準決勝開始
はい、というわけでもうすぐ休憩時間も終わり、準決勝が始まります。
アーテルたち【眷属】軍団はきちんとホームまで送り届けてきた。きっと今頃大量に買い与えたお土産を貪り食っている事だろう。
・・・うーん、さすがに甘やかしすぎか? よく考えたらトーナメント中の3日間、【眷属】たちはひたすら飲み食いばかりしている状態なんだよな。トーナメントに参加していない組は特に。見ているだけでは退屈だろうと大量に置き土産をしているが・・・明日からは平常運転に戻るわけで・・・クセになってたらどうしよう。
まあ、【眷属】たちもこれがお祭りだってことは分かってるみたいだし、そんなに心配はいらないのかも知れないが・・・明日の事は明日考えよう。頑張れ、明日の俺。
・・・それにアーテルとアウルはまた直ぐに呼び出す事になるだろうしな。勝ち残った者の宿命とはいえ申し訳ない。
勝てたらまたご褒美を・・・ってループだな、これ。
『さあ! いよいよもうまもなく準決勝が開始されます!』
『これに勝ち残ればいよいよ決勝に進めますよ~、皆さん、気合入れてくださいねぇ!』
『各参加者の皆さんは準備の程をお願いします』
この準決勝を勝ち進めればいよいよ残すのは決勝だけ。
長かったトーナメントもいよいよ終盤だ。
気合を入れないとな。
・・・とは思うんだけどなぁ。
「なんかついさっきミーシャの試合が終わったばかりな気がするのにもう次の試合なのか・・・」
なんかここに来て連戦・・・とまではいかないが、前の試合とのスパンが短くなったような気がする。
「・・・? 休憩時間、あんまり休めなかったの?」
「休憩の間もアーテルくんやアウルくんに構いっぱなしでしたし、あんまり休めなかったのでは?」
アテナとアルマが心配してくれているが・・・休めてはいるんだけどなぁ。愛らしいアーテルとアウルの食べっぷりには大変癒されたし・・・なんというか、心の切り替えが追いついていないというか・・・
「まあ、実際に話、トーナメントが進むに連れて参加者が減って行って、勝ち残った者の出番が増えるからね。そう思ってしまうのも無理は無いかもね」
・・・なるほど、確かにラングの言うとおりトーナメントが進むに連れて俺の出番が増えていってることは間違いないし、1時間の休憩があるとはいえインターバルも短くなってる。前の試合を引きずってしまうのも無理は無いのかもしれない。
「・・・まあ実際の所、話数で言ったらミーシャとの試合から数話しか経って・・・いてっ!?」
な、なんだ!? どこからかバケツが降ってきて俺の頭を直撃したぞ!?
「・・・きっとメタな発言したからバチが当たったのね」
「何言ってんだよアテナ、俺は読者の心情を代表して言っただけ・・・ぐはっ!?」
こ、今度はドラム缶が!?・・・一体、どこから降ってきた!?
「口はわざわいの元、ってやつですね」
・・・アルマの言うとおり、これ以上余計な事は言わない方がよさそうだ。
だが、どこからか降ってきたバケツとドラム缶のおかげでもやもやが吹き飛んで頭の中がすっきりした(笑)
「・・・良しっ! 今ので切り替えもばっちりだ! ラーサーだろうが誰だろうがどんと来い、だ!!」
「天罰を利用した!?」
「天罰を食らって逆に生き生きとしだした人を初めて見ましたね」
なにやら衝撃を受けているアテナとアルマを放置してストレッチなんか始めちゃう俺。・・・意味があるのかどうかは不明だ。
「アルクさんとお二人はいつも仲が良いのです」
「あれが夫婦漫才というやつなのだ?」
「夫婦と言うには妻が二人いますよ?」
「知らないんすか、アスター? 最近じゃハーレムなんて珍しく・・・アウチッ!!」
なにやら不穏な事を言い出したアシュラの脳天にチョップを入れる。
我らが【アークガルド】は公序良俗に反することは許しません。
「・・・やれやれ、お主らは本当にいつも楽しそうじゃのう」
「【アークガルド】のモットーは、1分1秒を全力で楽しめ、だからな」
今作ったモットーだけど。
「適度な緊張感は必要だと思うけどね」
・・・やかましいぞ、ラング。
おっと、【転送】の光が・・・
「時間みたいだな。それじゃあ行ってくる」
ひらひらと皆に手を振る俺。
「気合入れて行きなさいよ? 相手は私を倒した奴なんだからね!!」
「行ってらっしゃい。健闘を祈ります」
「アルクさんならきっと大丈夫なのです!」
「うむ、ここまで来たら優勝するのだ」
「ガッツっす!アニキ!!ボコボコにしてやるっす!!」
「相手は強敵のようです。お気をつけて」
皆の声援に包まれて俺は試合会場へと【転送】されていった。
===転送===>準決勝 試合会場
試合会場へと【転送】されてきた俺・・・とラーサー。
ラーサーは相変らずのイケメンスマイルで微笑んでいる。・・・なんかむかつく。
そして相変らず表情とは裏腹に殺気が駄々漏れである。・・・わざとやってんだろうか?
「・・・フフフ、僕の殺気を受けて平然としてるなんてさすがだね」
と、思っていたらラーサーのほうから話しかけてきた。・・・やっぱりわざとだったか。
「・・・前から思ってたが露骨過ぎないか?」
普通、殺気は隠す物だ。それができて一流・・・かどうかは知らないが、少なくとも露骨に殺気を振りまくのは二流のすることだろう。ぶっちゃけ、そこらのチンピラと変わりない。
「フフフ、失礼。相手をふるいにかけるにはこれが丁度良いからね」
ラーサーがそう言うと・・・フッと殺気が消えた。
それはもう綺麗さっぱりと。
なんというか・・・今まで沸騰していたお湯が急に凍りついたかのような凄まじい落差だ。・・・コイツ、一体何者?
「・・・器用な奴だな」
「君にだけは言われたくないね」
どういう意味だ。
なんて思っていると、何故か今回に限って司会者連中が話しかけてきた。
『さあ、試合前から舌戦が繰り広げられていますが・・・そろそろ時間です!今回からは室長直々にカウントダウンと開始の合図を行います』
・・・なんで?
『本当は全試合でするべきだったのでしょうが・・・なんせ数が数だったので・・・しかし、機械的に試合開始の合図を出すのも味気ないという意見もあったので、準決勝から私自ら試合開始の合図を取らせてもらいます』
・・・なるほど。さすがに室長さんは苦労が絶えないらしい。ご苦労さまです。
まあ、試合の開始の合図がなんだろうが、俺は目の前の相手に集中するだけだ。
それは相手も同じようで鞘に納めたままの【聖剣】の柄を握る。
『・・・両者とも準備はよろしいようですね。ではカウントダウンを開始します・・・9・・・8・・・』
律儀に、かつ寸分の狂いもなくカウントダウンを行う室長さん。・・・その正確なカウントダウンはスキルか何かなのか? とどうでも良いことを考えてしまう。
いかんいかん、集中、集中!
『・・・3・・・2・・・1・・・試合開始!!!』
こうして準決勝が始まったのであった。
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