準決勝に向けて
『さあ、今の試合で最終戦、準々決勝全ての試合が終了しました!』
『いよいよ次は準決勝ですねぇ~』
『ええ、勝ち残ったベスト4、準決勝の組み合わせはこのようになります』
司会者の室長が言うと、空中にデカデカと文字が現れた。
Aグループ
準決勝 アルク vs ラーサー
Bグループ
準決勝 ベルバアル vs カオス
・・・ベスト4の4人、そして準決勝の組み合わせだ。
長かったトーナメントもいよいよラストスパートと言った所だな。
『では、準決勝に行くまでに・・・』
そう言ってパチンッ!と室長が指を鳴らすと・・・舞台に変化が現れた。
2個の巨大な舞台が消え、1個のさらに巨大な舞台が現れた。
『お~、舞台が一つになりましたね~』
『準決勝からは1試合ずつ進めることになります!!』
おお、それはありがたい。俺もBグループ側の準決勝を見ることができるというわけか。・・・もっとも逆にベルバアルやカオスも俺とラーサーの試合を見るということでもあるが。
『三位決定戦はしないらしいので~、残りの試合はあと3つですからね~』
準決勝の2試合に、最後の決勝戦、なるほど残り3試合か。
『そういうことですね。時間的にも問題ないでしょうし、これで観客席の皆様も一つの試合に集中できるでしょう』
それはつまり注目度がさらに上がる・・・というか、すべての観客の目が1試合に集中するというわけで・・・うぅ・・・緊張してきた。
「・・・それは嘘でしょう?」
「アルクさんには緊張なんて無縁でしょう?」
・・・失敬な奴らだな、アテナにアルマ。
「アルクは昔から心臓に毛が生えてるからね」
「それも鉄の心臓に、じゃからのう」
・・・ラング、ガット。お前たちを俺を何だと思ってんだ?
俺だって人並みに緊張ぐらい・・・した覚えはないな。
まあ、舞台の上に立てば余計な視線や声援は感じなくなるから別に良いんだけど。
『それでは一時間の休憩の後、準決勝の開始となります。参加される選手の皆さんは時間までに会場までお越しください』
お約束の案内を終えて司会者連中が雑談に入った。
さて、俺はどうしようか・・・いつも通りホームに戻ろうかと思ったが・・・
「クルー!」「ピュイ!」「がお!」
「キュイ!」「キュア!」「キュウ!」
「だう!」「あい!」「まう!」
「皆サン、アマリ離レタテハ・・・ラグマリア、手伝ッテ下サイ」
「・・・私モ色々興味アルノデスガ・・・」
・・・よくよく考えたらホームの留守番している【眷属】たちも全員集合してるんだよなぁ。おまけに元気の有り余ってる皆は、席を離れる人の流れに乗ってあっち行ったりこっち行ったりしてるし・・・まんま子供だな。カイザーが唯一の常識人だ・・・ロボットだけど。
・・・そうだな、せっかく皆いるわけだしこのままホームに戻るのも味気ない。
「・・・せっかくアーテルたちもいるし、みんなを連れて屋台を冷やかしに行くか」
俺たちの都合でホームで留守番している皆にトーナメント会場の様子を見せて回るのも良いだろう。
・・・おおう、アーテルたちから歓声が。よほど興味があったらしい。お土産は渡してはいたが直に見て回る楽しみもあるのだろう。
「良いのですか? アルクさん、お疲れではないのです?」
ミーシャとの激戦を終えた俺をアーニャが心配してくれているが問題ない。
「Bグループの試合見ながら休憩は十分したさ。それよりアーテルやアウルの働きを労う方が重要だ」
次の準決勝では更なる激戦が予想されるわけで、アーテルとアウルの協力は絶対必要になる。場合によっては・・・無茶を強いる場面もあるかもしれない。
実際のところ、アーテルを【魔龍覚醒】は発動するほど危険にさらしたし、アウルを単独行動させる場面も増えた。アーテルは一度倒されてしまったし、アウルも一歩間違えば同じことになる。
次の試合でも同様の危険がある以上、俺は主としてアーテルとアウルにできる限りのことはしてあげたい。
「クルー!」「だう!」
おっと、アーテルとアウルが俺の胸に突っ込んできた。
どうやら喜んでいるようだ、よしよし。
「・・・アルクがそれで良いのなら、今度はレオーネたちを連れて屋台巡りと行きましょうか!」
「がお!」
レオーネを抱きかかえたアテナも賛同してくれた。レオーネも嬉しそうだ。
「そうですね。時間の許す限り屋台を回ってからフィオレたちをホームに送り届けましょうか」
「ピュイ!ピュイー!!」
アルマの肩に乗っかったフィオレも嬉しそうに鳴いている。時間は限られているが・・・まあ、楽しめれば良いだろう。
「わーい! ブランちゃん、ノワールちゃん、テールちゃん、何でも好きな物を買ってあげるのです!!」
「キュイ!」「キュア!」「キュウ!」
ブラン、ノワール、テールも嬉しそうだ。・・・【アークガルド】の中でも大食漢の三体に好きなだけ買って、果たしてアーニャの財布が持つのだろうか?
「アーニャよ、そんな甘やかしては・・・ラグマリア? ・・・わかった、わかったのだ。なんでも買って良いのだ。だからそんな目で見るな、なのだ」
「・・・ソレハ喜バシイ限リデス」
アーニャを窘めようとしたアヴァンをラグマリアが止めた。普段からクールな印象のあるラグマリアも楽しみらしい。それを察したのかアヴァンもラグマリアの好きにさせるようだ。
「おおー、行くっすよルドラ! 片っ端から食って食って食いまくってやるっす!!」
「まう!」
・・・アシュラとルドラは食いまくる気満々だ。こいつらだけで大食い競争でもする気なのか? ・・・アシュラの財布が空っぽにならないことを願う。
「いや、アシュラ・・・ほどほどにしておいた方が・・・ミコトもかい?」
「あい!」
ミコトもテンションが高いようだ。まあ、ミコトはそこまで大食いではないからアスターの財布は心配ないだろうが・・・アスターもミコトには甘いな。
「やれやれ・・・カイザーも好きな物買って良いぞ」
「・・・宜シイノデスカ?」
「この所、留守番組の世話を頼んでるからな」
最近は裏方ばかり頼んで出番が少ないカイザーだが、世話になっていることには変わりない。
そのカイザーの働きを労うのも必要だ。それに人の世話ばかりではなく自由に羽を伸ばす時間もカイザーには必要だろう・・・コイツ、ロボットだけど。
「感謝シマス」
・・・ロボットのカイザーが一番礼儀正しくて人間臭いというのはどういうことだと思わなくもないが・・・まあ、カイザーは優秀だということで。
「ふむ、そういうことなら僕たちもヒュントやヴァーユたちを連れて屋台巡りと行こうかな」
「そうですね。ヒュームも留守番ばかりで退屈しているでしょうし」
ラングとロゼさんも【眷属】のサービスタイムへとしゃれこむようだ。ちなみにヒュントとヴァーユはラングの【眷属】で、それぞれ【グリフォン】と【嵐の精霊】だ。ヒュームはロゼさんの【眷属】の【グリフォン】。
「ではワシはグラントを連れてくるかのう」
「ならアタイはクロースを連れてくるよ!」
「あらーん? それならアタシのピューレも一緒よねーん?」
ガットとヴィオレ、ヒューナスもそうするようだ。グラントはガットの【眷属】の【鍛冶の精霊】、クロースはヴィオレの【眷属】の【衣服の精霊】だ。
ピューレは・・・ピューレ? 誰?
「ピューレはアタシの【眷属】で【細工の精霊】よーん!」
・・・聞いてもいないのに答えてくれるヒューナス。そうか、お前にも【眷属】がいたのか。さらっと新情報ぶっこんで来るな。ラングが驚いてるぞ。
まあ、こんな感じで俺たちは屋台巡りへと繰り出した。
・・・目立つな、この大人数での移動は。
作者のやる気とテンションを上げる為に
是非、評価をポチっとお願いします。
m(_ _)m




