宝石は美しい
至近距離でにらみ合う私とエルザリートさん。
エルザリートさんはともかく私は【魔法】職なのでこのような至近距離での戦闘など本意では無いのですが・・・今はそんなことを言っていられません。それに・・・私だって近接戦の鍛錬をしていなかったわけではありません。
「【チャージスタッフ】!!」
私は【杖術】スキルを使って攻撃します。・・・【魔杖ブルーゼブル】を武器としても使えるように作ってくれたガットさんに感謝ですね。
エルザリートさんの【ラピスラズリ】の鎧を次々と破壊していきます。
「【ガーネット】!【サファイア】!!」
一方エルザリートさんも【宝石魔法】で攻撃を仕掛けてきます。【蒼鎧ディブルー】のおかげでなんとかししのげていますが・・・所々ヒビが入ってしまっています。
・・・長くは持ちませんね。
「ピュイイイイ!!」
「フィオレ!」
そこに【ダイアモンド】の盾を迂回してきたフィオレが割って入ろうとしてきました。
でも・・・
「【ジェダイト】!!」
「ピュイ!?」
すると今度は緑色の宝石がフィオレを捕らえるかのように現れました。まるで鉄格子・・・いえ、牢獄のように。
「フィオレ!?」
「これで助けは来ないわ!!」
フィオレは宝石の牢獄を内部から破壊しようとしていますが・・・よほど頑丈なのかヒビ一つ入りません。・・・しかし、今の私にはフィオレを助け出す余裕がありません。
「お得意の【魔法】はどうしたの? ・・・MPが尽きたのかしら?」
「それはお互い様でしょう!!」
確かに私のMPは残り少ないです。0ではありませんが・・・【上級魔法】はもう放てないでしょう。だからこそBPを消費する【武術】系のスキルを使用しているのです。
しかし、それはエルザリートさんも同じでしょう。フィオレの動きを封じられた今、先ほどのように【タンザナイト】の兵士を作り出せば一気に形成逆転でしょうに、それをしないということは・・・【宝石魔法】に消費できるMPが残り少なくなってきたのでしょう。
お互いに・・・トドメとなる【魔法】のためのMPを温存しているという所でしょうか。
あとは・・・使いどころ、ですね。
「くぅ!?」
「・・・!?」
お互いに攻撃を仕掛け、ボロボロになっていく私とエルザリートさん。しかし、お互いに・・・諦めるつもりは無いようです。
「このままではジリ貧ね・・・決着をつけましょう!!」
声高らかに宣言するエルザリートさん。
遂に勝負を仕掛けてきましたか・・・ならば受けて立ちましょう!!
「【フラッシュ】!!」
「え!?」
私はエルザリートさんが放った目くらましの魔法により・・・目を閉じてしまいました。
・・・やられました。まさかここで【宝石魔法】以外の【魔法】を使われるとは・・・
「そこよっ!!」
目は見えませんが、エルザリートさんが仕掛けてくる声が聞こえます。
いけません・・・このままでは・・・
私も覚悟を決めました。
「【魔核】解放!!」
【魔核】というのは私の種族、【魔族】の【種族スキル】。魔力を貯蔵しておく事ができる・・・そしてそれを解放することでMPを回復することが出来ます!!
さらに・・・
「我を取り巻く敵対者よ、猛き雷の牢獄を持ってその命を刈り取らん!!【プラズマスパーク】!!」
目を瞑ったままで全周囲に【魔法】を放ちます。
結果は・・・見えないので分かりません。
「ピュイ!? ピュイィ!?」
・・・!? フィオレが何かを叫んでいます。・・・ようやく目が見えてきました。
直ぐに周囲を確認するとエルザリートさんは・・・いませんでした。
「え、どこに!?」
「・・・ここよ?」
するとエルザリートさんの声が・・・直ぐ近くに聞こえました。耳元を見ると・・・小さく薄いオレンジ色の宝石が浮かんでいました。
「どう? 騙された?」
エルザリートさんの声は・・・その宝石から聞こえてきました。
「これが【モルガナイト】よ。そして・・・これがトドメ!!」
宝石から声が聞こえますが・・・エルザリートさんの姿はどこにも見えません!
まずいです! 一体どこから!?
「ピュイィィィ!!」
「フィオレ!?」
いつの間にか牢獄から脱出していたフィオレが・・・私の頭上に!
「・・・ピュイー・・・」
するとフィオレに・・・【ガーネット】の槍が刺さりました。
「フィオレー!!」
なんとエルザリートさんは私の頭上にいたのです。そして無防備な私に向かって槍を・・・フィオレは私を庇って・・・
「・・・先ほどのアルマさんの【魔法】で【ジェダイト】の檻が壊されていたのですか・・・失策でしたね」
・・・許せません!!
「【魔法神ウルザードの加護】よ、魔の力を高めよ!!」
私は【魔法神ウルザードの加護】を使って【魔法】の力を極限まで高めます。
「そちらも全力ですか・・・ならばこちらも!!【宝玉神ジュアリー】の名の下に新なる宝石の力を!」
エルザリートさんも神の力を・・・でも関係ありません。
「地獄の業火よ!氷獄の冷気よ!全てを焼き尽くし、全てを凍りつくせ!!【氷炎地獄】!!!」
地獄の炎を氷地獄の冷気を同時に放つ私の最強の【魔法】です!!
「これが私の最後の宝石・・・【アレキサンドライト】!!!」
対するエルザリートさんは手に持った大きな宝石・・・【アレキサンドライト】を私に向けました。
すると宝石から巨大な光がレーザーのように放たれ、私の【魔法】とぶつかりました。
ドゴオオオオオオ!!!!
炎と氷と光。
混沌として交じり合いぶつかり合う私とエルザリートさんの魔法。
「ハァァァァァ!!」
「くぅぅぅぅぅ!!」
ぶつかり合う私達の【魔法】は・・・
ドッゴォォォォン!!!!
広大な試合会場を覆い隠すほどの大爆発を起こしました。
「「キャアアアアア!?」」
そのあまりの衝撃に私もエルザリートさんも・・・吹き飛ばされてしまいました。
同時に発生した爆煙により、目の前が見えなくなるほど視界が悪くなりました。
「うぅ・・・」
・・・すごい衝撃でした。
神様の力で強化した【上級魔法】・・・ここまでの威力があるなんて・・・しかもそれに対応できるほどの威力のエルザリートさんの【宝石魔法】。
・・・頭に血が上ってしまいました。少し考えなしでしたね。
おかげで再びエルザリートさんの姿を見失ってしまいました。
私が無事だったように、エルザリートさんもきっと無事でしょう。
つまり戦いはまだ終わっていません。
気を入れなおしてエルザリートさんを探そうと脚を踏み出した・・・その時。
ザクッ!!
「・・・え?」
・・・背中から刺されました。
振り返ると・・・そこには・・・【タンザナイト】の兵士が・・・【ガーネット】の槍を・・・
そんな・・・この爆煙のなかでどうやって・・・
そこで気が付きました。
私のすぐ傍に・・・【モルガナイト】が浮かんでいる事を・・・
そうですか・・・この宝石で・・・私の位置を・・・
・・・ごめんなさい、フィオレ・・・皆さん・・・アテナ・・・アルクさん。
『勝者!! エルザリート!!!』
作者のやる気とテンションを上げる為に
是非、評価をポチっとお願いします。
m(_ _)m




