準々決勝に向けて
『さあ、今の試合で最終戦、第一回戦が終了しました!』
『これでベスト8が決まったわけですねぇ~』
『どの試合も凄い戦いでしたね』
第一回戦の試合が終わった時点で司会のポロン、ミューズ、運営室室長がテンション高めに解説している。・・・試合に集中している選手にはほとんど聞こえなかったが、観客向けにはちゃんと仕事はしているらしい。
『さあ、次は試合は準々決勝となります。組み合わせはこちら!』
ポロンが叫ぶと同時に空中に文字がデカデカと現れる。
Aグループ
第一試合:アルク vs ミーシャ
第二試合:マックス vs ラーサー
Bグループ
第一試合:エルザリート vs ベルバアル
第二試合:ヘブン vs カオス
・・・ベスト8・・・準々決勝でさらに4人に絞られるわけだ。・・・何万人という参加者からここまで絞られたわけだが・・・ずいぶん人数減ったな。
『いよいよバトルトーナメントも佳境に差し掛かってきましたねぇ~』
『ええ、これまで以上に熾烈な試合になることは間違いないでしょう』
・・・確かにな。これまでの試合を見ても強敵ばかりなのは目に見えてるし。アテナとアルマも負けてしまったしな。
『それでは一時間の休憩の後、準々決勝の開始となります。参加される選手の皆さんは時間までに会場までお越しください』
休憩に入ったようで観客は思い思いに席を立つ。司会者たちは雑談に入ったみたいだが。
『ここまでの試合、室長はどう見ます?』
『そうですね・・・どの試合も我々の予想以上にレベルが高く、またレアな装備を持っているプレイヤーが多いと思います。このゲームが開始されて三ヶ月、どのプレイヤーも存分に楽しまれているようで喜ばしい限りです』
『いわゆる、やり込んでるプレイヤーが多いってことですねぇ~。確かに夢中になるのも分かりますけど~・・・やっぱりガチ勢が勝ち残るんですねぇ~』
『確かに初めて聞く武器やスキルもたくさん出てきましたしね。選手の皆さんの技量も高かったですし・・・同じことができるかと言われると・・・できないでしょうね』
『プレイヤーの動きはスキルによる補正が入りますが、基本的には本人の動きが反映されますからね。反射神経や判断力はプレイヤー本人のものですし、やり込んだ分だけ動きが良くなるんですよ』
『結局、やり込んだガチ勢は強いってことですねぇ~』
・・・ガチ勢扱いされとる。まあ、その通りだとは思うが・・・いや、そんなガチ勢ですら知らない情報がてんこ盛りだったんですけど? どんだけ幅広いんだこのゲーム。
「掲示板でも優勝者予想が盛り上がってるね。人数が絞られてきたから当然と言えば当然だけどね。・・・ちなみに一番人気はカオスみたいだ」
ラングの奴が掲示板をチェックしている。確かに人数が絞り込まれてきたし、これまでの試合で参加プレイヤーの情報もたくさんでてきたからな。優勝者の予想の方にも熱が入っているらしい。
・・・それにしてもカオスを優勝者だと予想する奴が多いのか・・・カオスのこれまでの試合内容を見る限り、ほとんどノーダメージだし、短時間で決着をつけている所を考えると・・・納得できなくもないが・・・なんかむかつくな。
残りの予想としては俺を含めて他のプレイヤーが横並びなんだそうだ。・・・つまり、カオスを除いた参加プレイヤーが同率、カオスの奴が頭一つ抜けていると、みんなは思っているということだ。
・・・だが予想は予想、結果ではない。
実際の試合で予想を覆してやるがな!
「・・・それで? この後どうするの、アルク?」
「ん?」
カオスへの戦意と殺意を漲らせている所でアテナから聞かれた。
「いつも通りだぞ? お土産持ってホームに戻ってアーテルとアウルのご機嫌取ってくるつもりだ」
【眷属】であり、俺の戦いを助けてくれるアーテルとアウルはもはや俺が勝ち残るための生命線と言っても過言ではないからな。二人に頼り切りなのは申し訳ないが・・・二人の協力無しに勝ち残るのは・・・難しいだろう。
二人のやる気とテンションは試合に勝つための重要な要素・・・そのためのお土産ならいくら使おうが問題ない・・・たとえ財布が空になろうともな!(泣)
「・・・ならお土産は私たちで買いに行きましょう。アルクさんは先に戻って休んでいてください」
・・・おおう、アルマが天使に見える・・・【魔族】なのに。
というか俺、気を使われてる? アルマとアテナはむしろ気を使われる側ではないだろうか?
「私たちの中で残っているのはもうアルクさんだけなのです! 私たちで全力でサポートするのです!!」
・・・ああ、そういうことか。アーニャの言葉で理解した。
【アークガルド】の中でも残っているのはもう俺だけ。つまり優勝できるかどうかは俺の頑張りにかかっているというわけだ。だから皆で俺のことをサポートしてくれる、と・・・皆、良い奴らだなぁ。
「うむ、吾輩たちの期待を一身に背負っているアルクには頑張ってもらわないといけないのだ。吾輩たちは吾輩たちでできることをするのだ」
・・・アヴァンよ、サポートしてくれるのはありがたいが、なぜプレッシャーをかけるようなことを言う? サポートしてくれるならプレッシャーを和らげるようなことを言ってくれない?
「そうっすよ! ボクにできることなら何でもするっす! 試合前の練習でもサンドバッグでもボクに任せてほしいっす!!」
・・・アシュラよ。試合前に疲れるようなことはしないぞ?・・・というかお前、サンドバッグって・・・さてはコイツ、試合を見て体がうずいてるな? 戦闘狂め。
「アシュラ、落ち着いて。アルクさんに迷惑かけちゃ駄目だよ?・・・それはともかく僕も協力しますから頑張ってくださいね、アルクさん」
・・・アシュラのストッパー役、いつも助かるよ、アスター。・・・苦労人のアスターにこれ以上苦労を掛けない程度に頑張るさ。・・・だからこれからもストッパー役よろしく。
「君たち、本当に仲が良いねぇ」
「うむ、クラン一体となって優勝を目指している感じがするのう」
・・・ラングとガットがなにやら冷やかすようなことを言ってきたが・・・華麗にスルー。素直に応援コメントできんのか。
「・・・分かったよ。ならありがたく先に戻らせてもらう」
皆の心遣いに感謝し、先にクランホームまで戻らせてもらう。
きっとアーテルとアウルも皆からの期待と応援にやる気を出してくれることだろう。
・・・と、思ったらクランホームに戻ってきた瞬間にアーテルとアウルの突撃を受けた。
・・・やっぱりヴァラットとの試合で扱いが悪かったというか・・・とにかく不満だったらしい。
なんとかなだめて準々決勝に臨まないとな。
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