モンスタープリズン
まずは状況を整理しよう。
現在、大量のネズミたちに襲われ、結晶で作った壁で防御。こっちからの攻撃は亀の張った盾により防がれる上に、コウモリの超音波攻撃によって攻撃そのものがままならなくなった。
結果、篭城を強いられる・・・閉じ込められたとも言う。自分で作った壁が牢獄の壁にはや代わりとは・・・笑えねぇ。
しかし、あれだけ強力な【眷族】を三体も召喚して維持しているとは・・・やはりLPの値が段違いなんだろうな。・・・このままLPが尽きるまで篭城するって手も無くも無いが・・・ミーシャがそのことを考えていないはずが無い。
ぼやぼやしていると次の手を打ってくるだろう。それも俺にとっては未知の手段で、だ。
そうなる前になんとか手を打ちたい所だ。
ピシッ!ピシピシッ!!
・・・【結晶の障壁】も限界か・・・ここは助っ人を呼ぼうか。
「【限定召喚】!来い! アーテル!!」
「クルー!・・・クルッ!?」
呼ばれて飛び出てやって来た【幼体】のアーテルだったが・・・周囲を確認してびっくりしている。・・・そりゃそうだろうな。壁があるとはいえ大量のネズミに囲まれてるわけだし。
「・・・状況は分かったか? 力を貸してくれ、アーテル」
「クルッ!」
うむ、良い返事だ。
速やかに【成体】となったアーテルと共にタイミングを計る。スタートのタイミングは・・・【結晶の障壁】が破壊された瞬間!
ピシピシピシッ!! パリィィィン!!
今だ!
「【グランディスボム】!!」
壁が破壊されると同時にアヴァン特製の小型爆弾を周囲に放つ。
ボンッ!ボンッ!ボンッ!
爆発により消えていくネズミたちの分身、同時に爆煙により俺たちの姿が隠れる。
「行くぞ、アーテル!」
「クルッ!!」
俺は【エナジーフェザーマント】を装備し、爆煙の中から空中へと一気に飛び出す。アーテルも同様だ。
・・・ただし、俺とアーテルが進む方向はまったくの逆だが。
「「「「!?」」」」
爆発を免れたネズミたちは当然それを見ていて、俺たちをそれぞれ追いかけてきた。
このネズミたちの戦力分散も目的の一つだが、狙いはそれだけじゃない。
「・・・バーくん!アルクさんを!!」
「キー!!」
予想通りミーシャは超音波のブレスを俺に放ってきた。
・・・クッ!真っ直ぐ飛べない。ギリギリ低空飛行は保っているが・・・今にも墜落しそうだ。おまけにネズミたちが飛び上がってきてウザイ。ダメージは無いみたいだが・・・厄介な力だ。
しかし、この超音波・・・アーテルの方には届いていないようだ。やはり指向性・・・広範囲をカバーする事はできないようだな。
「アーテル!【レーザーダイブ】!!」
「クルー!!!」
【グランディスマグナム】でネズミたちをなぎ払いつつ、アーテルに指示を出して突撃させる。
「!トーちゃん!!」
「ボエー!」
カメが甲羅の盾を出すもアーテルはその盾を回りこんで回避し、コウモリ目掛けて突進する。
行ける!コウモリは俺に向かってブレスを吐いていて無防備!カメの防御も間に合わないはずだ。
「クルー!!」
ドゴンッ!
「キキー!!」
「ボーちゃん!?」
当たった! まだ倒せてはいないみたいだが、コウモリの攻撃は止まった。もう2、3発ぶち込めば倒せるはずだ。
まずは一体ずつミーシャの【眷属】を減らして行く!
アーテルは追い討ちをかけるように再度、コウモリに突撃を仕掛けるが・・・
「【還元送還】!戻って!バーくん!!」
「なに!?」
ミーシャの声と共にコウモリが光に包まれて消えていく。ここで【送還】だと?【送還】にもLPを消費するはずだ。なのにそこまでしてコウモリを逃がすとは・・・LPを消費した上にミーシャ自身は無防備になったんだぞ?
「【限定召喚】!来て!ゴーくん!!」
「ゴアアアア!!」
と思ったら、また別の【眷属】を召喚だと!? ミーシャの背後に現れたのは・・・両腕が異常にでかい3メートル越えの巨大ゴリラ!
「【ストロングコング】のゴーくんです! ゴーくん!【ストロングパンチ】!!」
「ゴアアア!!!」
!? まずい!!
あのゴリラ野郎、アーテルにカウンターパンチを仕掛けるつもりだ。
アーテルは避けようとするも突然の事態に反応が遅れたようだ。
ドゴッ!!
「クルッ!?」
「アーテル!!」
ゴリラのパンチの直撃を受け、吹っ飛ばされるアーテル。幸い、ネズミたちがいない方向に吹っ飛ばされたが・・・追撃を仕掛けようとゴリラがアーテルに向かって走っていく。
「【俊天の疾走】!!!」
俺は加速スキルを使い、それを追いかける。相変らずネズミたちが飛び掛ってくるが・・・無視だ。
多少のダメージを受けつつ、ネズミたちを振り払い、ゴリラの前に躍り出る。ゴリラ野郎はパワーはあるようだがスピードはイマイチのようだな。だからこそ俺が追いつけた。
「お返しだ!【力天の強豪】!!【ブラストパンチ】!!」
【力天の強豪】で強化されたパンチを放つ。
ゴリラも同様にパンチを繰り出す。
ドゴッッッ!!
ぶつかり合う拳と拳。結果は・・・
「ゴアッ!?」
勝ったのは俺の拳。ゴリラの拳を退かせることに成功した・・・が、なんて馬鹿力だ。【力天の強豪】を使っても拳を退かせるのがやっととは・・・逆に俺の拳が痛いし。
「おお!? 力自慢のゴーくんに勝つとはさすがアルクさん!!」
・・・なぜか敵であるはずのミーシャが興奮しているが・・・俺は馬鹿正直に力勝負をする気はないんだよ。
「【閃槍アーディボルグ】!!」
打撃がきついなら、この槍で突き刺してやるぜ、ゴリラ野郎!
「マーくんを【還元送還】! さらにマンちゃんを【限定召喚】!!」
俺が槍を構えた所でミーシャは・・・ネズミたちを【送還】し、さらに別の【眷属】を召喚した。
・・・おいおい、勘弁してくれよ。
ゴリラの直ぐ隣に現れたのは・・・ゴリラと同じくらいの大きさの巨大なカマキリだった。その両手にはまるであらゆる命を刈り取るかのような鋭い鎌が・・・
「【リッパーマンティス】のマンちゃんです。【リッパーシックル】!!」
「キシャアアア!!」
カマキリは奇声を上げながら俺に向かって真っ直ぐに両手の鎌を振り下ろしてくる。
ガキンッ!!
それを【閃槍アーディボルグ】で受け止めた所で・・・
「ゴアアアア!!」
・・・横からゴリラに殴りつけられた。
「グアッ!?」
避ける事も受けることもできず吹っ飛ばされる俺。
「クソッ!【フレイムボム】!!」
吹っ飛ばされつつも俺は【火魔法】をゴリラたちには放つ。
「トーちゃん!【リフレクトシェル】!!」
「ボエー!!」
しかし、ゴリラたちの前に甲羅型の盾が出現。俺が放った【火魔法】が跳ね返ってきた。
「もう一度【フレイムボム】!!」
「!?」
それに対し俺は同じ【火魔法】をぶつけた。結果大爆発が起こり、俺とゴリラたちの間で爆煙が発生した。
・・・今のうちに・・・
俺は体勢を整え、急いでアーテルの元に向かうとアーテルを抱えてミーシャたちから距離を取った。
ゴリラたちが追いかけてこないことを確認し、
「大丈夫か、アーテル。【ヒール】」
「・・・クルッ!」
アーテルに【回復魔法】をかける。・・・どうやらまだ戦えそうだ。
・・・しかし、参ったな。
ミーシャの奴、いったい何体の【眷属】がいるんだ?
いや、それより何であれだけ【召喚】と【送還】を繰り返しているのにLPが尽きないんだ?
・・・ミーシャは【還元送還】と言っていたな。還元・・・つまり、ミーシャは【送還】した【眷族】からLPを補充してもらっているのか?
だから、あれだけの【眷属】を?
・・・ミーシャのLPはほぼ無尽蔵だと思ったほうがよさそうだな。
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