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聖なる騎士

最終第一回戦もあと二組。


アテナとラーサー、レシトリーとカオスの試合だ。


この試合でベスト8が決まる。


さらに、我らが【アークガルド】の【天使】アテナの試合でもあるわけだし、相手は【双星騎士団】のリーダーであるラーサーとの戦いだ。応援も気合入れないとな。


「それじゃあ、言ってくるわね」


準備を整え立ち上がるアテナ。


「おう、頑張ってな」


「私の分まで勝ち残ってください」


「ファイトなのです!」


「応援しているのだ!!」


「声が枯れ果てるまで声援を送るっす!!」


「いや、普通に応援しようよ・・・頑張ってください」


メンバーの声援を受け転送されていくアテナ。


・・・だが相手は緊急クエストで3位だったクランのリーダーだ。


どんな戦いになるのか・・・見物だな。


===視点切替===>アテナ


光に包まれ、転送されて来た舞台上。


視線の先には、まさに騎士と言った出で立ちの男性、ラーサーがいた。


白く輝くような鎧を身にまとって、腰には豪勢な装飾が施された鞘に収められた長剣を携えているわね。


「やあ、お手柔らかにお願いするよ」


柔らかく微笑んでくるラーサー。爽やかなイケメンと言った風だけど・・・正直私は好きじゃない。


「・・・こちらこそよろしく」


無難に返したけどラーサーは微笑みをやめない。・・・微笑んでいると言うより微笑みの仮面がひっついているような・・・心の中では笑っていないような・・・そんな感じがするわね。


そう考えているのを見透かしたのかラーサーが更に話しかけてきたわ。


「・・・失礼。正直な所、女性相手に戦うのは苦手でね。勿論、試合である以上は全力で戦わせてもらうけどね。気を悪くしたのなら謝るよ」


・・・紳士的に振舞おうしているみたいだけど・・・私には分かっているわ。


ラーサーが私に向ける目は、アルクに向ける戦意と殺気を含めた目とはまるで違う穏やかな目。


それは逆に言えば・・・ラーサーにとって私は本気で戦うには値しない相手だと思っている、という事。


確かに模擬戦でも私がアルクに勝ったことは一度も無いけど・・・そこまで下に思われる謂れもないわ。


・・・だから少し挑発してみましょう。


「・・・私に勝てないようじゃあ、アルクの足元にも及ばないわよ?」


ピクリとラーサーの笑顔が少し固まった。


要するに私に負けてるようではアルクに勝つなんて夢のまた夢、ということよ。


その意図が分かったのかラーサーは少しずつ戦意を漲らせていた。


「・・・フフフ、なるほど? 彼に本気になってもらうためには・・・君は丁度良い()()、かな?」


・・・さっそく紳士の化けの皮がはがれてきたわね。私としては気取った相手よりはやりやすいけど。


『バトル開始まで・・・9・・・8・・・』


・・・始まるみたいね。私は【聖弓レッドセラフ】をラーサーに向かって構える。


同様にラーサーも腰に添えている長剣に手をかける。


「・・・一応言っておくけどアルクは誰が相手でも本気で戦うわよ? 例外はあるけど・・・」


「例外?」


「相手にやる気がないと適当に流すのよ」


「・・・なるほど、ね。なら君相手に僕の本気を見てもらおうか・・・」


『3・・・2・・・1・・・試合開始(バトルスタート)!!』


「な!っと!!」


シャリンッ!!


・・・試合開始と同時に私の()()()()()()純白の長剣が通りすぎた。


見るとラーサーが一瞬で私との距離を詰めて来て長剣を抜き放ったみたい。


・・・あと一歩前に出ていたら私の首がチョンパされていたわね。・・・()()()()()一歩下がったのだけど。


「・・・やるね」


ラーサーは間合いを取りつつ、()()()()()()()()()光の矢を引き抜いた。一歩下がると同時に放っていた矢が当たったみたい。


「スピードには僕も自信があったけど君も相当だね。・・・それに僕の剣筋を見切ってギリギリで避けるなんて・・・良い目をしているね」


「【天使】は目が良いのよ」


今、私の瞳は紅く輝いているはず。


【天使】の【種族スキル】、【神眼】よ。本来は【看破】や【鑑定】、【解析】よりもより詳しく知ることが出来るスキルなんだけど・・・他にもこのスキルを使うと本当に()()()()()ようになるの。


ラーサーの長剣の間合いを見切れたのもこの目のおかげ。


正直、油断しないで初っ端からこのスキルを使っていて正解だったわ。使っていなかったら試合開始と同時に即退場になってたかも。


アルクがラーサーをベルバアルやカオスと同じくらい買っていたから用心していて正解だったわね。


「・・・なるほど、確かに僕も真面目にやらないといけないね」


そう言ってラーサーは長剣を構えた。


と、同時に白く輝きだす剣。


「・・・眩しいわねぇ」


別に目を開けてられないほどではないのだけど・・・目を突き刺すような強い光ではなく、太陽のように暖かく包み込むような光って感じね。


「フフフ、この【聖剣】で【天使】を倒す事になるなんて・・・皮肉だね」


・・・皮肉と言う割りにどこか楽しそうな口ぶりのラーサー。


「・・・【聖剣】?」


あのゲームなんかでお馴染みの?


「そう、【光聖剣ライトキャリバー】・・・これでも手に入れるのに苦労したんだよ?」


・・・ベルバアルの【魔剣】に続いて【聖剣】まで出てきたのね。ホントに【魔剣】といい一体どこから手に入れてきたのかしら?


「言っておくけど【魔剣】と違って喋ったりしないから、そこは期待しないでね?」


・・・別に期待はしていないけど・・・


「・・・でもただの剣、って言うわけじゃないんでしょう?」


「もちろん!!」


言うと同時にラーサーが目にも留まらないスピードで斬りかかってきた。


速い・・・まるでアルクの加速スキルみたい。剣の奇跡が閃光のように見える。


でもそう・・・視える。これも【神眼】のおかげね。


ラーサーの剣をギリギリで避けて【聖弓レッドセラフ】で矢を放つ。この至近距離でも使用できる【弓術】スキルはあるのよ!!


「【ゼロレンジシュート】!!」


距離が近いということはそれだけ避けるまでの時間が無いということ。


この近距離は剣の間合いだけど・・・高速の矢を放てば避けるのは難しい・・・はずなんだけど・・・


「・・・!?」


でもラーサーは私の矢を余裕でかわし、剣を振るってくる。


最初の攻撃で避けられたのかしら?


それともただの勘か、持ち前の反射神経か・・・


それにラーサーの剣捌きがどんどん鋭くなっていく。


・・・何時までも避け続けるのは無理ね。


私は一旦距離を取るため、【天使】の翼を広げて上空へ避難。やっぱり【天使】だったら地上にいるより空を飛んでいないとね。


空中からラーサーを狙い撃とうと【聖弓レッドセラフ】を構える。


するとラーサーは【光聖剣ライトキャリバー】を右手に持ち、左手に・・・


「【風聖剣ウィンキャリバー】」


左手に別の・・・緑色の長剣を持ち、なんと空を飛んで私に迫ってきた!


「!?【フレイムボム】!!」


私は咄嗟に【火魔法】を放った。けど・・・


「フッ!!」


ラーサーが持つ緑色の長剣によって斬り払われた。


・・・【聖剣】の二刀流・・・本当にどこから手に入れてきたのよ。


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