの大刀が痛かったのだろうか? だが、あの【魔剣】はアシュラやその他のプレイヤーの攻撃も散々受けてきたはずなのだが・・・
俺と同じ疑問を思ったのか、ベルバアルは困惑の表情を浮かべながらカオスから距離を取る。
カオスも何か気になるのか、ベルバアルを追うことはなくその場で大刀を見ている。
「ど、どうしたのだ【グラトリオン】? はしたない声を上げおって・・・」
『誰がはしたないだゴラァ!・・・ってそれどころじゃねぇんだよ! アイツの持ってる刀・・・やべぇぞ!! 』
「刀?」
それはずばり、カオスの持っている二本の大刀のことを言っているのだろう。見たところ柄から刀身まで真っ白の巨大な刀だが・・・
「・・・その【魔剣】とやらの言うとおりだ。この二本の大刀は【双神刀ブライ】・・・神の力が宿った刀だ」
「・・・!?」
衝撃を受けたような顔をするベルバアル。
なるほどな、確かに【魔剣】と言われると【聖剣】や【神刀】に弱いイメージが・・・って【神刀】だと?
たしか【戦闘神スサノオ】が、俺に勝ったらこれをくれてやる、と言って出して来たのが【神刀クサナギ】だった。カオスの持っている大刀も似たような経緯で手に入れたのだとしたら・・・アイツは神を倒したってことか?
『俺様はどんな攻撃も食らうことができるが、【神気】だけは食らうことができねぇ! あの刀は俺様の天敵だ!!』
・・・【魔剣グラトリオン】は相手の攻撃を食らい、相手に返す力があるって話だったが・・・そんな抜け道というか、弱点があったのか。
ということは・・・
「・・・【ベルゼリオン】、まさかお前もか?」
渋い顔をしながらベルバアルは自分の鎧に向かって話しかける。端から見れば何言ってんの? という行動だが・・・
『いえ、私の特性には影響は無いはずです・・・苦手には変わりませんが』
さらに話に割り込んできた第三者・・・いや、第四者? の声・・・【魔鎧ベルゼリオン】だ。
【魔鎧ベルゼリオン】はHPが減るほど持ち主・・・つまりベルバアルのステータスを上げる効果がある。そっちの効果はカオスの大刀による影響は受けないようだ。
まあ、【魔鎧ベルゼリオン】の効果は【魔剣グラトリオン】と違ってカオスの大刀とは直接何の関係も無いからな。
・・・苦手、と言っているのは気になるが・・・
ベルバアルも同じ事を思ったのだろう、顔は険しいままだ。
おそらく・・・
「・・・【双神刀ブライ】の効果を警戒しているのか? ・・・ならば教えてやろう!!」
そう言ってベルバアルに斬りかかるカオス。
【魔剣】や【魔鎧】、それにラーサーの持っていた【聖剣】や【聖盾】だって特殊な効果があったからな。【神刀】にだってあってもおかしくない。
・・・カオスのスピードがさらに速くなった。あれは・・・アシュラよりも速い。
カオスは片方の大刀で【魔剣】に斬りかかり、もう片方の大刀で・・・【魔鎧】を斬った。
とはいえ、ベルバアルも警戒していたから大した傷も付いていないし、ベルバアル自身も大したダメージを受けたようには見えない。
しかし・・・
『大変です!マスター!! 私の力が・・・』
「どうした【ベルゼリオン】!?」
焦った様子の【魔鎧】。
一体どうしたんだ?
それに答えたのは・・・カオスだった。
「【双神刀ブライ】の効果・・・斬った対象の効果を一定時間無効化する」
「・・・!?」
青い顔をするベルバアル。顔は見えないが【魔剣】や【魔鎧】も似たような感じだろう。
・・・さて、ベルバアルはこの後どうする気なのかね?
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